A-1 Picturesと仕掛ける新企画「BATEN KAITOS」|ずっと真夜中でいいのに。「秒針を噛む」、Eve「お気に召すまま」など……数々のMVを手がける気鋭のアニメーション作家・Wabokuの作品を一挙紹介
アニメーションならではの色彩豊かな表現で楽曲を引き立てる “アニメーションMV”が近年注目を集めています。そんなアニメーションMVのカルチャーを作ったひとりでもあるWabokuさん。
ずっと真夜中でいいのに。の「秒針を噛む」のMVなど、独特な世界観と見るものを釘付けにする気鋭のアニメーション作家です。本記事ではWabokuさんがこれまで手掛けてきた作品を辿っていきます。百聞は一見に如かず。それぞれのMVを観て、その世界に浸りながら読んでくださいね。
Wabokuさんが手掛ける数々のMV
Waboku×ルワン 初音ミクdark「ハイタ」(2017年)
Wabokuさんが初めて手掛けたMVは、2017年に発表されたボーカロイドP・ルワンさんによる「ハイタ」です。この作品をキッカケにWabokuさんの名前が音楽シーンに浸透していきました。
【新作MV】
— Waboku (@waboku2015) April 7, 2017
ルワンさん(@L0_1N)の楽曲とWabokuのアニメーションが融合しました🎊
どうぞお楽しみください~!!
初音ミクdark 『ハイタ』 (3:51) #sm30982346 https://t.co/lEev15So8W pic.twitter.com/5S6a6Uq9Is
「ハイタ」の退廃的でいて繊細な世界観とマッチした、エモーショナルなアニメーションが印象的です。見ていただければわかる通りですがイントロからとにかく鮮烈。リズミカルな音に合わせて絵がどんどん動いていきます。ただただ“よく動く”だけではない精緻な演出から、綿密に構成を練られていること、音と丁寧に向き合われたことが伝わってくるかのようです。一見素朴な雰囲気の女の子の表情や動きはもちろん、独特の線で描かれた背景にも注目です。
本作のニコニコ動画殿堂入りを記念して「ハイタ」のセルフカバーも公開されています。
そして、この作品でWabokuさんを知ったというEveさんも、Souさんとのコラボレーションでカバーしています。
お気に召すまま – Eve(2017年)
前述でも触れましたが、「ハイタ」でWabokuさんを知ったというEveさんは、すぐにWabokuさんにラブコール。その後、念願叶ってWabokuさんがEveさんの新曲MVを手がけることに。
「お気に召すまま」は、Eveさんの1stアルバム「文化」に収録された、爽快に駆け抜けていく曲で、ハンズクラップのリズミカルな音が印象的。MVには少年やグローブのようなものをかぶった“袋マン”などユニークなキャラクターが登場しますが、なんと「ハイタ」の少女の姿も……? ファンタジックでありながら実写のような描写も目立つ本作。個人的にはライブシーンの雰囲気が好きです。
ちなみに、このMVの解釈は「ノータッチでいきたい」とWabokuさん。人それぞれの解釈を正解にしたいと語っています。
結構お気に召すままの解釈を求める声が多いのですが、基本的にノータッチでいきたいと考えています。
— Waboku (@waboku2015) December 8, 2017
よくある回答になっちゃいますけど、人それぞれの解釈を正解としていただきたいです。#質問箱 #Peing https://t.co/a6gWUDT8O1
また、ニコニコ動画では初音ミクバージョンのMVも公開。
2つのMVで映像が異なるシーンが何か所かあるため、注視してみましょう……!
その後、Eveさんの「トーキョーゲットー」(2018年)、「バウムクーヘンエンド」(2019年)も手掛けられています。「トーキョーゲットー」は東京のような異国のような、近未来のような、とても不思議なゲットーが舞台。これまでとはまた違った世界観を楽しむことができます。
「秒針を噛む」ずっと真夜中でいいのに。
ボーカル・ACAねさんを中心とした音楽ユニット・ずっと真夜中でいいのに。のデビュー曲「秒針を噛む」で、Wabokuさんが映像を担当しています。
孤独を身にまとう女の子に、全体的に漂う退廃的なムード。アップテンポでキャッチーなサウンドとは相反して影のある雰囲気のアニメーションがこの物語を引き立てます。個人的に好きなのは女の子の絶妙な表情と瞳。冒頭から目が離せなくなります。また、WabokuさんのMVの特徴ともいえるリップシンクも印象的です。
ずっと真夜中でいいのに。はすべての楽曲のMVがアニメ―ション。Wabokuさんは「秒針を噛む」以外にも「脳裏上のクラッカー」、「ハゼ馳せる果てるまで」、「MILABO」を手掛けられています。
新たな仲間と共に新しい表現に挑戦
ひとつひとつの音楽と丁寧に向きあい、アニメーションとして紡ぎだしてきたWabokuさん。MVのみならず『でっけぇ風呂場で待ってます』のOP映像も手掛けられています。
そしてこの春、Wabokuさんが『ソードアート・オンライン』『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』などで知られるアニメ制作スタジオ「A-1 Pictures」が初タッグを組む、アニメーションMV制作プロジェクト「BATEN KAITOS(バテンカイトス)」がスタートしました!
アーティスト・Eveさんの協力を得て、新たな物語の創出を目指していくとのこと。それ以外の情報などは現段階ではまだ謎に包まれていますが、アニメイトタイムズではその動向を追っていきたいと思います。ぜひ楽しみにしててくださいね!
[文・逆井マリ]
BATEN KAITOS 公式サイト
BATEN KAITOS 公式ツイッター(@Baten_Kaitos_MV)
Waboku 公式ツイッター(@waboku2015)