ぼくらの人生を変えたアニメ11選【2017年編】|『妹さえいればいい。』は爆笑している瞬間にふと突き付けられる現実に震えた
この仕事を続ける覚悟を貰い、もう一度初心に帰ることができた
第5話で土岐に捕まった伊月は、牢屋のような特別室に連行され原稿に打ち込むことに。ですが疲れ果て作業の途中で寝落ちしてしまいます。すると夢の中にすら土岐が出てきて、「逃がさんぞ」と圧をかけてくるのですが……そうです、もう逃げることは許されません。
例えどんな状況であろうとも、追い込まれたら書かなければならないのが文章書きの常なのです。
その原稿が例えクソだろうがなんであろうが納品するしかない、それを仕事にしてしまった以上逃げることはできない……そのことに気付いたのはこの場面のおかげでした。
好きな事を仕事にした以上は、仕事として関わり続ける限り絶対に逃げられません。仕事をしていても、趣味の時間も好きなものに関わり続けているのです。
感動した作品について書く場合などはもちろん楽しいのですが、仕事で辛いことがあった作品に関わるときなどは、その作品が好きなのに嫌な気持ちにもなってしまう……。
筆者も端から逃げるつもりは無かったと言えば聞こえはいいですが、3年目にもなってくるとしんどく思えてくる部分も出てくる訳で。
脱オタして足を洗ったらそもそも仕事が成り立たなくなりますし、普通の人が勉強して大学に入って就職してとやってきた時間を、全てアニメやゲームに費やしてきたからこうなっている部分があります。
だからこそ、書くことを止めてしまったらその時間の全てが無に帰すと言っても過言ではないのです。
道はもう残されていません。まぁ幸いな事に心の底から嫌になってやめたいと思った事はこれまで無いのですが、それでもです。
昔からの友人が結婚して子供までできて日々状況が変わっている中で、自分は仕事だからと昔と変わらずにずっとアニメやゲームに関わり続けている。当時、このことに疑問を覚えないでいられるほど、筆者はメンタルが強くありませんでした。
だからこそこの作品を見た時期は焦りが出てきたのか、色々な失敗を重ねてしまいました。ですが失敗を重ねようが何しようがもう逃げられない以上、アニメやゲームと心中するしかありません。筆者にとってその覚悟をくれたのがこの作品でした。
伊月もこのエピソードで最後に作品を書き上げる訳ですが、その瞬間は思わず共感せざるを得ませんでした。常に何かに追われるような脅迫観念がありつつも、書くことから逃げられないし、止めることができない。そして、ただ書きたかったのです。あの感覚をアニメでも味わうことができたのです。
この場面で流れてくるオープニングテーマの「明日の君さえいればいい。」も相まって、本当に謎の感動があったんですよね。
そして好きなものに関われる、それだけで楽しいという初心にこの作品のおかげで帰ってくることができました。中々納得の行くものが作れずとも、たとえ目標に達するものができなくても、それでもやっていきたいとようやく思うことができたんです。