『回復術士のやり直し』とのコラボレーションが生んだ栗林みな実の新しい世界――OP主題歌「残酷な夢と眠れ」は、激しく振り切ったナンバーに|インタビュー
C/Wにはずっと伝えたかったメッセージを込めて
――カップリング「深い蒼の森」は深い森の中をさまようようなダークでファンタジックなバラードです。作詞作曲は栗林さんが、編曲は小高光太郎さんが手掛けられています。どんな思いで紡がれた曲なのでしょうか。
栗林:「残酷な夢と眠れ」が復讐や恨みがテーマになっているので、人間のマイナス感情のようなものをまた違う曲調から掘り下げてみようと作った曲です。
――個人的に蒼って今の栗林さんらしい色だと思っているんです。正反対の燃えるような赤の衣装の写真も印象的ですけども。栗林さんのなかで「蒼の森」ってどんなイメージなのでしょうか。
栗林:炎って内側の蒼い部分のほうが温度が高いじゃないですか。蒼は寒色だから一見クールに見えるんですけど、秘めているものがある色で。今回の曲は内側にある燃えるような感情という意味で、「蒼」という言葉を使いました。
「森」に関しては……森って迷い込んだら外に出られないような、恐怖感もあるような場所だと思っていて。迷い込んでいて、外に出られないくらいの気持ちに捉われてしまう状態というか。誰にでもそうなることってあると思うんですけど、そういう感情や、気持ちが復活できない夜の時間帯を音楽的に表現できたらいいなと思って、「蒼の森」という言葉が生まれました。
――<消えてしまいたい 何もなかったみたいに>という言葉があって。希望とはまた違うかもしれませんが、共感ができるという意味で救いのある曲だなぁと思ったんです。そこは意識されていたんでしょうか。
栗林:ありがとうございます。「残酷な夢と眠れ」がマイナス感情の曲だったので、「それでも希望があるよ」って表現ではなく「そうじゃない日もある」ということを描きたかったんです。「復活できない自分でもいいよ、そんなときがあってもいいんだよ」ってメッセージを込めたので、それが希望といえば希望といえるかもしれません。落ちた状態をマイナスに捉えなくていいとはずっと思っていたことで。誰にでも、その(マイナスな)思いに囚われてしまっている日もあるはずなので、そういう曲があってもいいのかなと。
――栗林さんが生きてきたなかで感じてきたことでもあるんでしょうか。
栗林:そうですね。「元気を出さなきゃいけない」ってときにそうなれなくて、自分を責めてしまうことって誰でもあることだとは思うんですが。「なんで元気が出ないんだろう?」と思うんですけど、笑顔になれない日もあってしょうがないよねって。よく無理やりにでも笑顔を作ったら元気が出るっていうじゃないですか。
――言いますよね! でも元気になれなくて、結局孤独な気持ちになることも。
栗林:そうそう(笑)。筋肉が勘違いして元気が出るとかいろいろ方法はありますけど……「マイナスな気持ちと向き合うこともありだよ」って曲です。
――小高さんによるストリングスのアレンジがまたドラマティックで。
栗林:本当にそうですね。送られてきたときは、涙が出るくらい感動しました。。
――こうした情勢だからこそ、受け取る側にも受け取れる喜びが、そして歌い手側にも作ること、届けることの喜びが今まで以上にあると思うのですが、栗林さんはどうでしたか。
栗林:そうですね。久しぶりにレコーディングに入って自分の歌を録っていただける状況がとても嬉しかったんです。ちょっと話がさかのぼるんですが……外出自粛が続いていたときに、SNSでたくさんのアーティストが「#うたつなぎ」というハッシュタグで自分の歌をや演奏を届けていたじゃないですか。私もそのときに自分で歌ったり、奥井さんが声をかけてくださって家で声を録ったりしたんです。
#うたつなぎ
— ?奥井雅美? (@LoveLoveDragon) April 14, 2020
バンブーからバトンを頂きました?
こんな時だからこそ気持ち、心をひとつに過ごしましょうね♫
次は影山ヒロノブにーさん(@highwaystar_inc)と、
栗林みな実ちゃん(@minamiracle6_6)にバトンを回します。よろしくお願いします!!
???#コロナに負けるな pic.twitter.com/E1Kq5q4MEx
大丈夫みたいなので あらためて?#うたつなぎ wonderful workerをピアノで。テンポ遅いのでAは短めです。
— 栗林みな実 (@minamiracle6_6) April 15, 2020
画像は こんなかんじのお絵かきでした。表示がうまく出来なかったのでここに載せるね!
次はりのちゃんだよー(*^o^*)( @rino_CooRie )おねがいします??https://t.co/ASzYjYWsYl pic.twitter.com/zAa9sEQyUl
でも自分ひとりで録ってるだけだと面白さみたいなものは感じられなくて。改めて意見を言ってくれるひとがいる状況ってすごくありがたいことだなと思いました。スタジオで久しぶりにレコーディングをしたとき、ものすごく感動しました。
――誰かと一緒に作る大切さというのは、ジャケット、ミュージックビデオの制作でも感じられましたか?
栗林:本当に、すごく感じました。撮影の現場でもいろいろな方がいて、ひとつのものを作るために、たくさんの人がいて。実際にお会いできる状況に感動してしまいましたね。
今回のMVは初めましての監督さんだったんですが、作品に寄り添ったカッコいい世界観で作ってくださって。今までになかった映像になって、私自身すごく新鮮でした。みんなにも楽しく観てもらえたらなという気持ちです。
ジャケットは、メイクからしていつもと違う雰囲気で、アニメに寄り添った感じにジャケットになってます。いい感じになったんじゃないかなと。
――新しいチャレンジの詰まった今作の制作を通して気づいたこと、感じたことはありましたか?
栗林:いろいろな人たちがそれぞれの力をそこに注いでくださって。誰一人欠けても、この1枚になってないなとすごく思っています。関わってくださった皆さんに感謝です。あと「残酷な夢と眠れ」はスカッとする曲だと思うので、ぜひ皆にはカラオケで歌ってほしいです(笑)。
――かなり難易度の高い印象ですが、コツはありますか?
栗林:(笑) コツは……曲の流れにのって、自分を解放する感じで歌ってくれたら楽しいのかなと!