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ぼくらの人生を変えたアニメ11選【2014年編】|『Fate/stay night [UBW]』

ぼくらの人生を変えたアニメ11選【2014年編】|『Fate/stay night [Unlimited Blade Works]』 ビジュアルノベルは、かつてのオタク達にとっての青春だった

主人公・衛宮士郎の活躍が描かれる[UBW]ルート待望の映像化

少々前置きが長くなってしまったが、そんな筆者にとって特別な作品である『Fate/stay night』の発売から10年という節目に放送されたのが、TVアニメ『Fate/stay night [Unlimited Blade Works]』だ。

空の境界』、『Fate/Zero』の2作を、TYPE-MOONファンも納得の高クオリティで映像化させたufotableが、ついに『Fate/stay night』を手掛けてくれるというのだから、その期待値は放送前からほぼマックス。

『Fate/stay night』には、3つのルートが存在しており、セイバーがヒロインの「Fate」ルート、間桐桜がヒロインの「Heaven's Feel」(HF)ルート、そして遠坂凛がヒロインを務めるのがこの「Unlimited Blade Works」(UBW)ルート。

[Fate]ルートは2006年にスタジオディーンによるTVアニメ、[HF]ルートは2018~20年にかけてufotableによる劇場版と、それぞれ映像化されているが、この[UBW]ルートは、2010年のスタジオディーンによる劇場版と、ufotableのTVアニメという、唯一の2度に渡る映像化がなされている。

3つのルートの中でもファン人気がとくに高く、筆者が原作でもっともお気に入りだったのもこの[UBW]ルートだった。

[UBW]ルートの魅力は、なんといっても主人公である衛宮士郎と、凛のサーヴァントであるアーチャーの二人に焦点が大きくあたったシナリオだということ。

まず前提として、『Fate』シリーズの世界では表向きには秘匿されている「魔術」という概念が発達しており、万能の願望機である「聖杯」を魔術師たちが争う、「聖杯戦争」と呼ばれる戦いが行われている。

この聖杯戦争は、神話や伝承に登場する偉人たちが、セイバー、アーチャー、ランサー、ライダー、キャスター、アサシン、バーサーカーの7つのクラスにサーヴァントとして割り当てられて召喚され、マスターとなる魔術師とタッグを組んで行われるバトルロワイヤル。

未熟ながらも魔術を学んでいた士郎は、偶然にも第5次聖杯戦争に巻き込まれ、その中でも最優のクラスとされるセイバーを召喚し、戦いに身を投じていくことになる……というのが主なあらすじだ。

[Fate]ルートでは、戦いを担当するのは主にサーヴァントであるセイバーの役割で、士郎は主人公でありながら、戦闘シーンでの活躍はかなり限られる……どころか、女の子であるセイバーを守ろうとして、足を引っ張ってしまう場面も見られるほど(サーヴァントの戦闘力は、魔術師とは比較にならないほど高いので当然だが)。

ゲーム版では、シーンによっては士郎の行動を選択肢で選べるようになっているのだが、だいたいうかつな行動を取ると命を落とすバッドエンドを迎えてしまい、タイガー道場送りとなってしまうことがほとんど。シナリオの主軸も、士郎自身よりもサーヴァントであるセイバーに関するドラマが担っていた。

一方、[UBW]ルートにおいては、キャスターによってセイバーが拉致され、士郎との契約を断たれてしまったり、士郎自身も戦わなくては状況を打開できないシチュエーションが多数発生する。

士郎は魔術を使うために必要となる生まれ持った魔術回路が独特で、使用できるのは武器を複製する「投影」と、武器を強くする「強化」の2つのみ。聖杯戦争のマスターの中でも最弱といっていい部類で、到底サーヴァントには対抗できない。

しかし、この[UBW]ルートでは、アーチャーの戦闘スタイルの模倣、アーチャーの愛用する武器である干将・莫耶を投影したことから、少しずつ戦いに参加できるようになっていく。

それでも、マスターとしてセイバーを支援することはほぼできず、サーヴァントとまともに戦うこともできない士郎。最弱に近い存在であることに変わりはないのだが、そんな士郎だけが対抗できる存在が、サーヴァントの中でも最強格の存在であるギルガメッシュ。

