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- 逆井マリ
- 神奈川県横浜市出身。音楽フリーペーパー編集部を経て、フリーのライターとしてインタビュー等の執筆を手掛ける。
──では『15Colors -nu skool-』について教えてください。この作品は特に新しい表情が見える作品となっています。
May’n:新しいクリエイターの皆さんとご一緒したいなという思いがあって。“新世代”という言葉を使いたくて、nu skool(ニュースクール)というヒップホップのシーンなどでよく使われる言葉をチョイスしました。
楽曲制作をお願いさせてもらったのが、ボカロ界隈で活躍されている方々がほとんどなので、ボカロで歌う楽曲を主に制作している方だからこそ難しい曲が多くて新鮮で。ソウルのときと同じく「私のことは気にしないで、ご自身でやりたい音楽を作ってください」とお願いしました。
──刺激的な制作になったのではないでしょうか。
May’n:歌詞も皆さんご自身で書かれるかたなので、詞も独特で、私にはない世界観を生み出してくれて。なんていうんですかね? 胸がキュンとなりながらも爽やかでっていうのが本当にグッとくるなって。
──sasakure.UKさんが手掛けた「オートマタ」は近未来感もあって。打ち合わせではロボットのお話で盛り上がったとか。
May’n:そうなんですよ(笑)。私は特別詳しいわけじゃないですけど、ロボットミュージアムにも行くくらいアンドロイドやロボットが好きで。未来の発展みたいなものに興味があるんですよね。いつかロボットが知能を身につけて人間を追い越すんじゃないかって常に考えていたら、そういった話をsasakureさんがされているのをたまたま拝見して。だったらsasakureさんにそういう曲を作ってもらいたいなと思って、未来の曲を作ってもらったんです。
映画のような話ですけど、いつかアンドロイドが知能を追い越して人間と戦うかもしれない……という説があるそうなんです。でもアンドロイドのなかには「本当にこれでいいのかな」って思ってる者もいて。逆に人間がアンドロイド化してしまってるかもしれない。そういう切なさみたいなものも話しながら曲をつくってもらいました。
── 一転して「春夢」は和風テイストの曲ですね。
May’n:「春夢」は"和"の世界観がパッと広がるような楽曲で。この10年海外でライブをさせていただくなかで、日本人としてできることって何かなってよく考えていたんです。アニソンという文化は日本のものですけど、もっともっと日本っぽい和モノの曲を作りたいなと。それで羽生まゐごさんが浮かんでオファーをさせていただいたところ、本当にきれいな曲を作っていただきました。日本人だからこそグッとくる曲だなって。
──「かわりゆくもの」の<かわりゆくかわりゆくかわりゆく>というメロディも綺麗です。
May’n:ありがとうございます! はるまきごはんさんの楽曲には、爽やかな前向きさ、胸がキュッとなるセンチメンタルさを感じていて。みんなの日常を彩るテーマとしていろいろな曲を歌いたいと思っていたときに、“変わりたい”って誰しもが経験したことのある気持ちかなと思ったんです。
もっとこんな自分になりたいなと思いながら誰もが生きてきたんじゃないかなと。私もずっと「もっと変わりたい」って思って生きてきたので、そんな前のめりの曲を作りたいと思ってオファーさせていただきました。ガッツのある感じというより10代の制服、炭酸の似合う曲にしたいなって思ってお願いしたら、曲のなかに「サイダー」って言葉を入れてくれて。すごく楽しい制作でした。
──「人生進行形」から「Digital Flower」に進んでいく展開にはドキッとさせられました。
May’n:「人生進行形」はMIMIさんが可愛くも切ない曲にしてくれて。「Digital Flower」を書いてくれたMiliさんの曲は普段からいろいろ聴いていたんです。独特な世界観を持っている印象だったんですが、特に『攻殻機動隊 SAC_2045』の曲はアカデミックで高級感があってカッコいいなって思っていて。今回お願いさせてもらったときにMiliのKasaiさんから「今こういう曲を歌うなら英語が絶対にカッコいいと思う!」ってご提案をいただいたんです。
そうしたら今までにないような新しい曲になって。May’nの歌い方、May’nらしさにこだわってきた時期もあったんですけど、この2、3年は「ボーカリストとしていろいろな声を出せる自分でいたい」という思いに変わってきて。もっと曲にあった歌い方ができるようになりたいという思いから、ボイトレを重ねていました。
