『アニソン大賞』選考員・DJ和氏とアニメイト松原正泰氏が語る!『平成アニソン大賞』&『令和アニソン大賞』の舞台裏と、激動の時代におけるアニソンのあり方【インタビュー:後編】
この状況だからこその新しい盛り上がりや支援の形を探して
――そんな激動の時代の中開催される『令和2年アニソン大賞』ですが、おふたりはどのように盛り上げたいですか?
DJ和:今年は本当に各アーティストさんも動きが大きく変わったので、どうなるか分からないですね。ただ、発売できない、制作できないこともある中で、それでもいい曲は生まれていると思います。
売上という観点はまだ調べていないので分からないんですけど、10年前に比べるとはるかにいろんな種類の作品ができているし、どこからどこがアニソンなのか、という区別の話も出そうな気はしますね。
――今年出てきた曲以上に、いまだに「紅蓮華」が売れているのも印象的です。
DJ和:ランキング1位に「紅蓮華」がずっといて、その下が激しく動き続けているという状況でしょうかね。
――ほかの音楽業界同様、アニソン業界もCDだけではなく、ストリーミングやサブスクリプションサービスが広がりつつあります。
DJ和:あとは、アニソンシンガーだけじゃなく、バンド、歌い手、VTuberなど、かなりいろんな人がアニメとタイアップする機会が増えたなと思います。レーベルや事務所も、ドラマやアニメという大きなタイアップを付けたいと思っているんでしょうね。
そういったアニソンシンガー以外の人がどこまで入ってくるんだろう、というのはひとつ注目ポイントかもしれません。
あとは、ライブがなかった分「ライブでこの曲盛り上がったよね」といった見方があまりできなさそうな印象はありますね。
声優さんのYouTubeチャンネル開設も多かったので、そこも話せたらいいですね。曲以上に人として、この人は今年盛り上がっていたから一曲入れよう、みたいな展開もありそう。イベントやライブがない以上、SNSやネットの盛り上がり、配信ライブがどれだけ話題になったか、トレンドに入ったかなども重要な要素になりそうです。
松原:1月クールはまだそこまで影響がありませんでしたが、4月クールからはアニメの制作が遅れて、放映が後ろ倒しになることもよくありましたし。それに伴ってCDの発売もずれたり、アニメが好きな人たちが仲間内で集まっていればもっと話題になった曲もあったかもしれない、と考えると、いろいろなところに影響が出ていますね。
今、乗りに乗ってて、ここでもう一回ライブやってたらグンと伸びたよね、みたいなアーティストが、イベントがなくなったことで、ネット上で話題になったりはしても、少し伸びがゆるやかになってしまったり。
アーティストや声優さんで、今年からネットで発信をするようになった方は増えたと思うんですけど、普段からSNSをしてる人は、この情勢になる前からやっていたと思うんです。そういう人たちに「第2のLiSAさん」のような存在を見出してほしいな、と個人的には思っていて。
――と言いますと?
松原:LiSAさんは「紅蓮華」はもちろん、今アニソン業界をトップで引っ張っている人のひとりだと思います。ただ、業界を引っ張るアーティストというのは、自身の実力や努力はもちろんなんですけど、お客さんが育てた、という部分もすごくあると思っていて。
だからこそ、第2、第3のLiSAさんのような存在が生まれるためにも、ユーザーのみなさんには自分の中でいいなと思った人を周りに積極的に発信してほしいなと。
外に出られないからこそ、ネットで知らないものに出会える機会が増えている今だからこその、従来とは違う盛り上がり方、話題のなり方が今年は増えたと個人的には思っていて。
タイアップって正直強いもの、弱いもの両方あって、ある種の運だったり、読み切れなかったりする部分があるので。だから、それ以外の努力や、お客さんの力添えみたいな活動がもっと活発になればいいなと思っています。
1月、4月、7月と今年の各クールの楽曲をチェックする中で、定番以外のいろんな人の歌を聞くと、「今まで聞いたことなかったけど、この人いいな」と思うことも僕自身たくさんあります。有名な方を「いいね」って言うのは、同意する人もいっぱいいて簡単じゃないですか。でも、そうじゃない意見、「周りにはあまりいないけど自分はこれがいい」という声もないと始まらないと思います。
そういったものを得られると、このピンチの状況をチャンスに変えられるのかなと思ったりもして。それが話題になって、裏アニソン大賞になるのか、あるいは今までなかった全然別の賞を作るのか、どうなるかは分かりませんが、この情勢を楽しむきっかけになればいいな、と思いますね。
――まだ、おふたり的に「この曲は絶対来る!」みたいな曲は出ていない段階でしょうか。
