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『BEASTARS』原作者・板垣巴留 アニメ第2期放送記念インタビュー

連載終了した今だからこそ感じる思いとは? 冬アニメ『BEASTARS』第2期 原作者・板垣巴留さんインタビュー|第1期放送中の原稿にアニメから“逆輸入”!?

学園生活が恋しくて、アニメから漫画に逆輸入

――第1期放送時はまだ漫画の連載中だったと思うのですが、アニメから影響や刺激を受けて漫画に反映されるような部分はありましたか? 他の作品だと、原作者の方がボイス付きでセリフが浮かぶようになったと聞くこともありますが。

板垣:わかる気がします。今まで私は、ネームを描いている時に自分一人で(セリフを)読み上げて描いていたりしたので、言ってしまえば全部のキャラが“自分の声”みたいなところがあったんです。

でも、大事なセリフを言わせた時に、「ここは小林(親弘)さんがしゃべったら(どんな感じだろうか)」とか、そういう視点が加わった部分はあります。

それに、アニメ第1期の学園生活を見ていて、その風景が私から見ても本当に楽しげで。第1期放送中は原作だと、レゴシが学校を出て一人暮らしをして、社会の中で格闘している場面だったので、「一旦、(レゴシを)学校に戻そう」と学校が恋しくなってしまいました。

なので、ストーリーも3~4話分ほど影響を受けてしまって、ある意味、逆輸入した感じで「アニメってすごいな」と思いましたね。

――そうなんですね! 先生はプロットなどを細かく作り込まずに漫画を描くと伺ったので、だからこそ“逆輸入”が起こったのでしょうか?

板垣:そうですね。毎週毎週「次どうしよう」と描いている感じで、アニメが面白かったので「学校に戻そう」ということも、かなりフレキシブルに動いていました(笑)。

――結構、柔軟に作品に取り入れられているんですね。第1期では制作面で意見を求められることもあったかと思いますが、第2期でも制作に携わられたり、要望を出されたことはありますか?

板垣:第1期と同じで、新しいキャラデザや脚本のチェックくらいですね。

第2期は、大人(キャラ)のシーンが加わるので、少し残酷さやエロさがあって。原作でも結構ギリギリだったストリッパーのシーンを入れてくださったと聞いて、そこはあまり規制してほしくなかったので、うれしかったです。

――第1期の時、松見真一監督にインタビューさせていただき、色合いや音楽なども世界観を壊さないようにということで、先生の好みを探りながら作られたとお話されていました。

板垣:何のお話をしたのかな(笑)。

音楽については、ネームを描いたり、お話作りの時に聴きながら作業するので、描いている時の自分の心情が音楽に表れていて、例えば心が荒れている時はパンクを聴きながら描いていたり。

アニメでは、そういったこととは関係なく、ちゃんと作品に添った音楽を作っていただいて、第三者目線で見てもすごく綺麗な作品になっているので、ありがたいです。

――具体的に『BEASTARS』を描きながら聴いていた音楽はありますか?

板垣:わりとどんな音楽も聴きますが、『BEASTARS』は歌謡曲やクラシックなど古いテイストの曲を聴きながら描いていました。ジュノのシーンを描く時は、必ず中森明菜さんの曲を聴いていたのを覚えています。

――「歳いくつ?」と言われる選曲ですね(笑)。

板垣:(笑)。世代ではないんですけど、その時代の歌詞が大好きで聴いちゃうんですよね。

ジュノの女の気の強さや切なさに、中森明菜さんのテイストが合っていて、聴きながら描いていました。

――そういうお話を聞くと、第2期OPテーマに決まったYOASOBIさんは小説を基に楽曲制作をしているということで、先生が楽曲用に小説を書き下ろしされているのも不思議なご縁ですね。

板垣:YOASOBIさんは若者に人気だと、ニュースで知っていたくらいなんですけど、昔の曲ばかり聴いて作った作品に、また新しい曲が導入されて放送されるというのも、どうなるのかなと楽しみがありますね。

(C)板垣巴留(秋田書店)/BEASTARS制作委員会
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