Run Girls, Run!厚木那奈美インタビュー|MANGA都市TOKYOの中で、これからのアニメ文化について考えてみた
今後のアニメ、漫画、ゲームについて
――最近、動画配信サービスのランキングを見ているとアニメか韓流ドラマが大半を占めている印象がありました。アニメや漫画が日本のエンタメを引っ張っている一つと言っても過言ではないという見方もあります。厚木さんはここまで発展したアニメ文化についてどのように感じていますか?
厚木:これは私の考えなんですけど、ジャパニーズカルチャーを浸透させる一つの表現方法になってほしいと思います。
アニメをキッカケに将棋に興味を持ったり、落語を実際に聞きに行ったりするって本当に素晴らしいことだと思うんです。アニメや漫画がジャパニーズカルチャーとして認められたことで、そうした伝統の世界と融合することができるようになったというか。
これから、日本の伝統工芸や日本発祥のものにスポットライトが当たった作品が出てくるんじゃないかなって思います。
――かるたを題材にした『ちはやふる』や、なぎなたをテーマにした『あさひなぐ』だったり、色々な名作がありますよね。
厚木:そうですよね。これまで馴染みがないというだけでニッチな世界だって思っちゃうじゃないですか。
例えば、歌舞伎や能はすごい世界観ですし、絶対に行ったほうが勉強になると思うんです。でも、中々一歩踏み出す勇気が出なかったりしますよね。
でも、そういった伝統のある世界の中で生きている方々も、私たちと変わらないような日常を過ごしているかもしれない。そういったことを描くことができるのって、アニメや漫画の強みだと思うんです。
普段だったら客席でしか見ることができない世界の裏側を知ることで、知識や強い興味を持つことができるのは絶対楽しいし、新しい発見が沢山あるんじゃないかなって。
――そうですね。それだと敷居が下がって、足を運びやすくなるかもしれません。
厚木:伝統工芸の現場で継ぎ手がいないってニュースを聞くときもありますが、それもアニメや漫画を通じて情報を発信することで魅力が伝わって、手を挙げる人も出るんじゃないかなって。
アニメや漫画にはまだまだ沢山の可能性があると思うので、これまでの歴史を知るという意味でも、『MANGA都市TOKYO』はすごく価値がある気がしますね。
2020年。まだ、国立新美術館に足を運べていな方へ
――ありがとうございます。では、最後に。2020年は移動してエンターテイメントを体感することが非常に限られた一年になりました。
厚木:今年に入って制限された生活が続きましたよね。それこそ、外出することもためらうような時期もありましたし。今ようやく少しずつ解除されてきて、思うことなんですけど。これまでの日常って、本当にありがたいものだったんだなって思うんです。
そうしたありがたさを知った上でアニメを見ると、私の中で少し感じ方が変わったんです。
ちょっとした背景で緑が出てきた時に、「こんなに緑って綺麗なんだ」って思ったり、日常に溢れた光がこんなに綺麗なんだって思えたり。今日は朝早いなーって、下を向いて学校に行っていたのが本当に勿体ない時間だったんだなって。
日常にありがたみに気づくことができた今。何かに制限された暮らしをしてきた今だからこそ、新しいことに気付くことができると思います。
『MANGA都市TOKYO』はそういった意味でも私に新しい発見をくれたので、ぜひ皆さんも足を運んでいただきたいなって思いますね。
〔取材・文 川野優希 / 写真 相澤宏諒〕