ひと言でいい表すなら、『グリザイア』のフル装備・フルアーマー強化版――劇場上映アニメ『グリザイア:ファントムトリガー THE ANIMATION スターゲイザー』キャラクターデザイン・渡辺明夫氏インタビュー
絶賛上映中のアニメ『グリザイア:ファントムトリガー THE ANIMATION スターゲイザー』。
本作は、『グリザイアの果実・迷宮・楽園』のグリザイア三部作につづく、正当な後継シリーズとして作られたグリザイアシリーズ最新作『グリザイア:ファントムトリガー THE ANIMATION』(以下、『ファントムトリガー』)の第3話。2人の狙撃手・トーカ(CV.佐倉綾音)とグミ(CV.三森すずこ)にスポットを当て、特殊任務を遂行する超法規的組織・SORD(ソード)のメンバーたちの物語が、美麗な映像とともに描かれています。
アニメイトタイムズでは本作の劇場上映を記念して、スタッフやキャスト陣にインタビューを実施。今回は、『グリザイア』シリーズのキャラクターデザインを務めている渡辺明夫氏にお話をうかがいました。
ストーリー
特殊技能訓練校・美浜学園の狙撃手トーカは、民間委託型工作諜報員育成機関SORDのメンバーたちと共に聖エール外国人学校との海外合同合宿のためフィリピン離島へと向かう。
しかし武器密造組織壊滅を目的とした極秘作戦の”トラブル”に巻き込まれ、聖エールの脱走者グミを追う作戦に参加することに。
任務に際しトーカは、両親との記憶や、昔の友人・シホとの果たされることのなかった約束と邂逅し、グミの境遇に想いを馳せる。それぞれの思惑が交差する中、トーカの導き出した答えとは――?
アニメ用に起こし直すのは、転生して2周目ループしている気持ちでした
――『グリザイア』シリーズの中で、『ファントムトリガー』という作品・登場キャラクターにはどのような印象をお持ちですか?
キャラクターデザイン・渡辺明夫氏(以下、渡辺):『ファントムトリガー』をひと言でいい表すなら、『グリザイア』のフル装備・フルアーマー強化版といったところでしょうか。可愛いキャラたちが、前作の主人公の(風見)雄二ばりに活躍して、見せ場・見どころが増えた作品という印象です。
――今回は第3話となりますが、完成した映像をご覧になった感想をお聞かせください。
渡辺:今回はトーカとグミのお話ですが、とても物語がキレイにまとまっていて、前作を見ていなくても楽しめると思います。単体でも1本のストーリー作品として感動できるものに仕上がっていて、完成度の高いものだと思いました。
――トーカやグミをはじめとした、メインキャラクターを描く上でこだわった点はありますか?
渡辺:他のアニメ作品だと、キャラクター原案の方がいて、そこから私なりにキャラデザを起こし直したりしますが、『ファントムトリガー』だと原作もアニメも自分で両方やっています。なので、元のゲームのキャラをアニメにもう一度起こし直すのは、転生して2周目ループしているような気持ちになりました。デジャブというか。
ちなみに、アニメで動かしやすいように、キャラクターの線の数は減らしてゲームよりもシンプルにしています。ただ、キャラクターは線を減らして省略したんですが、装備や武器の細かさはそのままだったので、現場の人は大変だっただろうなと思いました。
――確かに武器は本当に細かくてリアルですよね。逆に生み出すのに苦労されたキャラクターはいたのでしょうか?
渡辺:基本的にはいませんでしたが、ヒロインのトーカ&グミの先輩である「シホ」は、ゲーム版では1枚だけしかイラストを描いていなかったので、アニメ用にキャラを起こすのが大変でした。ゲームのときは単一のイラストだったので、側面図や背面図のデザインを考えておらず、あとから辻褄をあわせて整合性をつけるのに少し苦労しましたね。
でも、ゲームのデザイン段階では、アニメでこんなに活躍するとは思ってなかったキャラなので、登場シーンが増えたのは嬉しかったです。
――それらのキャラクターたちに声がついたのを聞いたときはいかがでしたか?
渡辺:やっぱり、声がついて初めてキャラクターに命が吹き込まれたという気がします。絵を描いているだけだと、そこまで完全には人物としてイメージできていないので、声が入ったのを聞いてようやく、はっきりイメージがつかめるようになりますね。