ぼくらの人生を変えたアニメ11選【2010年編】|『STAR DRIVER 輝きのタクト』銀河美少年が見せた綺羅星☆に遥かなる夢を見た
人生を変えた作品である理由
『STAR DRIVER』のテーマは「青春」。なんて眩しい言葉なのだろうか……。
物語の舞台は日本列島の南にある南十字島。「青春を謳歌する」ことを目的にツナシ・タクトが流れ着いたところから物語ははじまる。
まず、本土にいた高校生が泳いで離島まで辿り着こうとしている時点で半端じゃない。
※映画「すかんぴんウォーク(主演・吉川晃司さん)」でバタフライで海を渡るエピソードを思い出した
また、従来のアニメや映像作品が「田舎を飛び出して都会へ行く」というストーリーテリングが多い中で、今作は離島に都会から主人公がやってきて、キラキラした時間を過ごすという逆転的な発想がベースとなっている。
つまり、非現実的な方法で非現実的な場所に来たツナシ・タクトが、ここにしかない青春を過ごす。その過程を収めたフィルムが『STAR DRIVER』なのだ。※異世界に転生することなく、現代の離島に転生して青春を謳歌したお話
さて、なんとなく作品のテーマが見えてきたところで、僕の話に入ろう。
『STAR DRIVER』が放送されていた11年前。僕は、自分の人生を変えるため、必死に藻掻いている時期だった。
今だからこそ言えるが、会社を退職し、就職活動に明け暮れていた時期である。リーマンショックの荒波は強く、長期的に勤める予定だった会社を退職。その後に就職が決まった会社も社長と反りが合わず約1年で退職。
美容専門学校を卒業した26歳のサラリーマン。このままでは絶対にマズいと一念発起し、何かを掴もうと模索していた時期にスタートしたのが『STAR DRIVER』だった。
ここだけ見ると、どん底のときに見ていたアニメだから印象に残っているように映るが、実際にはそうではなくて。『STAR DRIVER』が僕をアニメに引き戻した作品だったのだ。
前述した『機動戦士ガンダム00』と『コードギアス 反逆のルルーシュ』以降に僕は一本もアニメを見ていなかったのだ。※後にさかのぼってみた作品は勿論たくさんある。
もしも、日曜の17時にたまたまテレビを点けていなかったら……。ほぼ確実に僕はこのコラムを書いていない。アニメやエンタメとは距離を置いて、別の趣味に没頭していたと思う。
ここからが大事な話。
僕は『STAR DRIVER』を見て、沢山の元気や勇気を受け取った。物語が中盤に入ったタイミングで第一志望だった大手企業にも就職が決まった。
もしも、『STAR DRIVER』を見ていなかったら?と考えるとゾッとする。
多分、落ちていたと思う。アニメ一本でそんなに人生が変わる?と侮るなかれ。『STAR DRIVER』いや、ツナシ・タクトには人を笑顔にする力があるのだ。※『STAR DRIVER』を最後まで見ていただくと、この言葉の意味が伝わると思う。
世界の秘密に迫る一方で、年相応の悩みや様々な壁(作品を見直すと実生活のメタファーを表現していることに気付かされる)にぶつかり、成長していくキャラクターたち。
そんな清々しい彼等の活躍を毎週見ることで、僕は救われていたのかもしれない。11年経った今、改めてそう思う。
覚悟次第で煌めくことが出来る。
今回の話が届いたタイミングで『STAR DRIVER』の劇場版を見直してみた。
『STAR DRIVER』はとにかく言葉が強い。僕が素晴らしい作品だと思うアニメにはストーリーがいい、キャラが生きているということを除いても3つの共通点がある。
まず、フィルムに魂のような言葉にできない熱さが詰まっていること(芝居や絵、演出になど)。次に、情景を思い浮かべることがきる音楽。最後に、言葉だ。
改めてになるが、『STAR DRIVER』はキャラが発する言葉が魅力的だ。
「やりたいこととやるべきことが一致する時、世界の声が聞こえる」
第一話『銀河美少年』でツナシ・タクトがこのセリフを発した瞬間、僕が言葉にできていなかった感情が表現された気がした。だから、僕は『STAR DRIVER』を毎週見ることにしたのだと思う。
『STAR DRIVER』を見て以降、重要な決断を迫られる時はいつも、(自分が)やりたいことと(誰かに求められて)やるべきことが一緒かどうかをずっと意識してきた。
そういった意味でも僕の人生を変えた作品、ということになるのだろう。
僕がアニメイトグループに転職したときもそう。アニメイトグループの会社を退職した後、今の仕事にたどり着いたときもそう。
逆に、何かに焦っていたり本当にやりたいことではないことは、やっぱり続かないし後悔しか残らない時間に終わってしまった。
“現実の時間は止まらない”。だからこそ、常に自分が素直に生きることができる状況を自分で考えて行動しなくてはならないのだ。
辛いことばかりでもないし、楽しいことばかりでもない。だからこそ、少しでも前向きに直向きに生きることが大切なのだ。