ラジオドラマ『下町ロケット』ナレーション、音楽などを担当する声優の野島裕史さんにインタビュー！　劇伴を手掛けるまでの経緯は？作曲秘話に迫る！

KBCラジオ（九州朝日放送）が、あの大人気小説『下町ロケット』（原作：池井戸潤・小学館文庫刊）をラジオドラマ化。『ミヤリサン製薬 ラジオ劇場 下町ロケット』のタイトルで、2020年10月5日より放送を開始しました。

『下町ロケット2 ガウディ計画』『下町ロケット ゴースト』『下町ロケット ヤタガラス』の “下町ロケットシリーズ”すべてをラジオドラマ化、約4年かけて放送されることが決定。アーカイブを日本最大級のオーディオブック配信サービス「audiobook.jp」聴き放題プラン（※初月無料）で配信します。

今回はこのラジオドラマ『下町ロケット』で、ナレーションと音楽などを担当する声優の野島裕史さんにインタビュー。「声優の野島さんが、音楽担当！？」と驚く方もいるかもしれませんが、そのあたりのお話をじっくりとうかがいました。

野島裕史さんプロフィール

東京都出身。「キングダム」（蒙恬役）、『イナズマイレブン』（豪炎寺修也役）、『弱虫ペダル』（石垣光太郎役）、『黒子のバスケ』（伊月俊役）など多数作品に出演。『ミヤリサン製薬presents 北方謙三 水滸伝』では、ひとりで４００人以上の役を演じたことで話題となった。

「いつか劇伴を作りたい」――１０代の頃の夢が花開いた！　

――声の出演だけではなく、なんと今回は劇伴（映画やテレビドラマ、アニメなどで流れる伴奏音楽のこと）を作られたということですが……「作曲も！？」と大変驚きました。

野島裕史さん（以下、野島）：まさか劇伴を作曲する日がくるなんて……正直、一番驚いているのは自分です（笑）。今回まず出演依頼をいただいたのはナレーションとして、です。『下町ロケット』の制作スタッフは、2011年から2017年まで放送された『ミヤリサン製薬presents 北方謙三 水滸伝』（原作：北方謙三著『水滸伝』、集英社文庫刊）のスタッフとほぼ同じメンバー。気心の知れたチームなので、「新番組をどんな風に作っていこうか？」と話しているうちに、プロデューサーから「野島君、作曲できるよね？　劇伴作ってみる？」と突然オファーがありまして。

実は、ラジオドラマやアニメの劇伴作曲をするのが１０代の頃の夢だったので……作曲の話が出たときには驚きと嬉しさでめちゃくちゃテンションが上がりました。

――音楽はいつから始められたのでしょう？

野島：５歳頃からピアノを始めて、中学生になる頃にやめました。その後、中学で友達とバンドを組んでキーボードを担当したことで、音楽の楽しさに改めて目覚めた感じですね。

高校生の頃には映画やアニメのサウンドトラックにハマって、ＣＤをコレクションするように。久石譲さん、坂本龍一さん、菅野よう子さんの曲が大好きで、よく聞いていました。海外のハリウッド映画のサウンドトラックにも、好きなものがたくさんあります。ちょうどその頃ですね、「いつか劇伴作りたい！」と思うようになったのは。

――では、今回のラジオドラマでその夢が叶ったと。

野島：いえ、実は20年以上前になりますが、声優になる前にコマーシャルなどを制作する会社で働いていたことがあるんですね。その会社でＣＭ曲を作曲して、実際に放送で流れたことがあります。

その時点で「劇伴じゃないけど、夢は叶ったんだ」と、それ以降はもうあまり作曲のことは考えないようにしていたというか。心の奥の深いところにしまいこんで、思い出さないようにしていたというか。もちろんその後、声優の仕事が忙しくなって作曲に取り組む暇がなかったというのもあるのですが……そういう経緯があるので、今回お話をいただいたときには「本当の意味で、夢が叶った！」と感激しました。音楽をずっと好きでいてよかったなと思っています。

オープニング曲の作曲秘話

――ずっと好きで大事にしていたものが、花開く。『下町ロケット』の世界観と通ずるようなところもありますね。２0年以上ぶりにまた本格的に作曲に取り組んでみて、いかがでしたか。

野島：「楽しい！！」のひとことです。久しぶりにキーボードの前に何時間も座って、頭に浮かんだものを曲にしていく作業に没頭しました。

アイデアが次々に溢れてきて、やっぱり自分は作曲が好きなんだと実感しています。作曲のジャンルではまったくの未知数である僕に、よくこんな大作の劇伴を任せてくれたなと。プロデューサーには感謝しかありません。

