「なにより距離を大切にしてる自分だからこそ、みんなと離れてしまったことが寂しかった」 ひまわりの笑顔が咲くまでの葛藤とホンネ/斉藤朱夏2ndミニアルバム『SUNFLOWER』ロングインタビュー
「Your Way My Way」は斉藤朱夏らしさが表れた曲
──5曲目の「Your Way My Way」はスカパンク調のにぎやかな曲です。megane(LIVE LAB.)さんが作詞・作曲をされていますね。
斉藤:1stシングルのときに「しゅしゅしゅ」の作曲をしてくださっていて「もしよかったら今回もお願いします!」と。それで作詞と作曲をしてくれました。
スカパンクは聴いてはいましたけど、自分が歌ったらどうなるんだろうって。でも歌ってて心地よかったです。斉藤朱夏らしさが詰め込まれているんじゃないかなって。<ただ がむしゃらに>って言葉を見たときに確かにそうだな、まさに私!って思いました(笑)。私って本当にガムシャラで、力の抜きどころが分からないんですよ。
──次の「ひまわり」にも<ただただ 無我夢中>って言葉もありますが、朱夏さんは常に「ゼンシンゼンレイ」ですよね。プロ根性というか……。
斉藤:与えていただいた仕事に対して、それ以上のものを返したいって思いが強くて。相手の方にも「また一緒にお仕事をしたい!」って思ってもらいたいんです。
私自身もまた一緒にお仕事をしたいから気合いが入りすぎてしまって。でも、それくらい常に止まらず、目標に対して突き進んでいくところが自分らしいなって。「斉藤朱夏ってこうだよねえ」っていうものが「Your Way My Way」に詰まってます。レコーディングでも自分の気持ちがのった気がしますね。
──ところで裏打ちの声って朱夏さんがやってるんです?
斉藤:そうなんです! やったんですよ、あれ! 最初ぜんっぜんできなくて、笑ってしまって。あそこはケイさんが「朱夏さんにやってほしい」とおっしゃっていて。それで東京スカパラダイスオーケストラさんを聴きまくって、家ですごい練習してたんです。
でも正解がまったく分からなくて(笑)。いざレコーディングでやってみたら、ケイさんが「巧すぎて笑っちゃったよ!」って言っていました。ケイさん自身も家で試してみたそうなんですが「難しいよなぁ」って(笑)。あれは私的には挑戦でした。
「自分のことをひまわりって言ってもいいのかな」って
──ケイさんが手掛けられたラストの曲「ひまわり」は朱夏さんの存在を表しているのかなと思ったんですが、どういう思いから生まれた曲なのでしょうか。
斉藤:この曲は歌詞のプロットを渡して作ったものではないんです。この楽曲をいただいたときに、ケイさんからの愛情を受け取ったように感じて「本当にありがとうございます」という気持ちでいっぱいになりました。デビューミニアルバムからプロデューサーとしていろいろな斉藤朱夏を見てきたからこそ「ひまわり」という楽曲が生まれたんじゃないかなって思っています。ケイさんから「ひまわりは朱夏さんです」と言われて、最初は「!!!???」と。
──それはどうして、そういう反応に?
斉藤:なんだろうなぁ……。正直、私は自分が明るいとは思ってないんです。素に近いのはデビューミニアルバムのような少し暗い、奥に何かをひそめていたり、孤独や弱さがあったり……そういったものなんですよね。だからみんなからもらう言葉に対して「本当にそうなのかな?」って。
こういう業界に入るときに「元気を与えたい」って思いは漠然とあったんですが、実際に「朱夏ちゃんはひまわりみたい」「笑顔が太陽みたい」「すごく元気もらえる」とか、ありがたい言葉をいただくことが増えていくなかで「本当にそうなのかな?」「本当にそうなれてるのかな?」って自分自身はそう思ってないって矛盾が生まれて。でも、この楽曲をもらって「自分のことをひまわりって言っていいのかな」って思えることができたんです。
──「ひまわり」はケイさんから朱夏さんへの応援歌でもあるのかもしれませんね。
斉藤:本当は今年はもっともっと頑張る予定だったんです。もういろいろなところでライブをやって、みんなに斉藤朱夏って楽曲をたくさん届けよう!って意気込んでいて、挑戦と成長をするために、私がたとえボロボロになってもいいからみんなのところに行って届けようって思っていたところに、全部中止になって。その瞬間に「どうやって生きていけばいんだろう」って。
私はステージに立つときがいちばん「生きてる」って感じていて、このために生きようって頑張ってるのに、それを失われた瞬間に「ちょっと生きる糧がないんですけど! どうしよう!」って。ケイさんにはそういうことは伝えたとかではなかったんですが、生きる希望が無くなってしまって、感情がほぼないような感じのときに<まだまだ ここは途中 終われやしないよね ただただ 無我夢中 夢の途中>って言葉をいただいて「ああ、そうだった!斉藤朱夏、まだまだこれからだった」って改めて気づいて。
ケイさんに「大丈夫、斉藤朱夏は大丈夫だから。行ってこい!」って言われたような気持ちでした。この楽曲をいただいて、私はやっと立てることができているし、ケイさんには本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
──<強く笑って ひまわり>って部分は、自分自身に向けて歌われていた言葉でもあります?
