音楽
May'n カラフルなメインテーマが詰まった『15Colors』インタビュー

「“新しいことをしたい”、その気持ちこそが15年の集大成」デビュー15周年を記念したミニアルバム『15Colors』を3枚同時リリースするMay'nさんにインタビュー

新世代プロデューサーが集結した『15Colors -nu skool-』

──では『15Colors -nu skool-』について教えてください。この作品は特に新しい表情が見える作品となっています。

May’n:新しいクリエイターの皆さんとご一緒したいなという思いがあって。“新世代”という言葉を使いたくて、nu skool(ニュースクール)というヒップホップのシーンなどでよく使われる言葉をチョイスしました。

楽曲制作をお願いさせてもらったのが、ボカロ界隈で活躍されている方々がほとんどなので、ボカロで歌う楽曲を主に制作している方だからこそ難しい曲が多くて新鮮で。ソウルのときと同じく「私のことは気にしないで、ご自身でやりたい音楽を作ってください」とお願いしました。

──刺激的な制作になったのではないでしょうか。

May’n:歌詞も皆さんご自身で書かれるかたなので、詞も独特で、私にはない世界観を生み出してくれて。なんていうんですかね? 胸がキュンとなりながらも爽やかでっていうのが本当にグッとくるなって。

──sasakure.UKさんが手掛けた「オートマタ」は近未来感もあって。打ち合わせではロボットのお話で盛り上がったとか。

May’n:そうなんですよ(笑)。私は特別詳しいわけじゃないですけど、ロボットミュージアムにも行くくらいアンドロイドやロボットが好きで。未来の発展みたいなものに興味があるんですよね。いつかロボットが知能を身につけて人間を追い越すんじゃないかって常に考えていたら、そういった話をsasakureさんがされているのをたまたま拝見して。だったらsasakureさんにそういう曲を作ってもらいたいなと思って、未来の曲を作ってもらったんです。

映画のような話ですけど、いつかアンドロイドが知能を追い越して人間と戦うかもしれない……という説があるそうなんです。でもアンドロイドのなかには「本当にこれでいいのかな」って思ってる者もいて。逆に人間がアンドロイド化してしまってるかもしれない。そういう切なさみたいなものも話しながら曲をつくってもらいました。

── 一転して「春夢」は和風テイストの曲ですね。

May’n:「春夢」は"和"の世界観がパッと広がるような楽曲で。この10年海外でライブをさせていただくなかで、日本人としてできることって何かなってよく考えていたんです。アニソンという文化は日本のものですけど、もっともっと日本っぽい和モノの曲を作りたいなと。それで羽生まゐごさんが浮かんでオファーをさせていただいたところ、本当にきれいな曲を作っていただきました。日本人だからこそグッとくる曲だなって。

──「かわりゆくもの」の<かわりゆくかわりゆくかわりゆく>というメロディも綺麗です。

May’n:ありがとうございます! はるまきごはんさんの楽曲には、爽やかな前向きさ、胸がキュッとなるセンチメンタルさを感じていて。みんなの日常を彩るテーマとしていろいろな曲を歌いたいと思っていたときに、“変わりたい”って誰しもが経験したことのある気持ちかなと思ったんです。

もっとこんな自分になりたいなと思いながら誰もが生きてきたんじゃないかなと。私もずっと「もっと変わりたい」って思って生きてきたので、そんな前のめりの曲を作りたいと思ってオファーさせていただきました。ガッツのある感じというより10代の制服、炭酸の似合う曲にしたいなって思ってお願いしたら、曲のなかに「サイダー」って言葉を入れてくれて。すごく楽しい制作でした。

──「人生進行形」から「Digital Flower」に進んでいく展開にはドキッとさせられました。

May’n:「人生進行形」はMIMIさんが可愛くも切ない曲にしてくれて。「Digital Flower」を書いてくれたMiliさんの曲は普段からいろいろ聴いていたんです。独特な世界観を持っている印象だったんですが、特に『攻殻機動隊 SAC_2045』の曲はアカデミックで高級感があってカッコいいなって思っていて。今回お願いさせてもらったときにMiliのKasaiさんから「今こういう曲を歌うなら英語が絶対にカッコいいと思う!」ってご提案をいただいたんです。

