『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』竈門炭治郎役 花江夏樹さんインタビュー|いい作品作りの秘訣は「お互いに負けられないという想い」と「休憩時の情報共有」【第1弾】
幅広い世代から人気を博した『鬼滅の刃』(原作:吾峠呼世晴/集英社ジャンプ コミックス刊)の劇場版「無限列車編」が10月16日(金)より全国公開スタート! 「無限列車編」はTVアニメの最終話の続きにあたるお話で、原作ファンの間でも人気のエピソードです。
劇場公開を記念して、出演声優陣への連続インタビュー企画をお届けしてまいります。第1弾は主人公の竈門(かまど)炭治郎を演じる花江夏樹さんです!
花江さんのもとにもアニメの反響が! 収録はいちファンとして後悔がないように常に全力で
――『鬼滅の刃』は幅広い世代から注目を集めた作品となりました。この反響や反応についてどう思われましたか?
竈門 炭治郎役 花江夏樹さん(以下、花江):収録している時は「この作品、流行りそうだな」とか考えたことは一切なくて、「たくさんの人に観てもらえたらいいな」という一心で、毎回、全力で収録に臨んでいました。
結果として、たくさんの方に観ていただけたことはすごく嬉しいです。僕自身もいろいろな方から「『鬼滅』見たよ」とか「うちの息子が好きで」と声をかけていただいて。普段はアニメを観ない方も、この作品がきっかけとなって、いろいろなアニメに触れていただければいいなと思いました。
――大きな作品になったことでプレッシャーや使命感、責任感を感じたことは?
花江:最初の頃とほとんど変わりませんが、『鬼滅』が好きなので、自分が想像していたようなシーンにしたい、お芝居をしたいというプレッシャーはあります。
原作を読んでいた時にイメージしていた理想の炭治郎とズレたりしないようにしなきゃと。『鬼滅』は僕の中では、客観的にも楽しめる作品なので、見た時に「この炭治郎、ちょっと違ったなあ」と後悔がないようにしなきゃと思いながら演じています。だから今回も公開が始まったら劇場に行って、いちファンとして楽しむつもりです。
演じる時は炭治郎の優しさや心の清らかさを意識。炭治郎から大きなパワーをもらいながら一緒に成長
――炭治郎を演じる上で、大切にしていることや意識していることは? またお話が進んでいく中で演じ方が変わった点はありますか?
花江:炭治郎がなぜ鬼殺隊に入ったのかというと、鬼になってしまった禰豆子を人間に戻したいという想いがあるからで、そこはブレないようにと思っています。まじめで優しい少年なので、倒した鬼にも寄り添えるような優しさや、分け隔てなく人びとと接することができる心の清らかさは常に意識しています。
変わった点は1話から年齢が上がっていくので、すこし年齢感を変えているのと、任務を重ねていくうちに彼の覚悟や、精神的、また肉体的な強さが増しているので、演じる上でも、もっと声に圧や覇気を出したり、気持ちを入れようと思いました。
――逆に炭治郎から教わったことはありますか?
花江:妹を人間に戻すという想いだけで、あれだけ頑張れる。長く苦しい修業や、つらいことに直面してもあきらめずに頑張れる。そんな炭治郎から、前向きな気持ちをもらいました。
僕も日常生活でくじけそうになった時、「炭治郎があれだけ頑張っているのだから、僕だってこれくらいは乗り越えられるはず」と力が湧いてくるし、アフレコの時も「炭治郎がこのシーンでこんなに頑張っているのだから、自分も頑張って声をあてないと負けちゃうぞ」という気持ちになったり、一緒に成長している気がします。
関係性が深まる善逸と伊之助。回を重ねるごとに感じる禰豆子との絆の強さ
――一緒に行動を共にする善逸や伊之助との関係性の変化を感じたところは?
花江:TVアニメを経て、今回の劇場版ではより親密になっていると思います。仲間として、同期として一致団結して鬼を倒そうとしている。伊之助も最初は利己的で対立することもよくあったけど、段々打ち解けるようになって、人の優しさに触れることで他人のことを思いやれるようになって。
そんな関係性の中で、炭治郎も禰豆子だけでなく、善逸や伊之助はもちろん、みんなを守らないといけない、死なせたくないという気持ちがどんどん強まっているのだと思います。
――最初に出会った時はまさかこれほど大切な存在になるとは思いもしなかったのでは?
花江:最初の出会いの印象は2人共、そんなに良くなかったので、よくここまで仲良くなれたなと(笑)。ただ、みんな根はいい子なので、炭治郎も彼らの良さを感じ取れたのではないかなと思います。
――禰豆子について変化や成長を感じた点はありますか?
花江:鬼になってしまったばかりの最初は、人を襲いそうな危うさもありました。今は鱗滝(うろこだき)さんの暗示もありますが、それだけではなく、炭治郎との絆も含めて、人を思いやる感情がしっかりと芽生えているのかなと思います。
印象的かつ大変だった1話。今まで戦った中で一番手ごわかった鬼は?
――ここまで演じてきた中で印象的なシーンや苦しかった戦いを挙げるとすれば?
花江:全話全シーン印象深いんですけど、1話は特に大変でした。鬼殺隊の冨岡(義勇)さんが現れて、鬼になった禰豆子を討とうとした時、助けてくださいと必死に懇願したのに逆にお説教をされて(笑)。
炭売りの少年がいきなり禰豆子以外の家族全員を殺されて、禰豆子を抱えて雪山を必死に降りるというつらいシーンが、1話ということで、まだ探り探りの状況だったので難しかったです。
――炭治郎の前に現れる鬼がどんどん強さを増していくのでそこも大変そうですね。
花江:そうですね。累も強かったけど下弦の伍で、劇場版に登場する魘夢(えんむ)は下弦の壱。いきなり4段階アップなので「大丈夫かな? 勝てるのかな?」と(笑)。
鬼を演じるキャストの皆さんが炭治郎を本気で倒しに来るので、「ダメだ。負けちゃう」と思ってしまいそうになるけど、負けないように、全力のお芝居で返して。毎回、緊張感がある掛け合いやお芝居になるので、それが自然といい作品作りにつながっているのかなと思います。
――今まで戦った鬼の中で手ごわかった、印象深かった鬼は?
花江:累ですね。倒せなかったので。印象に残っているのは手鬼です。初めて炭治郎の前に立ち塞がる強大な敵で、本当に倒せるのだろうかと思うほどの圧を感じたし、「何でこんなに手がいっぱい生えているんだろう?」と思ったり(笑)。
人間だった時の回想シーンはグッときましたね。何故あの姿になったのかわかった時、「『鬼滅の刃』はこういうテーマの作品でもあるんだ」と分かって、印象に残っています。
――ご自身が演じるキャラ以外で、お気に入りのキャラを教えてください。
花江:いっぱいいますね。煉獄さんや宇髄さんもカッコいいけど、個人的にはアオイちゃんが好きです。かわいいから(笑)。
――煉獄は今回の劇場版でも登場しますが、どんなキャラクターですか?
花江:煉獄さんは無限列車の任務において、炭治郎たちと行動を共にするキャラクターです。言葉がストレートに伝わってくるキャラクター性に、日野(聡)さんのお芝居が重なって、より煉獄さんの良さが出ていると思います。