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秋アニメ『池袋ウエストゲートパーク』木村昴×古川貴之×ぽおるすみすインタビュー

僕は池袋声優だと思ってるんです――木村昴(ヒロト役)×古川貴之(THE PINBALLS) ×ぽおるすみす(INNOSENT in FORMAL)ジャンルの垣根を越えたTVアニメ『池袋ウエストゲートパーク』“激アツ”対談!

フロントマンに聞く“主題歌を作る上のプロセス”

――木村さんがOP主題歌「ニードルノット」(THE PINBALLS)、ED主題歌「after song」「思うまま」(INNOSENT in FORMAL)を聴いたときの印象を教えてください。

木村:マジで熱くて。オープニングは疾走感のあるバンドサウンドで。月並みな言い方ですけど、派手で疾走感があって、グッと惹き込まれていく。その雰囲気がめちゃくちゃカッコいいなと思いました。

そして物語を経て、最後にエモく終わっていく感じがまた良いんです。一週間保てる余韻があるというか。『IWGP』が非常に盛り上がる曲になっていてステキだなと思っています。

古川&ぽおるすみす:ありがとうございます。

――では、主題歌の制作話を詳しく教えていただければと思うんですが、いつぐらいから制作が始まったんでしょうか?

木村:あ、その話聞きたいです! 僕らは「主題歌がいつごろ決まって」とかって知らないので興味があるんです。

古川:僕らTHE PINBALLSの場合は放送の1年前くらいから準備をしていました。制作の方に「別の曲も聴いてみたい」と言っていただき、いろいろと作った中で、「ニードルノット」が選ばれたんです。

―― 一方、エンディングを担当しているINNOSENT in FORMAL は『IWGP』のPV第1弾で使用された「No. 1」を含めると合計3曲を制作されています。

ぽおるすみす:さっき古川さんが「1年前くらい前から……」とお話をされてた手前恐縮なんですけど、アニメの放送が(コロナの拡大影響で)一度延期されていることもあって、わりと最近作ったんです。日頃から書いてはいるんですけど、追い詰められないと書けないタイプで(苦笑)。

でも『IWGP』はずっと好きな作品だったので、漠然とイメージを考えてた期間は長かったですね。

木村:僕、めっちゃ気になってることがあって。主題歌の書き方って想像がつかないんです。僕が曲を提供する際ってキャラクターのことを歌っているので、僕の思想や主張は無くてキャラクターに寄せていて。時々溢れ出てしまうことはあるんですけど(笑)。基本的には僕じゃなくて、(キャラクターの)“彼”が歌うように作るんです。

だから『IWGP』の主題歌を作りますとなったら、僕の場合タイトルに「IWGP」ってつけちゃうんですよ、多分。「ヒロトの冒険」とか(笑)。

一同:(笑)

木村:僕としてはそういう感覚なんです。でもお二人の曲は物語にも精通するフレーズもありつつ、オリジナリティが存分に発揮されていて。その塩梅が絶妙で良いわけですよね。曲を作るときに、作品のテーマ何割、ご自身の思想何割……って意識されてたりするんでしょうか?

古川:あまり意識していないですね。今お話を聞いていて「ヒロトの冒険」とか、そういうタイトルも良いなって思いました。勉強させていただいた気分です。

僕の場合、作品を読ませていただいたり、勉強をしたりはするんですけど……。そのテンション、空気感、温度感は考えながらも、あくまで僕の宇宙を作っていく感じです。

僕のイメージなんですけど、高速道路と下道って、走ってると見えている景色は近いはずなのに、道は違うじゃないですか。その重なり合う景色だけを共有するような感覚で、まったく別の世界を作らなければいけないなと思ってるんです。そうじゃないと、原作の足を引っ張ってしまうし、作品に失礼なんじゃないかなと。

だから「絶対にこれは僕の宇宙だ、これは僕の歌だ」って想いで作っています。

――まさにタイトルの「ニードルノット」という言葉も宇宙的というか……イメージを言語化したものなんですよね。

古川:そうなんです。池袋ってよく考えたら不思議な言葉じゃないですか? 由来はあるんでしょうけど、直訳で英語にしたら「スワンプサック」とかになるのかな、とか、言語感覚的な面白みがあって。

「ニードルノット」は異世界の池袋みたいなイメージでつけたんです。インターネットで「きさらぎ駅」の逸話があるじゃないですか。「あれ、ここってニードルノット? あれ? こんな駅あったかしら、山手線」といった感覚ですね。

木村:へええええ~! おもしれえ!

