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ぼくらの人生を変えたアニメ11選【2011年編】|『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』

ぼくらの人生を変えたアニメ11選【2011年編】|『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』忘れられない涙と笑顔をくれた大切な思い出

アニメが豊作 そして忘れられない年

前置きが長くなったが、そのうえで2011年という年を振り返りたい。2011年は『魔法少女まどか★マギカ』、『TIGER & BUNNY』、『Fate/Zero(フェイト/ゼロ)』、『輪るピングドラム』、『STEINS;GATE』、『花咲くいろは』、『うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVE1000%』など全部名前を挙げたいくらいの名作ぞろい。

ゲーム原作からループもの、オリジナル作品までと、豊作どころか革命的な年だったと言っても過言ではないだろう。アニメシーンに比例してアニソンも、さらにボーカロイドも盛り上がって、アニメを彩る曲のジャンルが一気に広がっていたように思う。

2011年は我々にとって忘れられない年でもある。3.11東日本大震災である。それぞれにそれぞれの思いがあるだろう。大切な方を亡くされた人たちの心の痛みは計り知ることができない。

東京にいた私は感じたことのない揺れに恐怖を覚え、その後つけたテレビの映像に言葉を失った。私の祖母・親戚は、福島第一原子力発電所から半径20㎞以上30㎞圏内後に住んでいる。親族は事なきを得たが、しばらくはそう簡単に戻れない状態が続き隣町に転居した (小さいころ私がよく遊んでいた本家は今は廃墟だ)。

震災を機に周りの仲間にも変化があった。ボランティアとしてすぐに動き出したバンドマンもいれば、音楽業界を離れた人、遠くに引っ越した友人もいた。

昨年から続く新型コロナウィルスでも改めて考える人も多いだろうが──災害が起こるたびに「エンターテインメントの役割とは」といった摩擦で悩み苦しむ表現者は多いだろう。いろいろな考えがある。

しかし私は有事のときこそ、「エンターテインメント」も「好き」も大きなパワーを発揮すると思う。もっというと、こうした世界の片隅にいる自分は、そうであってほしいとも思う。

目の前にある仕事ことを精一杯やることが自分の役目と思っていたが、2011年当時、私は妊娠していたこともあって、時には静かに休むこともまた自分の役目である。無力さを痛感していた。

その一方で、いまある日常が当たり前ではないこと、そして助け合いの大切さ、命の尊さを改めて感じていた。好き勝手、直感だけで生きてきた人生だったけれど、本当にたくさんの人たちに助けられたんだなと改めて考え猛省した。

テレビで震災の映像を見るのが辛かった。感情の部分だけではなく、余震で揺れが多かったこともあったのと、つわりとが重なって、画面酔いをすることも多々あった。

そんななか、4月から始まったノイタミナ枠の深夜アニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(以下あの花)を観た。正確にいうと、1話目は見逃していて、「あの花は絶対に観たほうがいい」といった声に動かされて観るようになった。

そして毎週のように涙を流して、6人の青春と葛藤に想いを馳せた。「今日は泣かない」と無心になったり、ワザと斜に構えてゆきあつばりの仏頂面で見たり(なぜそこまで?自分でも謎)とさまざまな方法を試したが、最後はどうやってもぐしゃぐしゃに泣けた。ずっとどこかで気が張っていた心が解けていった。

「あの花」のあらすじを振り返る

「あの花」の監督は長井龍雪氏、脚本を岡田麿里氏、キャラクターデザインは田中将賀氏と、2008年に放送されたテレビアニメ版『とらドラ!』のスタッフが名を連ねている。

原作のクレジットは「超平和バスターズ」。長井氏、岡田氏、田中氏は「あの花」内に登場する「超平和バスターズ」を名乗ってチームとして今作から活動していて、その後アニメーション映画『心が叫びたがってるんだ。』、映画『空の青さを知る人よ』でこれまで3度原作を手掛けている。

3人が本作に取り組むことになった経緯は、『あの花/ここさけ/空青メモリアルブック』(小学館)、『学校へ行けなかった私が「あの花」「ここさけ」を書くまで』(岡田麿里/文藝春秋)などで知ることができる。

簡単に「あの花」のあらすじを説明する。主要人物は6人。ヒキコモリぎみの主人公“じんたん” (宿海仁太/演・入野自由/幼少時:田村睦心)、 ギャル友達に流され気味の“あなる” (安城鳴子/演・戸松遥)。進学校に通う“ゆきあつ” (松雪集/演・櫻井孝宏 幼少時:瀬戸麻沙美)、“つるこ”(鶴見知利子/演・早見沙織)。高校に進学せず旅を重ねる“ぽっぽ”“(久川鉄道/演・近藤孝行、幼少時:豊崎愛生)そして、天真爛漫のマスコットキャラだったが、川の事故で亡くなってしまった“めんま” (本間芽衣子/演・茅野愛衣)。

幼馴染で小学生だった6人は「超平和バスターズ」というグループ名で秘密基地でよく遊んでいた間柄だったが、めんまの事故をきっかけに距離が離れてしまっていた。高校生になった5人。ある日、じんたんの目の前に“お願いを叶えて欲しい”と幽霊になっためんまが現れる。めんまの願い事がきっかけとなり、5人は再びかつてのように集まるように。「めんまの願い事が何か」を探っていく中で、それぞれの後悔や未練、コンプレックスや葛藤が明らかになっていく。

詳しい説明はこちらを読んでほしい。

当時、長井監督は、本作の内容があまりアニメらしくないことから、視聴者に受け入れられるのか不安や葛藤も抱いていたそうだが、それは杞憂となった。岡田氏の故郷・秩父(当時は故郷であることは非公開)を舞台に、綿密に丁寧に作られた世界観。少年少女の繊細な心の機微。紆余曲折を経て取り戻していく絆。「大切な友だちの死」というシリアスな一面が含まれた作品ではあるが、アニメらしいファンタジックさもしっかりと閉じ込めた青春群像劇は、深夜帯の放送ながらも瞬間最高視聴率は5.5%を超え、ブルーレイ&DVDは27万本以上を出荷。

異例の大ヒットだった。エンターテインメントの力を改めて感じさせた。

ヒットの背景に、作品そのもののすばらしさはもちろんだが、当時私も含めて、日本中の人たちが、日々の尊さ、友だちの大切さを改めて感じていたことも影響しているだろう。

そして、前に進もうとしていた気持ちも「あの花」に重ねていたのではないだろうか。ちなみに、「日本漢字能力検定協会」によると2011年の世相を表す漢字として、最も応募数の多かった漢字が「絆(きずな)」だったという。

普段はアニメをあまり見ない友人からも「あの花。にハマってる」「エモい」「泣ける」という話をたくさん耳にした(今ではすっかり定着している「エモい」という言葉は、元々はバンド界隈でよく使われる言葉だった)。

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