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- 逆井マリ
- 神奈川県横浜市出身。音楽フリーペーパー編集部を経て、フリーのライターとしてインタビュー等の執筆を手掛ける。
──『プリキュア』の映画は小さなお子さんがたくさん見に来られます。お子さんに見てもらいたい場面はありますか?
小林:好きな場面が多いので迷ってしまうんですが……私がいちばん好きなシーンは、最後の最後にあるカグヤちゃんのセリフです。「言い回しを変えようか」と、実はセリフを一緒に考えさせていただいたんです。それがすごく印象的だったので、最後まで注目して観ていただきたいです。
あとは、私は世代的に『5GoGo!』がすごく好きなので、『ヒープリ』と『5GoGo!』が一緒に闘ってる!っていうあの瞬間が胸アツすぎて(笑)。今の年代の子だと、当時生まれていなくて『5GoGo!』を観られていない方もいると思うんですけれど、一緒に闘っている姿を見て、さまざまな世代の『プリキュア』に興味を持っていただきたいなと思います。
悠木:ゆめアールが使われて、くじらさんが出てきて、お魚が泳いで、お洋服が変わって、カグヤちゃんがライブをして……という冒頭のシーンに、劇場体験の楽しい部分がすごく詰まっていると思います。
キラキラしたステキなものばかりが詰め込まれていて、お子さんは喜んでくれるんじゃないかなと。後半は、そのキラキラしたステキなものを“守らなきゃいけない”というストーリーになっていくので、その物語も含めて楽しんでいただきたいです。
──カグヤにとっては母がヒーローのような存在です。子どもたちにとってのプリキュアもヒーローのような存在ですが、悠木さんと小林さんにとってヒーローのような存在はいますか?
悠木:両親は身近なヒーローだなと思います。子どものころに、学校に行きたくなくなってしまったときがあって。それをお母さんに話したら「じゃあ学校は行かなくて良いから、お母さんとテレビ見よう」と言ってくれて、そのときに「お母さんすごい」って。
今思い返しても、あの母の決断はありがたかったなと。娘を守ろうという気持ちからひとつひとつの決断をしてくれているってまぎれもないヒーローだと思います。
映画でも、お母さんたちは変身はしないけれど、自分の娘のために闘っていく場面があります。特にカグヤちゃんのママにグッとくる場面もあり「そうなんだよなぁ、愛なんだよなぁ」って。
小林:小さいときからお仕事してきたので、学校の友だち以外に親戚やおばあちゃんが一緒に遊んでくれて、お母さん、事務所の方が支えてくれました。
自分が声優さんとして『プリキュア』の世界に出させていただけるのも、周りの人が「やりたいことを好きなようにやってみたら良い」って言ってくれたからだと思うんです。それがなかったら、こんなに素晴らしいことできていなかったと思うので、私にとって身近な方たちがヒーローです。
もうひとつ言うのであればファンの方です。SNSに「今日あんまり良くないことがあって」「今週ショックなことがあって」とか、ふと書き込んだときに「2月は祝日も多いし、日数少ないしがんばろ!」といった返事をくれたり、新しい仕事が決まったときもすごく喜んでくれたり。
私がお仕事していることが周りに喜びを与えられてるというのは、ファンの方たちがいてこそなので、私にとってファンの方たちはヒーローです。
──ヒーローでもあり家族でもあるという感じですね。
小林:本当に! ファンの方たちおらずして私はいないので、いつも助けられています。
──今作を経ておふたりが得たものや、学んだことも大きかったと思いますが、そのあたりはいかがですか?