――オープニング曲が非常に印象的ですが、あの曲はどんなイメージで作られましたか？

野島：スタッフ一同でブレストした時に「マーチで」「どこか昭和感漂う、昔の特撮番組なんかで流れてたようなイメージで」「前向きになるようなポジティブなイメージで」というオーダーがあったので、まず「気分が高揚するようなメロディにしよう」と考えました。

ロケットが白い煙を少しずつ出しながら、ゆっくりと飛び立っていく――頭の中にその絵を浮かべていたら、ロケットの発射は物理的にも精神的にも「重いものから解き放たれる」ということの象徴なんじゃないかと思えてきて。そこからすぐに浮かんだのが、あのメロディです。

――夢と希望があり、明るい未来を創造できるような素敵な曲だと思います！　では４年続く大作『ミヤリサン製薬 ラジオ劇場 下町ロケット』への意気込みをお願いします。

野島：２０２０年９月に放送終了したテレビドラマ『半沢直樹』が絶好調だったということがあり、池井戸潤先生の作品にいい波がきていると思います。この流れを壊さないよう、もっと高くいい波になるようにナレーションとして、そして何役か出演することも決まっていますので、声優としても全力で頑張っていく所存です。

劇伴作曲家としてはデビューしたての新人ではありますが、これを読んで「野島に劇伴作らせてみよう」と思った方がもしいらっしゃいましたら！　作曲のオファーもどんどんお待ちしています！

――ありがとうございました。最後に、今回野島さんを劇伴作曲家として抜擢したプロデューサーに、その思いをうかがっています。

KBCラジオ（九州朝日放送）『ミヤリサン製薬 ラジオ劇場 下町ロケット』担当プロデューサーより。

「『水滸伝』の登場人物の中に、歌が得意な楽和という青年がいました。劇中で彼の歌をきっかけに戦闘が始まる場面があり、さて曲をどうしたものかと思っていたら、楽和を演じていた野島さんが曲を作って歌ってくれたんです。

その曲がなかなか良くって、印象に残っていたんですね。その後も音楽の話をする機会が色々ありました。そのような背景もあり、今回『下町ロケット』の劇伴をどうするかと考えたときに、『野島さんにお願いしてみよう』と。お願いしてからたった１週間でオープニング曲のデモ版をアレンジを何パターンか変えて提出してくれて。自分の目は正しかったと確信しました（笑）。

制作チームには偶然にも過去にバンドをやっていたディレクターや、大学で音楽を学んだサブディレクターがいます。そういう環境なので、スタート時点で野島さんが作ってくれた約１８曲を、さらにカッコよくしようとチームで一丸となって意見を出し合ったり、アレンジしたりしていきました。

そうそう、オープニング曲は、野島さんが作ったものにディレクターがウッドベースを弾いて後から音を重ねているんですよ。耳をすませば聞こえてくると思うので、そんな手作りの遊び心も楽しんでいただければと思います」

ミヤリサン製薬 ラジオ劇場 下町ロケット

【放送日程】
2020年10月5日（月）放送開始　　毎週月曜午後6時30分～45分

【原作】
池井戸 潤（小学館文庫刊）

【脚本】
田中摂　源祥子　大森信幸

【出演】
佃　航平：黒木 啓司（EXILE）
財前道生：平山 祐介
殿村直弘：保村 真
富山敬治：三浦 祥朗
佃　和枝：横尾 まり
和泉沙耶：榎 あづさ
佃　利菜：倉野尾 成美（AKB48）
ほか

【音楽・ナレーション】
野島　裕史

【制作】
ＫＢＣラジオ・スバルプランニング

【特別協賛】
ミヤリサン製薬株式会社

【放送枠】
ＫＢＣ九州朝日放送／月曜午後6時30分～6時45分
ＡＢＣラジオ（滋賀 京都 大阪 兵庫 奈良 和歌山）／土曜よる9時15分～
ＳＴＶラジオ（北海道）／月曜よる7時45分～
東北放送（宮城）／土曜よる9時45分～
信越放送（長野）／木曜よる6時15分～
ラジオ日本（茨城 栃木 群馬 埼玉 千葉 東京 神奈川）／火曜よる10時15分～
静岡放送／日曜あさ10時30分～
（※11/1(日)10時～、11/8(日)10時15分～、11/15(日)からは10時30分～）

以下は「ラジオ劇場　下町ロケット」として放送

秋田放送／火曜午後4時35分～
ラジオ福島／土曜午前9時20分～
北陸放送（石川）／日曜午後5時～
山陰放送（島根・鳥取）／日曜よる9時30分～
山陽放送（岡山）／月曜午後6時30分～
長崎放送／月曜よる8時30分～
熊本放送／日曜午後5時15分～
大分放送／月曜午後6時30分～
宮崎放送／日曜よる10時30分～
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【配信】
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