音楽
映画『GET OVER -JAM Project THE MOVIE-』JAM Projectインタビュー

初のドキュメンタリー映画『GET OVER -JAM Project THE MOVIE-』JAM Projectインタビュー|アニソン界のトップランナーの光と影を鮮明に描いたリアルムービー

JAMのメンバーが語るアニソンやアニソンシンガーとは?

――皆さんにとってアニソンやアニソンシンガーはどんな存在だと思われていますか?

福山:僕にとってのアニソンは子供の頃からヒットチャートや好きなグループとは別に存在していて、一緒に交わることはありませんでした。

でもみんなで歌える曲といえばアニソンや特撮ヒーローソングで、大人になってそういう曲が歌えたことはよかったなと思いました。決して自分の生活やバンドを維持するためではなく、純粋に嬉しかったし、こういう世界に入ることもできて。

またアニソンは音楽ジャンルではないと言われていますが、僕らはJAMをやっていて、アニソンの音楽スタイルはあるんじゃないかなと。TVシリーズだとOP曲もED曲も90秒尺で、映画では最初や間、EDに流れることもあって、アニメの種類が細分化されていくことで、音楽や歌にも細かい部分が要求されるようになって。

そんなアニソンの流れや進化の形を、ストロングスタイルの僕らが作ってこられたのかなとも思っています。

きただに:僕は最初にJ-POPシンガーとしてデビューしたけどうまくいかず、アニソン界に拾われたという想いがあって。だから恩返ししたいという気持ちも強いです。

アニソンを歌うようになってから、古くからの友人たちに「アニソンのほうが天職なんじゃないの」と言われることも多かったし、自分自身でも声質や性格も含めて合っている気がしています。

影山:僕も10代の時にやっていたバンドが解散して、その後5年くらいは低迷していて。でも今までできなかった曲作りや年間150本くらいライブをやることを目標に掲げて頑張っていました。

24歳の頃、レコード会社のアニメセクションのディレクターさんに『電撃戦隊チェンジマン』の主題歌のお話をいただいて。それから世間に再び曲を聞いていただく機会を与えていただいて、今日まで途切れていなくて。

自分を暗闇から救ってくれたくらいの感謝の気持ちがあるし、ファンの方々も温かく受け入れてくれたので、そんな人たちのために恩返ししたいというのがスタートでした。

アニメ作品が真ん中にあるとすれば、その周りのチームの一員になる覚悟がアニソン魂だと思っていて。だからアニソンを作ったり、歌っている中での一番の喜びは、アニメのプロデューサーやスタッフに「今回の曲、最高ですよね。僕たちが伝えたいことが全部入ってます」と言われることです。

そして「これこそが俺たちの仕事なんだ」と実感できます。世の中にリリースされた時にファンの方々が喜んでくれたり、「神曲!」と反応してくれたなら「いい仕事に参加できて本当によかったな」と心から思えるんです。アニソンシンガーの立ち位置であり、カッコいいところかなと。

今アニソンシンガーになりたい人も増えていますが、「遠藤さんの歌が好きだからあんなふうに歌えるプロになりたい」とか、「奥井さんのように歌えるようになりたい」という目標や憧れがあるのならいいと思います。僕も70年代にロックスターへの憧れが音楽の始まりでしたから。

ただアニソンはタイアップで曲をたくさんの人に聞いてもらうチャンスがあるし、当たれば大きいみたいに華やかな部分にだけを目を向けるのではなく、自分の立ち位置を職業的に誇れるようなミュージシャンになってほしいと思います。

奥井:私が子供の頃はまだアニソンシンガーという括りもなく、堀江美都子さんの「キャンディ・キャンディ」など、アニソンのレコードをたくさん買ったりしていました。その後にレイジー(かつて影山さんが所属してバンド)のファンになるのですが(笑)。

そしてバックコーラスのお仕事をするようになって、林原めぐみさんの仮歌やレコーディングのコーラスもしていました。そこで当時のレコード会社の方から「ソロデビューしてみませんか?」とお誘いをいただいて、いい記念になるかなと思ってお受けしました。

でもその時のアニメやアニソンシーンに関しては詳しくなくて、アニソンシンガーといえば、堀江さんや佐々木功さん、アニキ(水木一郎さん)しか知りませんでした。

だから堀江さんのように美しく、私が思う“正統派な歌い方”をお手本にして最初はやっていましたが、他にもアニメのお仕事をいただくようになりました。

そのうち、J-POPや歌謡ロックのテイスト、16ビートの踊れる曲など、好きな音楽性や、やりたい音楽を取り入れるようになって。気付いたらJAM Projectに入って、こんなに長くアニソンを作ったり、歌うようになって、今ではすっかり生活の一部になりました。

夢や希望を真っ直ぐに歌えるのがアニソンの良いところでもあって。あとポリシーとしてはどんなにネガティブな作品や内容だったとしても一筋の光が見えるように終わらせることを心がけていて、それはJAMの楽曲でも同じです。

遠藤:僕もアニソンシンガーを目指していたわけではなく、影山さんと同じ事務所に入って、今のレコード会社から「歌ってみないか」と誘われたのが始まりで。

アニソンを歌う時と自分のバンドで歌う時の違いをよく聞かれますが、自分自身分けて考えたことはなくて。もし音楽にジャンルがあるとしても、歌にはジャンルがないと思っているので。

僕がアニソンを歌わせていただくようになった頃はアニソン=ニッチで暗いイメージを抱かれることも多かったので、若い人たちが「今日、アニソンのライブに行くんだ」とか「このアニソンいいんだよ」と胸を張って言えるような時代になればいいなと思ったし、そういう世界にしていきたいなと思って活動していました。

