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映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版』レビュー感想

『シン・エヴァンゲリオン劇場版』ネタバレなしレビュー|「20代前半の若者からみたエヴァンゲリオン」~シンジになれなかった僕たち

僕らと直撃世代の違い

ネット上では、「エヴァは通過儀礼である」「エヴァは一種の体験である」「シン・エヴァは卒業式だ」との声も多く、やはり当時のファンからすると異常で特別な経験だったことがわかります。

解説記事や動画を見ると、「そんな盛り上がりがあったんだな」と、まるで歴史の授業を受けているような気持ちになっていました。

当時バリバリの15歳でリアル”シンジくん”だった知人に話を聞いてみたところ、『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』を観て「とあるシーンで涙ぐんでしまった」と言いました。

僕も同じく涙したので共感の言葉をかけましたが、話を聞いているとどうもしっくり来ません。

続けて話を聞いていくと、「面白い、凄いという次元ではなくて、終わったんだという涙と現実で、しっかり生きようっていう決意のようなものを感じた」と話します。

ここで気づきました。つまり『エヴァンゲリオン』直撃世代の方々は、「シンジくん」と不思議とシンクロしていたのです。

当時の少年達に向けた作品を、主人公と同じ年齢で観た人にとっては、それからシンジくんを観るたびに、あの頃一緒に抱いていた「思春期」を常に思い出すことができたはずです。

10年経っても、20年経っても、変わらないシンジくんとシンクロし続けている部分があったのです。

当時の環境、思春期の質、25年という年月。この要素のいずれかが重なり、みんながシンジくんの想いを胸に持っていたと思います。

だから、「卒業式」だったり、「最後」というところに自然と心が動いてしまうのです。

そしてふと気づきます。そんな人たちと違って、僕は「シンジくん」になれないんじゃないのか? と。

95年と2010年代の日本は置かれている状況も大きく変化しています。

僕らの世代は、反抗期がないとも世間から言われていた、いわゆる“さとり世代”でした。それなりに思春期を上手に生きたのかもしれませんし、何より『エヴァンゲリオン』をリアルタイムで共に過ごした25年という時の流れは感じることができません。

もちろん、『エヴァンゲリオン』の素晴らしさは誰でも感じることができます。綺麗な映像、斬新なカット、独特さ、謎、モンタージュ、音楽、ストーリー挙げたらきりがありません。

そしてそのそれぞれの楽しみ方、どれもが素晴らしいのには変わりありません。どこに感動しても、人それぞれです。

でも、僕らはそんな『エヴァンゲリオン』との出会い方は違います。次々に新しい体験をして、みんなで感動を共有してきた世代の人たち。対して、僕たちはすでに積み重ねられた『エヴァンゲリオン』という文化に踏み出していくことになります。しかも、感動を共有できる仲間は多くはありませんでした。

非常にシンプルで至極まっとうな話ですが、95年に思春期を迎えて『エヴァ』を観ていた方と同じような感覚は味わうことはできません。

もしかしたらそれは僕が「シンジくん」になれないという事かもしれません。

でも、それでも、あの時感じた、シンジくんが初号機に駄々をこねて、全てを救うためにわがままを叫んだあのシーンを見て、僕がシンジくんとシンクロしたいと思ったのは事実です。

それから僕は、『エヴァンゲリオン』を追いかけるたびに、シンクロする努力を続けてきたのかもしれません。

リアルタイムで作品を追いかけ続けていた世代の方たちが羨ましかったのです。

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