『アニソン大賞』選考員・DJ和氏とアニメイト松原正泰氏が語る!『平成アニソン大賞』&『令和アニソン大賞』の舞台裏と、激動の時代におけるアニソンのあり方【インタビュー:前編】
実は時間押しまくりだった生配信
――さまざまな苦難があった選考会議を終え、CDの制作がスタートした中、2019年3月に生配信番組が行われたわけですが、放送後の反響などはいかがでしたか?
松原:反響は大きかったです。アニメイトの社員にも見てくれた仲間がいて。ただアニメイト代表として出たこともあってあまりはっちゃけ切れなかったので、「普段よりおとなしかったですね」って言われたりもして(笑)。
一同:(笑)
DJ和:当たり前ですよねと思いながら(笑)。
松原:あと、僕の仕事柄、ああいった形の仕事は普段からしているわけではないので、ちゃんとできたんだろうか、と後から考えたりもしましたね。
アニメイトのイベントなどで少しMC的なのをやったり、呼び込みで盛り上げたりなどはしますけど、あのメンバーの中で言えばど素人ですから。
DJ和:平成の31年間を2時間で語るのはまったく足りないなと思いましたね。話したいことはいろいろありましたが、どうしても尺の都合で次に行かざるをえなくて。
松原:番組の進行役が冨田さんで、冨田さんが見やすい位置にタイマーが置いてあったんです。隣に座ってた僕にも見えたんですけど、明らかに時間が押してて(笑)。
一同:(笑)
松原:右隣の冨田さんから、その焦りが感じられるんですよね(笑)。「ヤバい押してる押してる」と。
DJ和:そうだよな、とは思いつつも、まあ案の定でしたね。
松原:一番離れた位置にいるさいとーぴーからは時間が見えないから、もう巻かなきゃいけないのに喋り出しちゃうみたいなこともあって(笑)。
DJ和:次第に、喋ろうと思っていたこともちょっと遠慮するようにして、冨田さんに振られたときだけ喋ることにしました(笑)。
松原:さいとーぴーはいろいろぶっ込んでくるので、さすがだなあと思いました。TrySailの「adrenaline!!!」で絶対に喋ってやろうと考えていた話もありましたが、振られなかったら喋んないようにしようと。そうじゃないと番組終わりませんから(笑)。
DJ和:やっぱり2時間は無謀でしたね。
松原:番組が終わったあとにTrySailのライブの現場に行ったときに、「なんでTrySailの話題で喋らなかったんですか?」ってファンの人に言われましたもん(笑)。「松原さんが喋ってくれると思ったのに」と。
一同:(笑)
松原:いや、あのときは時間が押してて……と答えました(笑)。
DJ和:このメンバーで、この人数で、アニソンの話したらねえ。結果的にまあ、このぐらいの時間でよかったのかもしれませんね。キリがなさそう(笑)。
松原:むしろ聞きたいんですけど、僕だけずぶの素人で大丈夫だったかな、と。
DJ和:いや、全然大丈夫ですよ。
――ちなみに最初の10年だけで40分近く喋ってますね。
松原:そうなんですよ。その時点ですごい焦りが生まれてしまって、残りの20年巻かないと! って(笑)。実際にやってるときは、ほとんど触れてなかった印象がありましたけど、今見ると全然ですね。
DJ和:その結果、けっこう後ろが駆け足になってましたもんね。
松原:新しい曲のほうが仕事で関わったものも多いと思うので、話はたくさんあると思うんですけど。
DJ和:真ん中の年代とか20分ちょっとしか喋ってないかもしれませんね。(番組内で「Catch the Moment」の歌詞がいい、という話に)ここのくだりは番組でもなんでもないっていう(笑)。
松原:「Catch the Moment」のどこが好きかっていう話でも、ライブエンターテインメントとして、歌手・LiSAのストーリーを踏まえて、作品の主題歌として……というようにそれぞれ違うポイントを挙げていたのがとても印象的でしたね。このメンバーだからこその面白さだと思いました。
DJ和:確かに。アニソンを評価するときにどの目線で見ているか、みたいな。アニメのストーリーと合っているか、ライブで盛り上がるか、とか。単純に歌詞がいい、曲がいいとかも含め、総合的に評価されるのがアニソンの特徴だと思いますね。すべてが混ざったときにすごいものが生まれる、というのが面白いところなので。
松原:どの目線で評価してるのかは人によって違っても、最終的にいい曲だよね、と思うのは変わらない。それをこの瞬間に皆さんがひしひしと感じたと思います。
お客さんにおいてもそれは同じで、ライブで盛り上がれるから、アニメが好きでそこから曲にハマった、逆にアーティストが好きでそこからアニメにもハマった……など、いろんな人がいて。人気が出る曲は、いろんな方面で認められる曲なんだな、という一つの例として「Catch the Moment」は出たんだと思います。
この番組の当日も、アーティストサイドにはなにも告知していないにも関わらず、どこからか情報を仕入れたアーティストの方がどんどん見てくださっていて(笑)。
DJ和:我々の緊張感がね(笑)。下手なこと喋らんぞ、と。どのくらいのタイミングでトレンドに入ったんだろう? 序盤からってことはないだろうし、中盤から後半にかけてコメントとかの具合で、僕らも盛り上がりを肌で感じたんですけど。
松原:90年代の楽曲のときには神前暁さんがツイートしてくれていて。
DJ和:ああ、そうだ。そこからいろんなアーティストさんがツイッターで反応してくれたり。あとはファンの方が「おめでとう!」みたいなリプライをしてさらに広まったり。あれがまさに僕らのやりたかった、曲を生み出してくれた人たちに感謝するということですね。