そうしたら今までにないような新しい曲になって。May’nの歌い方、May’nらしさにこだわってきた時期もあったんですけど、この2、3年は「ボーカリストとしていろいろな声を出せる自分でいたい」という思いに変わってきて。もっと曲にあった歌い方ができるようになりたいという思いから、ボイトレを重ねていました。

この曲を聴いたときに「使ったことのない引き出しを開けられるかも!」と。それで、今までに出したことのないミックスボイス(地声とファルセットが混ざったような質感の声)で全編歌いました。この15年でたどり着けた新しいチャレンジだと思っています。

──「Digital Flower」は有坂美香さんが作詞を手掛けられています。有坂さんは『15Colors -soul tracks-』にも参加されていて、他にも「Destiny」などを担当されていますね。

May’n:有坂さんの歌詞ってすごく歌いやすいんです。日本語の歌詞もR&Bに似合う言葉をチョイスしてくれてますし、英語の時は日本人にグッとくる言葉をチョイスしてくれるんですよね。歌っててすごくしっくりきます。英語だとちょっと難しいって思う方もいらっしゃるかもしれませんが、本当にグッとくるワードを選んでいただいているので、歌詞に注目してくれたらうれしいです。

──英語ではありますけど、日本人にも分かりやすい言葉ですよね。

May’n:そうなんですよね。そんなに難しい言葉は使っていないです。

ミニアルバムのDLはこちらから

──今日は三枚のアルバムについて教えていただきましたが、最後に今作の制作を経て感じたこと、“これから”のことを教えていただけますか?

May’n:もともと音楽が好き、歌うことが好きって思いでデビューさせてもらいましたけど“好き”を15年間持ち続けて、それがどんどん強くなって。それは、最初にお話しさせてもらった通り、支えてくれて、共に歩んでくれる仲間がいると思えるからこそできることで。新しい音楽にチャレンジすることができたのも、15年共に歩んできてくれたファンの皆さんのおかげだと思います。

そんなファンの皆さんへの感謝と、そしてこれから出会う新しいファンのかたに向けて……「これからもMay’n、まだまだ音楽を楽しんでいきますっ!」と宣言するような、過去と今と未来をつなぐアルバムになったんじゃないかなと。まだまだ進化をしていきます!

──楽しみにしています! ありがとうございました。

インタビュー・文 逆井マリ

 

神奈川県横浜市出身。既婚、一児の母。音楽フリーペーパー編集部を経て、フリーのライターとしてインタビュー等の執筆を手掛ける。パンクからアニソン、2.5次元舞台、ゲーム、グルメ、教育まで、ジャンル問わず、自分の“好き”を必死に追いかけ中。はじめてのめり込んだアニメは『楽しいムーミン一家』。インタビューでリアルな心情や生き方を聞くことが好き。

