『アニソン大賞』選考員・DJ和氏とアニメイト松原正泰氏が語る!『平成アニソン大賞』&『令和アニソン大賞』の舞台裏と、激動の時代におけるアニソンのあり方【インタビュー:後編】
お客さんとの距離の近さが楽しい『令和アニソン大賞』
――そして昨年の12月6日には、ロフトプラスワンで『令和アニソン大賞』が行われました。お客さんを招いてのイベントになりましたが、こちらはいかがでしたか?
松原:やっぱり僕は素人なので、「緊張してうまくできるかな?」と不安だったんですけど、いざやってみたらそんなに緊張せずに済みましたね。
あとは、先ほども言いましたが現場で「なんでこれ入ってないの?」みたいな質問にどう答えるかには気を遣いました。
もとから「みんな言わないでね。その代わり言えないことも言うよ」というコンセプトだったので、なおさら楽しかったです。あのとき僕だけスーツだったのがまた。
DJ和:みんなラフな格好の中でね。
松原:日中仕事してそのままだったので。一番かっちりした格好のやつが、一番ぶっこむっていう(笑)。
一同:(笑)
松原:最前列の方とは乾杯なんかもしたりして。本当に楽しかったですね。
DJ和:そうですね。お客さんがいると笑い声も聞こえるし。今となっちゃかなり密な環境でしたけど、あの環境ってやっぱり楽しいんだなって、今だからこそ思いますね。
松原:かなり距離が近かったですからね。あの人数だと本当にギリギリな感じで。ああいう距離感で話すのはやっぱり自然というか、配信番組とはまた違う感じでいいな、と思いました。
DJ和:酒が入っていたのもあって、あんまりなにを話してたか覚えてないんですけど。
――『平成アニソン大賞』の振り返りと、『令和アニソン大賞』を決める、というふたつが主なトピックでしたね。
DJ和:平成を振り返るのでけっこう時間を使ったことは覚えてますね。
松原:そうそう。残り30分くらいで令和の大賞を決めるみたいな(笑)。
――大賞は「紅蓮華」、特別賞が「エイミー」という結果になりました。
DJ和:2曲選ばれるのがいいですよね。しかも両極端の。結局「紅蓮華」だけが選ばれてしまうと2~3時間のお喋りが無意味になってしまうというか。
松原:別に我々じゃなくても「紅蓮華」だよね、となってしまうので。
DJ和:今年もいろいろあったので、令和2年はどうなるんでしょうね。
――今年開催予定の『令和2年アニソン大賞』ですね。新型コロナウイルスによる社会情勢の変化は、アニメの現場にもさまざまな形で現れています。そのあたりはどのように感じていますか?
松原:やっぱり、コロナの感染防止や予防の観点から、オンラインを利用する方が増えた気がしますね。社会人、学生問わず収入事情も変わったと思いますし、新しいライフスタイルを確立していく時期なんだな、と感じます。
環境の変化によって、今までアニメを見ていた人が見られなくなる場合もあれば、逆に自宅で過ごす機会が増えたことで、アニメにハマった人もいたりすると思います。そういった改めてアニメに触れた方たちが「アニメって面白いよね」と盛り上がってくれるようになれば、変な話ですが“減った分が増える”ことで、なんとかやっていけるのかな、とも思ったりします。
あとは、ライブができなくなっているのはやはり大きいですね。「平成アニソン大賞」のときに時代の移り変わりによって求められる楽曲が変わっていく、という話をしたと思うんですけど、もしかしたらこの先、この状況が長く続くことがあれば「一緒に生で何かする」という楽曲から、配信ライブに適したような楽曲に変わっていくのかな、とも考えたりしますね。
リアルだったら合いの手が入るような楽曲を家でやって楽しいのか、アーティストさん側に見えないし聞こえないから違うやり方が出てくるのかなど、求められる楽曲がまた変わってくる時代になるのかな、という予感があったりもします。
――コール&レスポンスをしても聞こえるのは自分だけですからね。
松原:あれはやっぱり一体感があるからこそ高揚感とか盛り上がりが生まれると思うので。ペンライトが自分と同じリズムで何万本も動いたり。
DJ和:大きい会場でペンライトの動きがより見られるのは後ろの席だったりするわけじゃないですか。あれはまた別の感動がありますよね。
もちろん、配信ライブでも「一緒に踊ろう」とか「声聞かせて」という煽りはあるんですけど、お客さんで実際にやっている人ってほぼいないと思うんですよね。その代わりに「見てるよ」ということを伝えるために、ペンライトと一緒に画面の写真を撮ってSNSで発信しているのかなと。
毎週のようにいろんな配信ライブを見ていて、みんないろいろ感じていく中で、そういったものがブラッシュアップされていくんだろうなと思います。今はまだ、現地でやってたライブを、ほぼそのまま配信するという形だと思うんですけど、次第に変わっていくんだろうなと。違う配信の形を誰かが作るのか、みんなで開発していくのか、徐々に変わっていくのか。