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アニメ映画『ソウルフル・ワールド』監督&製作プロデューサー インタビュー

ディズニー&ピクサー最新作『ソウルフル・ワールド』で改めて感じる“日常の幸せ” | ピート・ドクター監督&ダナ・マレー 製作プロデューサーインタビュー

おもちゃの世界を描いた『トイ・ストーリー』、モンスターの世界を描いた『モンスターズ・インク』、死者の世界を描いた『リメンバー・ミー』などさまざまな世界を舞台に感動的な物語を送り続けてきたディズニー&ピクサー。

今度は“魂(ソウル)の世界”を描く最新作『ソウルフル・ワールド』が、12月25日(金)よりディズニープラスにて配信中です。

本作は、ジャズ・ピアニストを夢見る音楽教師のジョーが夢へのチャンスを手に入れた矢先、マンホールへ落下してしまい、生まれる前に「どんな自分になるか」を決める“魂(ソウル)の世界”へたどり着くところから物語が始まります。

その世界で出会ったのは、“魂(ソウル)の世界”に住む、やりたいことがないソウルの女の子「22番」。夢へのチャンスを絶対に手放したくないジョーと夢がない22番が交流する中で、“人生の大切なこと”は何なのか、皆さんに問いかけます。

そんな本作の監督を務めたピート・ドクター氏と、製作プロデューサーのダナー・マレー氏にインタビューを実施しました!


目次

“魂”と“人生”をテーマにした理由は……?

——最初に、なぜ“魂(ソウル)の世界”を舞台にしたのか、“人生”を本作のテーマにされた理由をお聞かせください。

ピート・ドクター氏(以下、ピート):それはまた、大きな質問だね(笑)。アイデア自体は、僕が自分の人生をどう生きればいいのか、ふと考えていたところから生まれて来たものです。

僕は自分の仕事が大好きですが、それは本当に僕がやるべきことなのか、果してそれで自分の時間を最大限に有意義に使っていることになるのか、もしかしたら自分には他にもっと世界のためになることをやれるのではないかなど、そういった自分に対する問いかけから始まりました。

また、今はもう成人になりましたが、僕の子供たちが生まれた頃を振りかえって見ると、彼らは生まれてきたその時点で、自分たちが何者かであるか、その感覚をすでに持っていたことがぼくには見て取れました。そういうものを、人間は生まれ持って誕生してくるのだな、と。

そこで、そんな自分たちがどこから生まれて来たのかと考えていき、自分たちのパーソナリティの中心にあるものは何かといえば、“魂”にたどり着きますよね?

その意味で本作は、自分たちは何をするために生まれてきたのか、自分たちに与えられたものをどう生かすべきなのか、与えられたものを何か素晴らしいものにしていくにはどうしたらいいかなど、いろいろな考えを深く掘り下げ、また光を当てて省察するという、素晴らしい機会を僕たちに与えてくれたとも言えます。

これは、とても素敵なプレゼントを僕たちがいただいたようなものでした。この映画を製作するのにかかった4年半の間、それを毎日仕事にできて、考えることができた訳ですからね。

▲『ソウルフル・ワールド』ピート・ドクター監督

▲『ソウルフル・ワールド』ピート・ドクター監督


——また、本作の題材としてジャズを取り上げていますよね。

ピート:はい。本作の題材としてジャズを取り上げた主な理由は、本作を見て楽しいものにするためでしたが、ジャズには与えられたメロディを何か自分個人に特有なものにしていくことで価値あるものにするという部分が大きくあり、人生もまたそうであるというアナロジーをジャズに見出せるかと思います。

僕たちは、自分がどこで生まれるとか、親が誰であるとか、自分の境遇の多くは選ぶことはできませんが、たいていのことについては、それを何かより素晴らしいものに変えて行くことはできるのです。

——個人的に、何の夢や目的を持たず、自分のために見出せないという「22番」が印象的でした。その22番というキャラクターは、どのような経緯で生まれたのでしょうか?

ピート:意外かもしれないけれど、夢もやりたいこともない22番はこの映画において、ほぼ最初に生まれたキャラクターで、実は初期の脚本は、彼女に関する物語になっていたのです。

“魂(ソウル)の世界”のように、人間に個性や“人生のきらめき”を与えてくれる場所が、もしあると考えるなら、そこから発展して、地球の様子を見ながら「いや、遠慮しておくわ。行きたくない。私に向いた場所じゃない。生まれたくない」と言い出す者がひとりぐらいはいるのでは?という考えにつながったのです。

それは面白い考えに思えたので、そんな彼女が、生まれたいとついに思うまで学んでいくという物語を考えましたが、このアイデアの問題点として、映画の冒頭で既にどんなエンディングになるか、容易に想像がついてしまうことにありました。

そこで、この考えをひっくり返して反転させることにしましたが、それでも楽観主義に対してバランスを取ってくれるキャラクターは絶対必要だと僕は思いました。

ジョーのほうは、とても楽観主義的なキャラクターで、自分は特定な目的を持って生まれてきたとしっかり思っていますからね。

これと正反対のキャラクターは、かなり悲観的で虚無主義的に「人生に目的がある?阿保らしい!」といった感じになります。

人生に対して正反対な見方をする、そんな2人のキャラクターを通じて、本作の中では哲学的な議論を展開できているのです。

▲ジョー
中学校の非常勤音楽教師。プロのジャズ・ピアニストとしてデビューしたいという夢を持ち続け、音楽こそが自分の人生の全てと思っているが、母の反対や生活のために教師の仕事を続けている。ついにプロの舞台に立つチャンスを得たとき、マンホールに落ち、<ソウルの世界>に迷い込む。


▲22番(左)
人間になる前の<ソウルの世界>で、何百年も人間になることを拒み続けている、こじらせソウル。ひねくれ者で、どんな賢人の言葉にも耳を貸さない。ひょんなことでジョーのソウルと出会い、彼との大冒険をさせられることに。


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