悠木:『ヒープリ』的には集大成とも言える気持ちでやらせていただいて。本編最終話より先に録ってはいたんですが、皆さんに観ていただくタイミングは最終話のあとなので、1年勉強させてもらったことを詰め込んで作ろうという気持ちでした。
いろいろな役を体験させていただく中で、役者としては観ているかたの理想に寄り添いたくなるところがあるのですが、「のどかがどうしたかったのか」、「のどかがどんな子に憧れていたのか」など、のどかに寄り添って考えられる有余を作品の中で与えていただき、最後まで来られたことがありがたかったです。
そこは忘れかけていたところだなぁって。役に向き合うことがどういうことなのか、改めて考えさせられた作品でした。
あと、こうした激動の世の中だったので、いろいろなことがある中でやってきたシリーズだったんですよね。改めてエンターテインメントは誰に届いて、なぜあるのか……といったものを考えさえられたような気持ちでした。だからこそ、特に『プリキュア』のように希望を詰め込んだ作品は必要だとも思いましたね。
小林:私はまだまだ知らないことだらけで。『プリキュア』から希望を受け取っていた側の自分が『プリキュア』に出演して、皆さんがプリキュアとして闘っている姿を間近で感じさせていただいて。
皆さんの声を聞いていると、目をつぶっていても、その子がどう闘っているのか伝わってくるんです。その子らしさや、その子なりの強さ、信念が浮かんできて……。
それが伝わってくることに凄さを感じて、自分は追いついていないところが、まだまだまだまだ、たくさんあるんだなって改めて感じました。自分が見ていたころの「カッコいい」とはまた違う憧れをプリキュアに抱きました。
悠木:いやいや、カグヤちゃんはカグヤちゃんとしてそれをすごく感じさせたと思う。劇場版って短い時間のなかで、「この子がどんな子で、どんなことに悩んで、それを解決する」ってひとつのお話に詰め込まなきゃいけないから、キャラクターデザインはすごく難しいと思うんです。でもカグヤちゃんはとても立体的で、すごくステキでした。
小林:そう言っていただけると本当に嬉しいです!
──悠木さんから小林さんに、受け伝えたいことはありますか?
悠木:もしプリキュアになったら、そのキャラの色の服をいっぱい買っておくと良い!
小林:(笑)。
悠木:取材を受けさせていただく機会がたくさんあるので、「〇〇のプリキュアです!」ってなった時点から、春・夏・秋・冬をそろえておかないと「あ! それ今ないです!」ってなるので。……っていうことですかね(笑)。
お芝居のことは私から言えるようなことは全然なくて。信念のようなものは観てきている方のほうが伝わってると思います。
小林:ありがとうございます!
【インタビュー・文/逆井マリ 撮影/鳥谷部宏平】
神奈川県横浜市出身。既婚、一児の母。音楽フリーペーパー編集部を経て、フリーのライターとしてインタビュー等の執筆を手掛ける。パンクからアニソン、2.5次元舞台、ゲーム、グルメ、教育まで、ジャンル問わず、自分の“好き”を必死に追いかけ中。はじめてのめり込んだアニメは『楽しいムーミン一家』。インタビューでリアルな心情や生き方を聞くことが好き。
逆井マリ
2021年3月20日(土)全国ロードショー
キュアグレース/花寺のどか:悠木碧
キュアフォンテーヌ/沢泉ちゆ:依田菜津
キュアスパークル/平光ひなた:河野ひより
キュアアース/風鈴アスミ:三森すずこ
ラビリン:加隈亜衣
ペギタン:武田華
ニャトラン:金田アキ
ラテ:白石晴香
キュアドリーム/夢原のぞみ:三瓶由布子
キュアルージュ/夏木りん:竹内順子
キュアレモネード/春日野うらら:伊瀬茉莉也
キュアミント/秋元こまち:永野愛
キュアアクア/水無月かれん:前田愛
ミルキィローズ/美々野くるみ:仙台エリ
ココ:草尾毅
ナッツ:入野自由
ゲスト声優 藤田ニコル役:藤田ニコル
原作:東堂いづみ
監督:中村亮太
脚本:金月龍之介
音楽:寺田志保
キャラクターデザイン・総作画監督:爲我井克美
美術デザイン:増田竜太郎
美術監督:小川友佳子 渡辺佳人
CGディレクター:大曽根悠介
色彩設計:佐久間ヨシ子
撮影監督:髙橋賢司
製作担当:澤守洸
キュアサマー/夏海まなつ:ファイルーズあい
キュアコーラル/涼村さんご:花守ゆみり
キュアパパイア/一之瀬みのり:石川由依
キュアフラミンゴ/滝沢あすか:瀬戸麻沙美
ローラ:日高里菜
原作:東堂いづみ
監督:大塚隆史
脚本:金月龍之介
音楽:寺田志保
キャラクターデザイン:中谷友紀子 稲上晃
作画監督:稲上晃
美術監督:小川 友佳子 渡辺 佳人
色彩設計:佐久間ヨシ子
撮影監督:五十嵐 慎一
製作担当:澤守洸
映画公式サイト
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