『ローリング☆ガールズ』Blu-ray BOX ~5周年記念特装版~発売記念座談会|日高里菜(小坂結季奈役)×種田梨沙(響 逢衣役)×むとうやすゆき(脚本)【第2弾】
一体感が生まれたキャラコメ現場、現場を和ませた花守さんのNGとは?
――少し話は戻ってしまいますが、種田さんは、日高さんのオーディションのエピソードのような、演じているときに何か言われた話などはあるのでしょうか?
種田:逢衣も女の子なので、そこは意識して演じていたんですけど、ディレクションで「かわいくなくていいよ!」って言われるんですよ(笑)。だから自分で聞いても、地声にすごく近いキャラクターなのかもと思うんです。私、キャラクターを演じるときに、結構声を作りがちなんですよね。アニメのキャラクターってかわいいので。
でも、いい意味でその意識がまったくないキャラクターでした。小学校のときの私って、こんな感じだったんです。結構後先考えずに行動していたし、仲間のことが好きで、それが良くも悪くもあるみたいなところがあったので、その記憶が呼び起こされて芝居に出ていたのかなって、見返していて思いました。だから演じていて大変だったというより楽しかった記憶のほうが多いので、また逢衣ちゃんを演じたい!って思いながら、コメンタリーをしていました。
むとう:それはうれしいなぁ。
日高:でも、本当に憎めないキャラクターなんだよなぁ、逢衣ちゃんって。
種田:ああいう友達いたなぁみたいな感じだよね。
むとう:たぶん子供の頃から性格が変わってないんだろうなって思うので、小説でも自然に小学生時代からの話になりました。
――むとうさんは、収録関係で覚えているエピソードはありますか?
むとう:僕はやっぱりキャラクターコメンタリーが面白かったかな。本編では意外とみんな台詞が少なかったりするんですよ。
種田:モブなんで……。
むとう:第7話の逢衣の「追え!!」とか大好きですけどね(笑)。キャラコメではびっしりしゃべってもらったので、変な一体感がスタジオにあったんです。秒刻み、フレーム刻みで、映像を見ながら素でしゃべっている感を演じてもらうという苦行に取り組んでもらっていたので。厄介なものを書いちゃってごめんねっていうのと、これをやり切ったらすごいものになるんじゃないかと思いながらディレクションさせてもらっていました。
Vol.1の座談会でも話したのですが、日高さんに、これを全話でやる作品はないと言われて(笑)。とはいえ最初にあの密度でやったものを、急にスカスカにはできないじゃないですか。だから義務感と使命感で、というか、結局は楽しさで走り切ってしまった。設定や裏の話など、1クールでは消化しきれないほど作り込んでしまっていたものを、そこである程度提示できたのもよかったですし、それを今回のボックスにも収録できたことはとてもありがたいです。
日高・種田:あれは絶対に入れてほしかったです!
日高:1話のキャラコメでビックリしたんですよ。これは私が知っているコメンタリーじゃない!と(笑)。結構沈黙の時間があるのがコメンタリーなのに、入らないから現場でどこをカットするかを決めるみたいな。音響監督が、「今日は大変だから、みんな急いでやろう!」って言うくらい、みんな劇場版に臨むくらいの意気込みでやっていたので、一体感はあったかもしれない。
種田:本編より大変だったからね。台詞量も5倍くらいあったよね。でも自分がファンだったら、あのコメンタリーが入っていたらめちゃめちゃ嬉しいだろうな。
――最終回の最後で、4人がキャラクターからキャストになって、最後のあいさつをするところで、なぜか感動するんですよね。
むとう:毎回、どの時点の4人がしゃべっているかを決めなければと思いながら、最終的には少しぼかしているんですけど、最終話の最後って、どうしても千綾がいないことになるんですよね。宇宙へ帰ったあとでは話せないので。だから最後は全員で素に戻って、キャストとしてコメンタリーを締めてもらおうと思って。それで最初に花守さんが挨拶したら……。
日高:それ、めっちゃ憶えています(笑)!
