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映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版』レビュー感想

『シン・エヴァンゲリオン劇場版』ネタバレなしレビュー|「20代前半の若者からみたエヴァンゲリオン」~シンジになれなかった僕たち

若者にしか観れない『エヴァンゲリオン』は何か

僕にとってこれまでの『エヴァンゲリオン』は、積み重ねられた文化であり、「遺跡」や「世界遺産」のようなものだと思っています。

未完の「サグラダ・ファミリア」だって「世界遺産」です。観光やレジャーとして楽しむことはもちろん、世界遺産に興味が出てどんどん調べていく人もいます。その世界遺産の造形や歴史を楽しむ人もいますし、ミステリアスなところに惹かれることもあるでしょう。

僕たちにとって『エヴァンゲリオン』は、追いかけて楽しんでいくイメージなのだと思います。

それでも追いきれない部分が、先程も書かせていただいた「シンジくん」になるということ。登場人物たちと一緒に大人になっていくことなのだと思います。

しかし、今回の『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』は少し違いがあるのです。

これまでの『エヴァンゲリオン』を過去の歴史だと思って観ていた僕たちですが、今回だけは違います。みんな等しく同じタイミングで同じ結末を迎えるのです。

やっとリアルタイムで新しく、同じものを観て、みんなで共有することができるのです。

TVアニメ放送から25年が経ち、自らはとっくに大人になっているのに、心のどこかで残っていた「シンジくん」との決別。その誇らしさと寂しさを感じる直撃世代の方々。

僕はずっと、そんな「シンジくん」になりたかった。「シンジくん」に惹かれ憧れて、シンクロする努力を続けてきました。でも、それが完全に叶うことはなかった嫉妬心、羨ましさとは今回の『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』でお別れです。

これは一方では、一生僕たちには「シンジくん」になることができないことにもなるのでしょうか。

そうではありませんでした。『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』はすべてを許したのです。25年間も「シンジくん」を抱き続けたことも、「シンジくん」にならなければならないという気持ちにも、答えをくれました。

「シンジくん」なれない。そんな寂しさへの「謝罪」。そして「シンジくん」にならなくても良いという提示。

25年も前の作品を、若い世代が興味を持ち、ファンになり、確かに支えていた。そのことについての「感謝」をくれたような気がしたのです。絶望と希望の両方を抱いてまた新しく生きてほしい、と。

これが僕らの『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』でした。

僕の周囲の感想や、SNSでも若者のコメントは見つけることができます。それぞれ多種多様なことに言及をしていますが、最後には「ありがとう」という気持ちが綴られていました。

みんなどこかで、僕らのことも考えてくれた『エヴァンゲリオン』に感謝とリスペクトを感じているのだと思います。

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