「なにより距離を大切にしてる自分だからこそ、みんなと離れてしまったことが寂しかった」 ひまわりの笑顔が咲くまでの葛藤とホンネ/斉藤朱夏2ndミニアルバム『SUNFLOWER』ロングインタビュー
“好き”って思ったその気持ちを大切にしてほしい
──お腹の空く曲から、今作でいちばん切ない曲「シャボン」へ。
斉藤:「シャボン」は、レコーディングのときから凄く切なくて。歌ってるときに涙を流してしまうんです。苦しくて苦しくて「なんかもう無理かもしれません!」って状態でした。
──どういう思いから生まれた曲なんでしょうか?
斉藤:恋愛の複雑さを描きたかったんです。恋愛で悩んでいる人たちってたくさんいると思うんです。恋愛ってルールがないからこそ、それが正しいのか分からない。しかも、コロナの期間に、遠距離恋愛をしていた人がより遠距離になってしまったり、会いに行けなくなってしまったり……実際にそういうニュースを見て、見ているだけなのに本当につらくて、その人の気持ちになったら悲しい気持ちになってしまったんですよね……(苦笑)。
世の中にはさまざまな好きのカタチと恋愛があって。その中にはいろいろな事情があるかもしれないけど“好き”って思った、その気持ちをすごく大切にしてほしいなって思ったんです。だって“好き”ってなかなか言えない言葉じゃないですか。恥ずかしいですし。私はおちゃらけて友だちに「マジラブ~!」「超好き!」とか言っちゃうんですけども(笑)。好きだからこその、苦しいにいかないまでの切なさを表現したいなって。
そうしたプロットを書いてケイさんに渡したところ、その気持ちを「シャボン玉」に例えてくれて、しかも「シャボン」ってオシャレなタイトルにしてくれて、「この人、天才だな」と思いました(笑)。
──<大丈夫だよ 大丈夫だよ>という言葉が温かくて。O-EASTの朱演のときに「みんなには私がいるから大丈夫」って話されていたことを思い出しました。
斉藤:ああ、懐かしいですね。あーもう自分、そんなこと言っちゃって!(笑)
──大丈夫って魔法の言葉というか。朱夏さんから「大丈夫」って言われるとすべてを肯定してもらったような気持ちになります。
斉藤:私自身も「大丈夫」って言葉を言われると落ち着くんですよね。だからこそ、「斉藤朱夏が大丈夫って言っているんだったら、じゃあ大丈夫かもしれない」って思われるような人間になりたくて。「でも、この人は頑張れとは言わないんだよな」と(笑)。
──(笑)。話がそれてしまうかもしれませんが、大丈夫って言える人間になりたいって思ったのは身近な人の影響だったりするんです? 例えばお母さまとか。
斉藤:友だちの影響だと思います。私がすごく悩んでいた時期があって。私の性格的に正解を見つけたくて仕方ないんですけど、でも正直、人生に正解なんてなくて。自分が思ったことがいちばん正しいんですよね。分かってはいるんですけど……。
よく言われるんですよ。いちばん仲のいい友だちからも「なんでそんなに不安がるの?」「大丈夫だからそんなに不安がらなくていいよ」って。
その友だちの生き方や経験を聞いてると「この人が大丈夫って言うなら、きっと大丈夫なんだろうな」って思えるんです。それで私もそういう人になりたいって思ったことがキッカケですね。母親も「頑張れ」とは言わずに支えてくれるタイプなんです。私の身近にいる人たちはそういう人たちが多くて。だからこそ、自分がもっと大人になったときに次の世代の若い子たちを「大丈夫だよ」って優しく包み込める人になりたいなぁって思ってます。