DJ和:そうですね。まだちょっと早い。これは入るだろうな、という曲はうっすらあったりはしますが、まだ逆転する可能性は全然ありますし。
松原:これは入れたいな、と思う曲はあったりします。でも、大賞クラスはなんなのか、本当にまだ分からないですね。意見が分かれそうな気がします。
――『鬼滅の刃』は劇場版も控えてますから、そこも気になるところですね。
DJ和:間違いなく売れるとは思いますけど、大賞になるかは分からないですよね。売上だけじゃないのがこの大賞の面白いところでもあるので。
松原:話題も売り上げもあるけども、ってところですよね。2年連続でいいのか、という審査も入ってくるでしょうし。
「平成アニソン大賞」のときも、LiSAさんのどの曲を入れるか問題があったわけですし。それに「平成アニソン大賞」のときは細かい賞もありましたが、「令和アニソン大賞」は大賞だけなので。
――前回は時間があまりなかったのもあって大賞だけでしたが、今年は少し賞が増えるかもしれません。
DJ和:確かに、特別賞とか企画賞みたいな。ストリーミングの動きも参考にしてなにか新しい賞ができるかも。
松原:この大変な環境の中でデビューされた方もいるので、そういう方にもスポットを当てられたらいいですね。そういったことで「Agapē」のときのような、盛り上げに貢献できたらいいなと思います。
――では、最後に読者の方へメッセージをお願いします。
DJ和:今回もユーザー投票が行われると思います。今年は本当に意見がバラバラになるだろうと思いますし、逆にそれだけアニメ、アニソンに対していろいろな感じ方をしていると思うので、去年までとは全然違うものになりそうで楽しみです。
審査員のメンバーもそれぞれ新しい体験をして価値観も変わっていると思いますし、来年以降の展望なども含めて、かなりの転換点な気がするので、その新しい時代を感じられるものになるよう頑張ります。ぜひみなさんも楽しんで、自分なりの今年の一曲を投票してもらえればと思います。
松原:この状況下なので、どういった形でイベントが実施されるかは、まだ分からないことだけご了承ください。
今、家にいることが多いと思いますが、だからこそアニメという文化をゆっくり考えながら、今まで以上に楽しんでいただきたいと思います。
楽曲もまた、今までとは違う楽しみ方や着眼点をぜひ見つけてみてください。今まではライブでの盛り上がりやノリを重視していたのを、今度はメロディーラインや歌詞に共感して選曲してみたり、好みのジャンルのアニメじゃなかったけど、いざOPを聞いてみたら曲はすごい好みだった、というような発見をしてみたり。
そういったさまざまな体験をストックしてもらって、選考委員も唸るような一曲をチョイスしてもらえたらとても嬉しいです。
イベント情報
イベントタイトル:令和2年アニソン大賞 ノミネート発表特番~2020年末SP~
開催日:2020年12月4日(金)
時間:
第1部[令和2年アニソン大賞選考会議] 18:30~20:30(予定) ツイキャスにて有料配信
第2部 [令和2年アニソン大賞ノミネート発表特番] 21:00~22:30(予定) YouTube Liveにて無料配信
場所: ロフトプラスワン(新宿)
出演者:
冨田明宏(音楽プロデューサー / アニソン評論家)
吉田尚記(ニッポン放送アナウンサー)
齋藤P(アニメロサマーライブ 統括プロデューサー)
DJ和(J-POP / アニソン DJ)
前田 久(アニメライター)
松原正泰(アニメイト)
配信プラットフォーム:
[令和2年アニソン大賞 選考会議] ツイキャスにて有料配信
視聴チケット:¥1,500 キャスマーケットにて発売致します。
購入は コチラから
※選考会議ではノミネート楽曲の発表は行いません。21時から配信される第2部の番組にて
ご確認ください。
※アーカイブ配信はございません。
※配信サービスの仕様上、放送の遅延などが発生する場合がございます。
※配信内容を録画するなどして再配信する行為は禁止させていただいております。
※出演者の諸事情により、やむをえず遅刻、欠席、リモートでの参加になる場合がございます。
※当日、会場にはご入場いただけません。また、入り待ち・出待ちなどの行為も禁止となります。
※お客様のインターネット環境、視聴環境に起因する再生不良があった場合、
払い戻しはいたしかねます事を予めご了承ください。
[令和2年アニソン大賞 ノミネート発表特番] YouTube Live にて無料配信
URLは、コチラから
◆イベント情報は、LOFT HPをご覧ください。
https://www.loft-prj.co.jp/schedule/broadcast/163337