むとう:最後に4人で“ひと言”ずつ、ということになっていたんですけど、最初の花守さんが、じっくり語り始めてしまって、エンディングがとっくに終わってるのに、まだしゃべっているんです。
種田:全然入り切らないっていうね。
日高:たぶんいろいろな思いが溢れすぎちゃったんですよね。あれは、すごかったですよね?
むとう:僕も笑いながら、こんなに思ってくれていたんだ!って、同時にうれしかったんですよね。あと、それを聞いている3人の後ろ姿も面白かった。
種田:スタッフブースを伺いながら、いい話だから最後まで聞きたいけど、絶対に入らないよなぁとは思っていました(笑)。
むとう:まだ後に3人いるのに映像が終わっていましたからね(笑)。でもひたむきでいいコメントだったんだよなあ。
種田:あのコメントも、特典で入れてほしいくらい。でも、このボックスが売れて、何かの奇跡が起きて新しくアニメが作られることになったら、地獄のキャラコメはまたやってほしいです!
日高:やりたいっ!
むとう:きっとなかったら寂しいだろうから、それはやりましょう。
新録のTHE BLUE HEARTSのカヴァー曲は「夢」、時代を超えて愛される名曲が、4人の歌声で聴ける!
――『ロリガ』はTHE BLUE HEARTSのカヴァーも印象的でした。今回「夢」を新たに歌いましたが、キャラソンに関する思い出はありますか?
日高:THE BLUE HEARTSさんの曲をカヴァーできること自体すごいことですし、歌い方も、他のキャラソンではない発声の仕方や歌い方をしているんです。一番最初に「人にやさしく」を録ったんですけど、そのときはだいぶ時間をかけて、どういう方向性で行くのかをディレクションしていただいた記憶があります。
きれいにうまく歌うのが良いわけではなく、男らしさやロックさを求められていたんですね。あの頃は難しかったんですけど、今回新録で「夢」を歌ったときは懐かしさしかなくて! これだよ! そうそう、この投げやりな感じだよ!って、すっごく楽しくスムーズに終わりました。でも寂しかったので、もっと歌いたいですと、何度か歌わせてもらいました(笑)。
――OKテイクは録れているのに(笑)。
種田:確かに他ではないディレクションでした。がなる感じや気だるい感じ、逆にがむしゃらに歌ってほしいとか。声優だから、声はクリアになってしまうんですけど、THE BLUE HEARTSさんの持つ熱さみたいなものを表現したいという明確なイメージがスタッフさんにもあって、むしろスタッフのTHE BLUE HEARTSさんへの愛がすごかったんですよ。何なら原曲を聴いて、そのあとに録るという、すごいプレッシャーだな!っていうこともあって(笑)。
日高:あったね~(笑)。
種田:実は私、あまり自分の歌を聴き返さないんです。自分の歌声を聴くと現実に引き戻されちゃう感じがするから。
日高:恥ずかしいしね。
種田:だけど『ロリガ』に関しては、出来上がったものを何度も聴き返しているんです。本当に自分じゃないみたいだなと思いながら聴けるので。だから、人に自信を持っておすすめしたいキャラソンなんです。
日高:私も、車を運転しながらめっちゃ聴くなぁ!
種田:お恥ずかしながら、THE BLUE HEARTSさんのファンの方にも聴いてもらいたいくらい、すごくこだわって作ってくださっているんですよね。
むとう:アレンジもいいからね。
――種田さんの「夢」の収録はどうでしたか?
種田:私は一番手だったこともあって、勘を取り戻すのに1時間くらいかかったんですよ。ただ、あるときを機に、それっ!ってなったんです。1/3くらい録り終わったあとに急に感じが戻って、最初から全部録り直しました。なんだか体が覚えている感じでした。
日高:私は最後だったので、みんなの歌を聴きながらできたからやりやすかったのかもしれない。聴いたらみんなが、当時のままだったから。