音楽
学芸大青春『漂流兄弟』監督・篠田利隆氏インタビュー

『学芸大青春』主演3Dドラマ『漂流兄弟』篠田利隆監督インタビュー|シーズン2はエモーショナルで“泣ける”作品に

“二次元と三次元を行き来する”ボーイズグループ「学芸大青春(ガクゲイダイジュネス)」。昨年秋に活動を開始して以降、精力的にハイクオリティな楽曲を発表し続け、2020年11月28日には『学芸大青春 1st LIVE「WHO WE ARE ! Return!!」』の開催を控える、新進気鋭のダンス&ボーカルグループだ。

学芸大青春のメンバー5名が主演のホームコメディ3Dショートドラマ『漂流兄弟』は、全編バーチャル空間で撮影されたアニメでも実写でもない新感覚の映像と、5人の個性あふれる演技で大きな話題を呼んだ。

今回、シーズン1(全6話)の配信から約半年の時を経て、いよいよ待望のシーズン2が11月20日から学芸大青春公式YouTubeチャンネル&公式Twitterでスタートする。

アニメイトタイムズではシーズン2の配信を記念して、本作の監督・演出を務めた、篠田利隆さんにインタビューを実施した。

篠田監督は映像の演出を軸にイベントやライブの演出も手がけている人物。実写からアニメに3Dまで次元を超えた演出家である。

“二次元と三次元を行き来する”ボーイズグループ『学芸大青春』のドラマでメガホンを取るのであれば、彼しかいないと白羽の矢が立ったという。篠田監督から見た『漂流兄弟』、『学芸大青春』の魅力に迫る。

篠田利隆さん プロフィール

映像の演出を軸にイベントやライブの演出も手がける。 実写からアニメに3Dまで次元を超えた演出家。
宇多田ヒカル、でんぱ組.inc、私立恵比寿中学、T.M.Revolution、竹達彩奈、REOL、Yunomi、TORIENA、化物語、Fate/Grand Order、 初音ミク 、日清、さとう食品、SONYなど

魅力は普通の3Dでは出ない“生モノ感”

――まず、篠田監督が『漂流兄弟』のプロジェクトに参加した経緯を教えてください。

篠田利隆監督(以下、篠田):MVなどで一緒に仕事しているプロデューサーの方から、「ワンシチュエーションで、男子たちがバーチャル空間で生活するドラマみたいなのがあるんだけど、それの演出って篠田さん興味あります?」と聞かれたのがきっかけですね。

もとから、VR空間などのバーチャルなものは好きですし、CGでドラマを作るのではなく、本人たちがリアルタイムで演技したもの、“撮影”したものを、そのまま3Dのキャラクターに落とし込んで作るということで、実写的な観点も入れて撮れるのは面白そうだな、と思いました。

僕は3Dアニメ、2Dアニメ両方の演出もやっていますし、もともと実写畑出身ということもあってすごく興味を持ちました。

――監督はこれまで、実写からアニメまで幅広く演出を手掛けられていますが、『漂流兄弟』のようなプロジェクトは経験としてはほぼ初めて?

篠田:3Dやアニメーションの演出はこれまでにも数多く手掛けてきましたし、バーチャルシンガーのライブ演出などもやったことはありましたが、ドラマを撮るというのは完全に初体験でした。というか前例が全くない取り組みなんですよ『漂流兄弟』って。

――なるほど。僕も最初に『漂流兄弟』の概要を聞いた時は「どういうこと?」と思いました。こういった形式の作品って他で全く見たことも聞いたこともないですし。

篠田:そうですよね(笑)。

――前例がない作品作り。今回のドラマを撮るにあたってコンテを切ったり、さまざまな作業があったと思いますが、楽しかった、あるいは苦労したところを聞かせ下さい。

篠田:(少し間をおいて)楽しいし、面白かったのは、コンテをあまり細かく書きすぎず、本人たちのナチュラルな演技をそのまま撮れたことですかね。

普通、3Dキャラクターを演出する場合は、3Dディレクターやクリエイターの方に的確な演出指示を出さなきゃいけないのでコンテをけっこう細かく書くんです。

ひとつの演技に対して何個もカメラを置いたりもできないから、引き画は引き画、寄りは寄りと、コンテでしっかり決めておいたり。

ただ、『漂流兄弟』は実写のドラマを撮るのと同じ感覚で3Dキャラクターを撮影する作品です。いただいた台本に対して演出を付けるときに、あえて指示をあまり細かく付けすぎずに、本人たちの演技やライブ感をより出せるような撮り方をしました。

カメラも一個の演技に対して、同時に3つ、4つと仕掛けられるので、同じ演技でも引きの画も寄りの画も撮ることができたりするんです。

――あまりコンテを細かく切らないということはメンバー5人に全てを任せるということでもあると思います。そういう風にしようとあらかじめ決めていたことなのでしょうか?

篠田:そうですね。せっかくバーチャル空間で撮影できるのに、カチカチの演技を決め込んじゃうと、もったいないなと思いました。

歌を聴いてある程度彼らのことを知ったとはいえ、まだデビューしてさほど日が経っているわけでもありませんし、ファンの方はもっと彼らを知りたいんじゃないか、と。

――デビューしたての今しかない魅力を伝える。そういった演出を選んだということですね。

篠田:はい。『漂流兄弟』の登場人物が、演者とはまったく別のキャラクターだったら、やり方はまた別に考えたかもしれないんですけどね。

基本的に本人たちの性格になぞったキャラクター設定ですし。彼らの素が出るような演技の方がファンの方も彼らを身近に感じたりするんじゃないかなと。

――確かにほとんど演技経験がないにも関わらず、すごく自然というか、とてもナチュラルな印象を受けました。

篠田:そうですね(ニッコリ)。みんなが頑張ったからこそだと思います。

――勉強になります。『漂流兄弟』のバラエティに富んだ画作りの裏側にはそういった背景があったのですね。

篠田:ええ。逆に、大変だったところはモーションキャプチャーです。実際の人間が動いたのと同じように3Dのキャラが動くように、センサーでトラッキングしているんですけど、同じ空間を5人がわちゃわちゃするので、トラッキングがたまに外れちゃったりして。

そういった時に、どういうアングルにするかなどの工夫は必要だったので大変でした。でも、そういった普通の3Dでは出ない“生モノ感”も魅力かな、と思います。

(C)VOYZ ENTERTAINMENT INC.
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