最古の英霊と呼ばれるギルガメッシュは、「王の財宝」によってこの世の英霊のありとあらゆる宝具(英霊たちがもつ切り札的な道具)を所有しており、英霊である限りギルガメッシュに勝つことはできないとされている。

一方、あらゆる武器を一時的に複製できる士郎が得意とする投影魔術は、この「王の財宝」に対抗できる数少ない手段であり、同時にギルガメッシュは、格下の相手であればあるほど全力を出さずに慢心する傾向にある。

これらの要因が合わさった時、他のサーヴァントやマスターには到底敵わない“最弱”の位置づけにいた士郎が、“最強”の存在であるギルガメッシュに対してだけは相性的に有利となるという構図がとにかくアツい。

クライマックスで士郎がギルガメッシュに向けて言い放つ、「いくぞ英雄王――――武器の貯蔵は十分か」のカタルシスは凄まじく、『Fate』シリーズの中でも屈指の名台詞となっている。

士郎と切嗣、アーチャーの3者が行き着いた、それぞれの「正義の味方」像

士郎は、困っている人を絶対に放っておくことができない超のつくお人好し。その思想にはかつて起こった「大災害」によって家族を失い、自身も命を落としそうなところを、魔術師である衛宮切嗣に救われたことから、切嗣のような「正義の味方」に憧れたこと、大災害の中で自分だけが生き残ったことに対する負い目が強く影響している。

自分を投げうって誰かの助けになるという精神性は、いわゆる「正義のヒーロー」的な主人公に多く見られる傾向だが、士郎の場合は自分の命すらも軽んじており、その精神性と価値観は、多くのキャラクター達から「異常」だという指摘を受けている。

また、「正義の味方」とはいっても、現実にははっきりと「正義」と「悪」が分かれることはそうそうない。明確な悪が存在しないなら、誰かの味方をするということは、誰かの敵であることでもあり、助けた方からは感謝されても、敵対した方からの恨みを買うことになる。

凛のサーヴァントであるアーチャーは、そんな「正義の味方」として生きた衛宮士郎が、悲痛な末路を遂げた果てに英霊となり、かつて自身が参加した聖杯戦争にサーヴァントとして召喚されたというキャラクター。

「正義の味方」としての生き方の先に何があるのかというテーマを描いたのが[UBW]ルートの大きな魅力となっている。

衛宮士郎は、とくに[Fate]ルートにおいては、セイバーの足を引っ張ってしまうシーンが多かったのもあり、ファンからもなかなか評価が分かれるキャラクターだった。

しかし、士郎の人格が形成されるまでのバックボーンと活躍がたっぷりと描かれる[UBW]ルートの後で、士郎に対する見方が変わったという方も少なくないはずだ。

また、「正義の味方」というテーマに直結しているのが、2012年にTVアニメが放送された『Fate/Zero』。士郎にとって育ての親である衛宮切嗣を主人公とした、第4次聖杯戦争を描いた前日譚的な位置づけのスピンオフ作品で、なぜ大災害が起きて切嗣は士郎を保護したのか、当時の切嗣はどんな人間だったのかが明らかにされた。

衛宮切嗣という人物は、PC版『Fate/stay night』の頃から登場してはいたのだが、TVアニメ版[UBW]は、『Zero』の後に制作されたこともあり、その繋がりがより強調された作りとなっている。

 
原作においても士郎と切嗣が縁側で会話を交わすシーンが回想として時折挿入されていたが、『Zero』を知っていると、切嗣への思い入れが増している分、同じシーンでも感じられる感慨深さが段違い。

とくにそれが効果的に発揮されたのが、アニメ版独自のアレンジが加えられた、士郎とアーチャーが互いの信念をかけて対峙する終盤のシーン。アーチャーが忘れてしまっていた切嗣の願いを胸に、困難な未来に向けて士郎が進み始めるという流れは、『Zero』を踏まえたからこそ描ける名シーンとなっている(なおこのシーンのアレンジは、原作者である奈須きのこ氏本人によるもの)。

このシーンで流れる、Aimerさんによる挿入歌「LAST STARDUST」も、歌詞も含めた楽曲のすべてが完璧にシーンにマッチしており、感動をより際立てる。

Aimerさんはその後の劇場版[HF]3部作においても、すべての主題歌を担当しており、いかに「LAST STARDUST」が多くの『Fate』ファンの心に深く刺さったのかも伺い知ることができる。

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