斉藤:はい。個人的には自分に向けて歌っています。みんなの背中を支えてあげたいって気持ちもあるし、手を差し伸べて引っ張ってあげたい!っていう思いもあるけど……正直、まだそこまで私が到達できていないんです。まだまだみんなに支えられている感覚があるので、「私ってまだまだ未熟だな」って思ってしまう。だからこの<強く笑って ひまわり>って言葉は、自分に向けて言っています。自分で「もっと感情を爆発させて、笑えよ、自分!」って。
職業柄、人に見られているって意識が強いので……斉藤朱夏の本当の笑顔が見えたときに、もう一つ上のステージに上がれるかもしれないなって思っています。でもそれはまだまだ上がれてなくて。まだ夢の途中で、階段を駆け上ってて。最終的に私が強く笑えるようになったら、もう一段階上に行けるんじゃないかなって。
──そういう意味では、次のための約束の曲ですね。
斉藤:そうですね。自分との約束でもあります。そこにいくには“君”って存在がいないと、まだ無理そうだから……「ちょっとごめんだけど、みんな力貸して? いい?」って気持ちでいっぱいです(笑)。
──「ゼンシンゼンレイ」では<もう昨日を悔やんでも それはそれで ま 置いとこう今日が 今がもったいないだけ>と歌っていたのが、「ひまわり」では<昨日よりほんのちょっと 大きな今日にしよう>と歌われていて。どちらも朱夏さんの素直な気持ちなんですよね。
斉藤:そうですね。そういう一つひとつの言葉をなぞってみてほしいなって。そのなかで“今の斉藤朱夏”がきっと見えると思うので。「ひまわり」は特にそうだと思います。
──それぞれ独立した曲ではあるんですけど、不思議とつながりも感じる6曲ですよね。最後に、2ndミニアルバムを通して聴いたときにどう思われたか教えてください。
斉藤:この2ndミニアルバムはひとつの物語に聴こえるんですよね。私もできあがって聴いたときにビックリしたんですけど「あ、全部つながってるな」って。ああ、気持ちはずっと一緒だったんだなって。ブレることなくその気持ちに向かって走っていて、それを伝えたいという思いが強かったんだなって、2ndミニアルバムを通して感じたことでした。
インタビュー:逆井マリ 撮影:有泉伸一郎
リリース情報
2nd Mini Album 「SUNFLOWER」
発売日:2020年11月11日(水)
<全3形態にて発売>
①映像盤(初回生産限定盤A) <CD+Blu-ray> VVCL-1758~1759 3,500(+税)
②PHOTOBOOK盤(初回生産限定盤B) <CD+PHOTOBOOK(64P)> VVCL-1760~1761 4,000(+税)
③通常盤
■収録内容
<CD収録曲>
1.ゼンシンゼンレイ
作詞・作曲:ハヤシケイ(LIVE LAB.) 編曲:If I
2.月で星で太陽だ!
作詞:畑亜貴 作曲:鈴木裕明 編曲:毛蟹(LIVE LAB.)
3.親愛なるMyメン
作詞・作曲・編曲:DJみそしるとMCごはん
4.シャボン
作詞・作曲:ハヤシケイ(LIVE LAB.) 編曲:黒須克彦
5.Your Way My Way
作詞・作曲:megane(LIVE LAB.) 編曲:村田祐一(LIVE LAB.)
6.ひまわり
作詞・作曲:ハヤシケイ(LIVE LAB.) 編曲:毛蟹(LIVE LAB.)
<Blu-ray収録内容>映像盤(初回生産限定盤A)のみ
01.ゼンシンゼンレイ -Music Video-
02.The Making of “ゼンシンゼンレイ -Music Video-”
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