この記事をかいた人

逆井マリ
神奈川県横浜市出身。音楽フリーペーパー編集部を経て、フリーのライターとしてインタビュー等の執筆を手掛ける。

担当記事

関連記事
絶望系アニソンシンガーの名のもと、孤独や哀しみに寄り添い進化を続けるReoNa TVアニメ『シャドーハウス』のエンディングテーマ「ないない」で未知の扉を開くまで/インタビュー前編
4月からTOKYOMXほかで放送中のTVアニメ『シャドーハウス』(原作:ソウマトウ)は、顔のない一族「シャドー」と、その“顔”としてシャドーに仕える世話係の「生き人形」が織りなすゴシックミステリーだ。物語の最後を飾るのは、ReoNaの「ないない」。ゴシック/クラシックとエレクトロを融合したサウンドで、『シャドーハウス』の妖しげな美しさと世界観を(毒にも近い苦味を忍ばせながら)醸し出した本作は、観るものに深いふかい余韻を残す――。その「ないない」をタイトルとしたシングルが、5月12日(水)に待望のリリース。初回生産限定盤(CD+DVD)、通常盤(CD)、期間生産限定盤(CD+DVD)には、「ないない」の他、多角的に絶望に寄り添った3曲と「ないない」のインストナンバー・TVサイズバージョン(それぞれの盤に新曲2曲ずつ)が収められている。下記インタビューは「ないない」が生まれるまでの軌跡を辿ったもの。後半のインタビューでは、本作のMV、収録曲の制作エピソードについてたっぷりと話を聞いているので、楽しみに待っていてほしい。新しいReoNaらしさが生まれた「ないない」――『シャドーハウス』のミステリアスな世界観に寄り添った「ないない」という素晴らしい曲が届きました。タイトルだ...
関連記事
TVアニメ『ふたりはプリキュア』の声優・本名陽子&ゆかな、西尾大介監督、鷲尾天プロデューサーがクロストーク「子どもたちに嘘はつきたくない」
プリキュアシリーズの原点となるTVアニメ『ふたりはプリキュア』の総集編Blu-ray/DVD『ふたりはプリキュア総集編~ぶっちゃけ、ありえな~い!?2020edition~』が2月26日に発売されます。『ふたりはプリキュア』は今から16年前の2004年2月から放送がスタートしました。その登場は鮮烈でした。「女の子だって暴れたい!」をコンセプトとしたダイナミックな素手でのバトル、女の子といえば“ピンク”という概念を覆す白と黒の衣装、男性ヒーローの不在、“きれいごとだけではない”日常と友情……。プリキュアシリーズの大きなテーマである多様性は、ここから生まれ、そして子どもたちに根付いていきました。レジェンドともいえる作品の主人公2人を演じたのは、本名陽子さん(美墨なぎさ/キュアブラック役)、ゆかなさん(雪城ほのか/キュアホワイト役)。そして、この作品を生み出したのは、当時女児向けアニメに初挑戦であったお二人=シリーズディレクターの西尾大介さん、プロデューサーの鷲尾天さん。総集編の発売に寄せて、4人にお話をうかがう機会をいただきました(さらに飛び入りで、当時キャスティングを担当していた小浜匠さんも参加してくださいました)。にこやかな笑顔でインタビューに答え...
関連記事
「普通のプリキュアと、もう一本アニメを作っているんじゃないかっていう感覚だった」 『スター☆トゥインクルプリキュア』のクライマックスに向けてシリーズ構成・脚本 村山功氏が想いを語る
クライマックスに向け加速しているTVアニメ『スター☆トゥインクルプリキュア』(以下『スタプリ』)。最終回のアフレコが終わった翌週の12月下旬。シリーズ構成・脚本を担当している村山功氏に、クライマックスに向けたお話やプリキュアに対する思いなどを語ってもらいました。村山さんは、『ふたりはプリキュアSplash☆Star』から担当されており、『魔法つかいプリキュア!』では、シリーズ構成・脚本を担当。もちろん、それ以降の『キラキラ☆プリキュアアラモード』『HUGっと!プリキュア』でも、脚本を担当されています。そんな、プリキュアのことを考え続けている村山さんが挑んだ「宇宙✕プリキュア=多様性」のプリキュアとは。ラストに向けて心高ぶるみなさんに、ぜひ読んでほしいインタビューになっています。また、今回のインタビューワーは、お子さんのいらしゃる女性のライターさんです。母子で観るプリキュアという幸せな時間を過ごしていることをイマジネーションして読み進めていただければと思います。最終回の収録を終えた心境──唐突ですが、毎週子どもと一緒に楽しく拝見させてもらっています。今日は宜しくお願いします。村山:ああ、それは嬉しいです。ありがとうございます。──...
もっと見る
関連記事
『キラッとプリ☆チャン』シリーズ構成・脚本 兵頭一歩さんに聞く、やりがいに溢れたプリ☆チャンとの3年間|語っても語りつくせないほどのエピソードがある――【インタビュー】
今年5月、TVアニメ『キラッとプリ☆チャン』の最終話が放映され、約3年、全153話に及んだ歴史に幕を下ろしました。7月23日(金)には、シーズン3の第127話から第138話を収録した『キラッとプリ☆チャンシーズン3Blu-ray&DVDBOX3』が発売!アニメイトタイムズでは『キラッとプリ☆チャン』の楽曲を手掛けられた松井さんに続いて、シリーズ構成・脚本を務めた兵頭一歩さんにオンラインでお話をうかがいました。兵頭さんは『キラッとプリ☆チャン』をはじめ、『トニカクカワイイ』『機動戦士ガンダムAGE』などのシリーズ構成や脚本を手掛けられています。それぞれの作品に並々ならぬ情熱と愛情を注いできた兵頭さんですが、その中でも『キラッとプリ☆チャン』は特別な作品だったと言います。『キラッとプリ☆チャン』での歩みを振り返りながら、自身の仕事観・キャリアについても教えてくれました。アニメイト通販での購入はこちら「いちばんの『プリ☆チャン』マニアであると思ってます」――『プリ☆チャン』が最終回を迎えられ、Twitterに「全てを出し切ったような、やり残したことがまだたくさんあるような、今はそんな気持ちです」と綴られていましたが、改めて今のお気持ちはいかがですか?兵頭一歩さん(以...
関連記事
6枚目のアルバムをリリースしたfripSide 「10周年というものがにじんでいるアルバムになった」その制作を振り返る/インタビュー
fripSide(sat、南條愛乃)の6枚目のアルバム『infinitesynthesis5』が10月30日(水)にリリースされます。今作には、TVアニメ『寄宿学校のジュリエット』オープニングテーマ「LovewithYou」、中国ゲーム『封印者M』主題歌)「LightingofMyHeart」、中国ゲーム『ラグナロクオンライン』新エピソードEP3.5『櫻之花嫁』テーマソング「perpetualwishes」など13曲を収録。南條愛乃さんが加入してから10年という記念すべき年に、最新型のfripSideが凝縮された、新たな名盤が生まれました。アニメイトタイムズではお二人を直撃。“これまで”の話にはじまり、創作現場の赤裸々な話まで、軽やかな雰囲気のなかインタビューが進んでいきました。10年目ならではの二人の空気感や、ユニットとしての充実感がにじんだ会話にも注目です。10年間で増えていったfripSideのチャンネル数──アルバム完成おめでとうございます!一昨昨日にマスタリングが終わったばかりだとうかがいしました。八木沼悟志さん(以下sat):間に合ってよかった……。毎回言ってるけど(笑)。──(笑)。10周年のアルバムということで、10周年を迎えられたお気持ちから教えていただけますか。南條愛乃さん(以下、南條):あっという間でしたね。振り返る...

