「なにより距離を大切にしてる自分だからこそ、みんなと離れてしまったことが寂しかった」 ひまわりの笑顔が咲くまでの葛藤とホンネ/斉藤朱夏2ndミニアルバム『SUNFLOWER』ロングインタビュー
「とりあえず今日も頑張れそう」って思ってもらえたら
──1stシングルに収録されていた「36℃」は北海道の景色を思い出すようなウィンターバラードでしたけど、1曲目の「ゼンシンゼンレイ」は太陽が思い浮かぶような曲で。
斉藤:地域でいうなら沖縄ですよね! 正反対(笑)。みんなが少しでも明るくなってくれたらいいなって思って全力で制作したんです。元気で明るい、みんなが知っている斉藤朱夏っていうものを“改めて”じゃないですけど、詰め込もうということで……そうしたら、こういう感じになっちゃいました。
──「ゼンシンゼンレイ」の作詞作曲を手掛けているのは、おなじみのハヤシケイ (LIVE LAB.)さんです。ケイさんとはどのようなやり取りをされたのでしょうか。
斉藤:毎回ケイさんにはいろいろなメモ書きを投げていて。それを丁寧に切り取っていただいて、歌詞にしてもらっているんです。今回は、私が自粛期間中に思っていたことをケイさんにお渡しして。エネルギーがありあまっちゃってて、どこに爆発すればいいんだろう?って状態だったんですよね。
「ゼンシンゼンレイ」は、身体全部を使って遊びたくて、叫びたくて、みんなと一緒に手を掲げて、バカみたいに騒ぎたい!って思っていて。私って全然賢くないから、考えること苦手で。
──いやいやいや。賢くないって全くそんなことないと思うんですけど、直感的、感覚的って意味ですかね。
斉藤:頭で分かってるけど、身体で覚えないと分からない。何回も何回もやって、やっと覚えていく感覚タイプなんですよね。だから「頭で考えるの、もうやめたい!」って思って「やめませんか、皆さん!」と。
──声を大にして(笑)。そうした言葉が「ゼンシンゼンレイ」の冒頭にあって。<あれこれと悩んでみたって それほど賢くはないんだっけ じゃあ楽しい方だけ選ぼうよ>って。
斉藤:やりたいことをやれなくなってしまって、みんな頭を抱えたと思うんです。そんななかで「私はもう考えるのやめたいんで、皆さんもそうしようよ。楽しいほうにいきませんか?」って。とにかくライブができなかったことが大きかったので、どうやったら騒げるんだろうって思ってたんですよね。まあ、私はひとりで家で騒いでたんですけど(笑)。
──家で落ち込んでた、というところから切り替えが早かったんですね。
斉藤:はい(笑)。すぐに切り替えたんですよ。落ち込んでても仕方ないしって。今できることを一生懸命、ただひたすらにやりたいなと思って、そういうものを書いて「ゼンシンゼンレイ」が完成したんです。この楽曲を聴いて、みんなが「とりあえず、今日も頑張れそう」って思ってくれたら良いなって思ってます。
──すごくエネルギッシュな曲ですよね。朱夏さんの曲には「頑張れ」って言葉はないんですけど「今日も頑張ろう」って思えるパワーがある。
斉藤:もうみんな頑張ってるから「頑張れ」って直接的な言葉は使わないんです。ちょっと遠回しではあるけど、「あ、この曲聴いて元気になったし頑張ろう」ってふんわり思ってくれたら、それはそれでいいなって。
──「ゼンシンゼンレイ」はミュージックビデオが公開されています。このガールズバンドのメンバーは、11月7日(木)に東京・TSUTAYA O-EASTで行われたライブと一緒のメンバーですか?
斉藤:ドラム、ベース、ギターの方は、O-EASTのときにご一緒したメンバーで、キーボードの方は初めましてなんです。だからこそ生まれたものがあるんじゃないかなって。みんな久しぶりに会ったので、ずっとわちゃわちゃしてて「なにこれ、超楽しいじゃん!」って(笑)。
▼斉藤朱夏ライブ「朱演 2019『くつひもの結び方』」詳細レポ
https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1577434441
──誰かと会って話して音楽を楽しむって、めちゃくちゃ幸せなことですよね。
斉藤:そうなんです! 直接会って一緒に音楽を楽しむって「ああ、本当に楽しいな」って心から思いました。みんなで話してても「早くライブをしたいよね」「やっと夏きたわ」「ホンマそれ!」ってひたすらケラケラ笑っていました。
(撮影では)特に「こうしてください」ってこともなく、みんなで自由にやって。芝生のシーンだったら「ここはいちばんふざけられた人が勝ちなので」って(笑)。もう本当に楽しかった!
──MVのテーマは“観ているだけで笑顔になってしまう”だったそうですね。観てて自然と笑顔になってしまいます。
斉藤:私がもう素で笑ってるのが、自分でめちゃくちゃウケるんです(笑)。「めっちゃ笑ってるじゃん!」って。ミュージックビデオを見てくれた方にもそういう気持ちが伝わるんじゃないかなって思っています。
──話は少し変わってしまいますけど、やっぱりレコーディングのときも「音楽って楽しい!」って感覚は強かったです?
斉藤:めちゃくちゃありましたね。久しぶりに自分自身としてのレコーディングをしたので、まずヘッドフォンから聴こえる楽器の音に「ああ、いいなぁ」って。レコーディングの時からさらにアレンジが加わって、曲が変わっていって。いろいろな人たちと手を取り合って音楽を作っていることを感じながら「本当に素敵だな」と思っていました。
この時期だったので、どうしても人数制限をしながらのレコーディングだったんです。基本的には私はケイさんとレコーディングをしていたので、「この曲はああしようか、こうしようか」と話し合いながらの制作でした。2ndミニアルバムを通して、ケイさんとはより仲良くなれたような気がします。もともと仲はいいんですけども(笑)。一瞬一瞬の良い空気感が入っているんじゃないかなって。