――さきほどからぽおるすみすさんが笑顔でうなずかれていますが。

ぽおるすみす:あ、いやすみません(笑)。THE PINBALLSの曲を聴いていると、自分の宇宙を持ってることが伝わってくるんです。それを昔から感じていたので、その話を今この熱量で聞けたことに感動しているというか。うちのギターがTHE PINBALLS大好きなので、「自慢しよう」って思いました。

一同:(笑)。

木村:良い! 良い話ですね!(笑) ぽおるさんは主題歌の時はどういうバランスで曲作りされるんですか?

ぽおるすみす:あー……僕の場合は、“僕の歌”なんです。だから今回は作品と僕の共通項を探したって感じですね。そこで浮き出てくるものを抽出するという作り方なので、 “どっちがどっち”っていうよりかは混ぜ物的なものかな。今回は自分の人生と重ね合わせて書いた感じでした。

――特に「思うまま」に顕著ですよね。

ぽおるすみす:そうですね。いろいろなことを考えて生きていくじゃないですか、人生って。そういうものを書いていった感じです。でも昴さんの話を聞いて古川さんと同じく「それも面白いな」って今思っています。「今度やってみよ」って(笑)。

木村:アハハハ、ぜひ! っていうか……アツ……!

一同:(笑)。

木村:語彙力なさすぎてバカっぽいですね、僕(笑)。ごめんなさい。でもそれくらい新鮮で。僕らの周りでこういう話って聞いたことがなかったので。

というのも、さきほども言った通り演じる側としては、オリジナリティってあまり必要ないものだと思ってるんです。だから、その感覚ってめちゃくちゃフレッシュですね。

ぽおるすみす:あくまで作品のキャラクターがいちばんえらいってことですよね?

木村:そうですね。キャラクターをいちばんに考えているので。

ぽおるすみす:それでいうと、僕らの場合は「曲がいちばん偉い」って思っているんです。その感じと似てるなって思いました。

木村:へぇ! でもそれって、ご自身で作り上げていく曲ですよね?

ぽおるすみす:そうです。バンドにはそれぞれパートがありますが、それぞれやりたいことをやりすぎてしまうと、曲ってカッコよくならないと思うんです。

例えば「俺、ギターもっと弾きたい」って弾きすぎてしまうとただのエゴになってしまう。もちろん、曲のことを考えて弾くならいいと思うんですけど、“自分”が一番になってしまいがち。そうではなく、曲をいちばんに考えて、ブラッシュアップしていく感じです

古川:その感覚分かりますね。ただ、僕らの場合難しいのが、僕らのバンドは4人全員が同級生で。自分が監督ではあるんですけど、同時に4人のうちのひとりでもある。自分がいちプレイヤーとして監督するとやっぱり(自分を)捨てきれないところもあったりして、そこはいまだにジレンマですね。

でも、今はエゴを出していくほうにいっています。「俺が監督でもある! そして俺がプレイヤーだ!」って気持ちです。

木村:ああ、なるほど。何をいちばんに重きを置くか、それぞれ違って面白いですね。

ぽおるすみす:あ、アツ……!

一同:(笑)。

古川:木村さんは自分のラップパートはご自身で言葉を書かれることが多いんでしょうか。

木村:モノによりますね。僕が今携わっている作品だと、自分のチームの作品は僕が作らせてもらうことが多いんです。自分のパートも書きますけど、キャラクターとして書いていますね。

またちょっと特殊で、キャラクターのために書いてて、作品のなかではキャラクターのものとして出てくるんですけど、我々の場合はライブすることもあるんです。そうすると、アニメとは違う次元にいくんですよね。

ライブのときはアニメと逆になって、キャラクターがお留守番になって、お客さんは生身の僕らにキャラクターの影を重ねながら見てくれるわけです。変なことをしてしまうと「そのキャラクターそういうことしないんだけどな」って思われてしまう可能性もあるんですよね。

でも、ステージに出てるのは僕なので(キャラクターになりきることは)難しい。だから下半身はキャラクター、上半身は俺、って感覚でステージに立ってるんです。試行錯誤ですけどね。みんなに納得してもらうって難しいかもしれないけど、ひとりでも多くの人がアツイって言ってくれるように。

古川:すごいなぁ。今お話を聞いていて、すごく感動しました。

木村:お言葉を返すようですけど、私も感動しておりますので……。我々にも熱い感覚というか。アーティストの思想ってすごいなって。図らずも熱い話になって嬉しいです。

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