リリース情報

May'n 15周年記念企画ミニアルバム『15Colors -soul tracks-』

M1 I'm alright
Music:Chocoholic, Kiyoshi Ikegami Lyrics:Kiyoshi Ikegami
Sound Produced:Chocoholic, Kiyoshi Ikegami

M2 Living My Life
Music:VivaOla Lyrics:Mika Arisaka
Sound Produced:VivaOla

M3 CAN NOT STOP
Music:Mori Zentaro Lyrics:May'n
Sound Produced:Mori Zentaro

M4 melodies
Music:TiMT from PEARL CENTER Lyrics:May'n
Sound Produced:TiMT from PEARL CENTER

M5 Hopelessly In Love
Music:Big Brother Lyrics:Mika Arisaka
Sound Produced:Jengi

 

【全曲ダイジェスト】

ミニアルバムのDLはこちらから

May'n 15周年記念企画ミニアルバム「15Colors -unplugged-」

M1 LOVE, Close to me

M2 shining ways**

M3 Goodbye Dear home

M4 Sweet fluffy

M5 Sing Of Dreams

 

Produced and Arranged: Jason Howland
Lyrics : May'n (M1,3,4,5)、
May'n / Chihiro Ozawa (M2)

 

【全曲ダイジェスト】

ミニアルバムのDLはこちらから

May'n 15周年記念企画ミニアルバム「15Colors -nu skool-」

M1 オート・マタ
作曲:sasakure.UK 作詞:sasakure.UK
編曲:sasakure.UK

M2 春夢
作曲:羽生まゐご 作詞:羽生まゐご
編曲:羽生まゐご

M3 かわりゆくもの
作曲:はるまきごはん 作詞:はるまきごはん
編曲:はるまきごはん

M4 人生進行形
作曲:MIMI 作詞:MIMI
編曲:MIMI

M5 Digital Flower
作曲:Yamato Kasai from Mili 作詞:有坂美香
編曲:Yamato Kasai from Mili

 

 

【全曲ダイジェスト】

ミニアルバムのDLはこちらから

関連リンク

May'n 公式サイト
May'n 公式Twitter

おすすめタグ
あわせて読みたい

おすすめ特集

今期アニメ曜日別一覧
2025年冬アニメ一覧 1月放送開始
2024年秋アニメ一覧 10月放送開始
2025年春アニメ一覧 4月放送開始
2024年夏アニメ一覧 7月放送開始
2024秋アニメ何観る
2024秋アニメ最速放送日
2024秋アニメも声優で観る!
アニメ化決定一覧
声優さんお誕生日記念みんなの考える代表作を紹介!
平成アニメランキング