話題になっているLiSAちゃんをはじめ、今ではアニソンが市民権を得ているし、「アニソンシンガーになりたい」という夢を語る人も増えましたが、少しでも僕らが力になれていれば嬉しいなと思います。

――JAM Projectのファンの方、まだJAM Projectの楽曲やライブに触れたことがない方へメッセージをお願いします。

福山:JAM Projectをずっと好きで楽曲を聞いたり、ライブにも来てくださるような方もいれば、『ワンパンマン』の曲しか知らないとか、「SKILL」しか聞いたことがない方、アニメファンではないという人もいると思いますが、たくさんの方にこの映画を見てほしいです。

そしてこんなにもアニソンをこよなく愛するグループがあることを知ってください。

きただに:僕が伝えたいことはシンプルで、とにかくたくさんの方に見てほしいです。見てもらえればきっとわかります!

影山:僕たちが歩んできた20年というのはアニメ文化やアニソン文化がすごい勢いで市民権を勝ち取ってきた年月で、今もなお進化している途中であり、昨年のLiSAちゃんの躍進は一番最新のトピックスだと思うんです。

また僕らのライブ会場が段々大きくなっていったのは『アニメロサマーライブ』の会場が大きくなったり、人数が多くなっていたのと同じタイミングだったし、海外のアニメのイベントがどんどん成長していった、そんな20年で。

アニソンという文化にもっと興味を持ってほしいし、その中にいた1つのチームとして僕たちが歩んできた道のりを、業界の在り方と照らし合わせて見ていただいたらよりわかりやすいかもしれません。

未来にはまだ知らないアーティストも続々と登場していきます。でも忘れないでほしいのは僕たちはまだやめてはいないぞと(笑)。

JAMは今も現役であり、まだまだ走り続けていることを感じてほしいです。

奥井:この映画では普段、JAM Projectが作っている歌詞や楽曲、各自ソロで歌われていることの背景、どんなことを考えて音楽をやっているのか、どんなことに悩み、どういう人生を歩んできたのかが垣間見える部分があるのかなと。同じ曲を聞いても捉え方が変わってくると思うし、もしまたライブができた時には深く見ていただけると思います。

そしてご家族やお友達などアニメやアニソンに興味がない方でも楽しめると思うし、こういう大人たちもいるんだよと知っていただきたいです。あと私たちと同じアニソンシンガーや業界関係者にも見ていただきたいと思っているので、個人的に宣伝しようと思っています(笑)。

遠藤:宣伝部長だね(笑)。やっぱりファンの人に見てほしいのは一番ですけど、我々やアニソンの世界を知らない方にも見ていただいて、こういう世界なんだと知っていただきたいです。

またコロナ禍に大人が悩んで、乗り越えていこうとする姿を見て、自分も頑張ろうというきっかけになれたら嬉しいです。

メンバー5人分の想いや生き様も描かれているので、何度見ても違う視点で楽しめる、すごく濃い作品になっていると思うので、1度とは言わず、何度でも見ていただくことで、それぞれの想いがより伝わると思います。ぜひ見てください。

[取材・文/永井和幸]

映画『GET OVER -JAM Project THE MOVIE-』作品情報

2月26日(金)~3月11日(木)まで2週間限定ロードショー!

イントロダクション

世界で日本の「アニソン」ジャンルを開拓し、
結成20周年を迎えたJAM Project初のドキュメンタリー映画!

世界に日本の「Anison(アニソン)」を躍進させた開拓者であり、”レジェンド”と称されるスーパーユニット、JAM Project(JAPAN ANIMATIONSONG MAKERS PROJECT)の結成20周年を記念した初のドキュメンタリー映画。

460日間に渡る長期密着を敢行。レコーディング、海外LIVE、LIVEツアーリハーサル…だが、誰も予測し得なかったCOVID-19 の影響により、予定されていたLIVEツアーは次々と中止になっていった…。

そんな“現在(いま)”だからこそ浮かび上がる、音楽を通して世界を勇気づけてきた彼らの真実のメッセージとは? メンバー自身でさえ知らなかったと驚く“誰もみたことのないJAM Project”の姿が、ここにある。

JAM Projectとは

「アニソン界」を代表する実力派シンガーによって、2000年に立ち上げられたスーパーユニットです。

世界に誇る進歩した日本のアニメーションに見合う主題歌を作り歌っていきたいと、シンガー達自らが立ち上がり、集いました。アニメやゲームに付随した主題歌文化に磨きをかけていきたい…そんな欲望をもってJAM Projectは「アニソン」というジャンルの中で独自の地位を築き上げました。

現メンバーは、影山ヒロノブ、遠藤正明、きただにひろし、奥井雅美、福山芳樹の5人。メンバー自らが主題歌の「曲づくり」にも携わっており、プロデューサーや監督達との打合せ、デモづくり、ディレクションと、「作品」=「主題歌」を目指して、常に制作者と表現者を兼ねて邁進しています。

CAST

JAM Project
影山ヒロノブ 遠藤正明 きただにひろし 奥井雅美 福山芳樹
Guest Artist:ALI PROJECT angela GRANRODEO FLOW 梶浦由記

STAFF

監督:大澤嘉工
製作:井上俊次 二宮清隆
企画:松村起代子 宇田川美雪
プロデューサー:高橋義人
撮影:脇屋弘太郎 西岡章
録音・音響デザイン:石寺健一
オンライン編集:波江野剛
ラインプロデューサー:安養寺紗季 原啓介
制作:東北新社/配給:東宝映像事業部
2021年/日本/カラー/16:9/114分

公式サイト
公式ツイッター(@JAMProject_eiga)

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