この曲を聴いたときに「使ったことのない引き出しを開けられるかも!」と。それで、今までに出したことのないミックスボイス(地声とファルセットが混ざったような質感の声)で全編歌いました。この15年でたどり着けた新しいチャレンジだと思っています。
──「Digital Flower」は有坂美香さんが作詞を手掛けられています。有坂さんは『15Colors -soul tracks-』にも参加されていて、他にも「Destiny」などを担当されていますね。
May’n:有坂さんの歌詞ってすごく歌いやすいんです。日本語の歌詞もR&Bに似合う言葉をチョイスしてくれてますし、英語の時は日本人にグッとくる言葉をチョイスしてくれるんですよね。歌っててすごくしっくりきます。英語だとちょっと難しいって思う方もいらっしゃるかもしれませんが、本当にグッとくるワードを選んでいただいているので、歌詞に注目してくれたらうれしいです。
──英語ではありますけど、日本人にも分かりやすい言葉ですよね。
May’n:そうなんですよね。そんなに難しい言葉は使っていないです。
──今日は三枚のアルバムについて教えていただきましたが、最後に今作の制作を経て感じたこと、“これから”のことを教えていただけますか?
May’n:もともと音楽が好き、歌うことが好きって思いでデビューさせてもらいましたけど“好き”を15年間持ち続けて、それがどんどん強くなって。それは、最初にお話しさせてもらった通り、支えてくれて、共に歩んでくれる仲間がいると思えるからこそできることで。新しい音楽にチャレンジすることができたのも、15年共に歩んできてくれたファンの皆さんのおかげだと思います。
そんなファンの皆さんへの感謝と、そしてこれから出会う新しいファンのかたに向けて……「これからもMay’n、まだまだ音楽を楽しんでいきますっ!」と宣言するような、過去と今と未来をつなぐアルバムになったんじゃないかなと。まだまだ進化をしていきます!
──楽しみにしています! ありがとうございました。
インタビュー・文 逆井マリ
神奈川県横浜市出身。既婚、一児の母。音楽フリーペーパー編集部を経て、フリーのライターとしてインタビュー等の執筆を手掛ける。パンクからアニソン、2.5次元舞台、ゲーム、グルメ、教育まで、ジャンル問わず、自分の“好き”を必死に追いかけ中。はじめてのめり込んだアニメは『楽しいムーミン一家』。インタビューでリアルな心情や生き方を聞くことが好き。
M1 I'm alright
Music:Chocoholic, Kiyoshi Ikegami Lyrics:Kiyoshi Ikegami
Sound Produced:Chocoholic, Kiyoshi Ikegami
M2 Living My Life
Music:VivaOla Lyrics:Mika Arisaka
Sound Produced:VivaOla
M3 CAN NOT STOP
Music:Mori Zentaro Lyrics:May'n
Sound Produced:Mori Zentaro
M4 melodies
Music:TiMT from PEARL CENTER Lyrics:May'n
Sound Produced:TiMT from PEARL CENTER
M5 Hopelessly In Love
Music:Big Brother Lyrics:Mika Arisaka
Sound Produced:Jengi
【全曲ダイジェスト】
M1 LOVE, Close to me
M2 shining ways**
M3 Goodbye Dear home
M4 Sweet fluffy
M5 Sing Of Dreams
Produced and Arranged: Jason Howland
Lyrics : May'n (M1,3,4,5)、
May'n / Chihiro Ozawa (M2)
【全曲ダイジェスト】
M1 オート・マタ
作曲:sasakure.UK 作詞:sasakure.UK
編曲:sasakure.UK
M2 春夢
作曲:羽生まゐご 作詞:羽生まゐご
編曲:羽生まゐご
M3 かわりゆくもの
作曲:はるまきごはん 作詞:はるまきごはん
編曲:はるまきごはん
M4 人生進行形
作曲:MIMI 作詞:MIMI
編曲:MIMI
M5 Digital Flower
作曲:Yamato Kasai from Mili 作詞:有坂美香
編曲:Yamato Kasai from Mili
【全曲ダイジェスト】