春アニメ『86―エイティシックス―』シン役 千葉翔也×レーナ役 長谷川育美 対談|刺さるシーンや胸に残るものが多いアニメ、レーナやスピアヘッド戦隊の日常シーンにも注目!
口数は少ないけど、時折見せる笑顔などが魅力的なシンと、名家出身のお嬢様で芯が強いレーナ
――ご自身が演じるキャラクターの印象やご自身との相違点、共感できる点などお聞かせください。まずシンについてお願いします。
千葉:シンは少年ですが、もはや少年しか生き残っていない戦場では古参兵の精鋭として部隊を率いています。彼が今まで生きてきた道のりや境遇から無口になっていったので、キャラクター的なクールさではない部分で作っていかないといけないと思ったので、ひと言ひと言のセリフに「どういう意味で言っているのだろう?」とか「この時は何を考えているのだろう?」と考えながら演じています。
基本的には優しくて、部隊のみんなから信頼されているし、普通に笑うし、皮肉も言うんですよね。口数が少なく、表情の変化もあまり見られないシンが「他の表情をする時ってどんな時だろう?」と興味が湧くし、その時がまた魅力的に見えると思います。僕はよくしゃべるほうなので、シンとはまったく違います。クールとも思われないし。せめて優しいと思われていたいです(笑)。
――次はレーナの印象を。
長谷川:レーナは芯が通っていて、戦場で戦うエイティシックスの人たちに会ったことがないのに心配したり、周りがエイティシックスを人間扱いしていないことにも反論するし、強さを持つカッコいい女の子だなと思います。名家出身のお嬢様ということで品もあって、笑ったり、うろたえることがあっても品は失わないようにと思って演じています。私も一度思ったら考えを曲げない頑固さがあるかも(笑)
千葉:はせちゃんは割とさっぱりしているよね?
長谷川:そうだね。昔、バイトをしていた時も店長に納得できなかったらめちゃめちゃ反論していたし。「絶対嫌です!」って。
千葉:力強いね。でも自分の信念を曲げないことは大切なことだと思うよ。
長谷川:弱い時は弱いんですけど(笑)。
シンは「静かだけど通る声」の設定に悩み、仲間以外への丁寧な対応の口調も意識
――シンを演じる時に意識されたことを教えてください。
千葉:静かだけど通る声という設定があったので、そこは悩みました。「単純にボリュームは出ていても表情的には伝わっているのかな」とか。基本的には淡々としゃべって、仲間以外にも丁寧に話すけど、興味がないからこそ優しくしゃべるという一貫性は、普通の人にはない感じ方だったので、考えさせられました。例えば、指揮官と話す時は言葉の端々にうらみなど感情が出てしまってもおかしくないけど、一切排除して淡々としているように見えるように演じています。
逆に信頼している仲間には気を遣う必要がないから、積極的にしゃべらない部分もあるので、戦闘外で仲間の話を黙って聞いている時も内面では楽しいと思っているんだろうなと。
そのあたりはアニメの絵が演じてくれているので、他のキャラクターを演じる時は息でアドリブを入れるんですけど、シンは冷静なので演じているうちに段々とそぎ落とされていって、アニメの絵と協力して作っている感覚です。
「レーナだけずっと変わらない」のディレクションが!? 真っすぐに演じることでエイティシックスとのコントラストも
――レーナを演じる時に心がけていることは?
長谷川:1話の収録前に監督から「レーナだけはずっと変わらないので」と言われて、たぶん、ハンドラー(指揮管制官)としての成長はあると思うんですけど、彼女の行動の軸になる部分は変わらない、ブレないということだと思ったので、誰よりも真っすぐさを出せるように意識しています。
またシンがいるスピアヘッド戦隊のみんなとレーナは同年代なので普通なら似たような考え方をすることもあるかもしれないけど、お互いの環境がまったく違うので、考え方や感じ方は同じにはならないと思うんです。レーナの真っすぐさは良い点ではあるけど、エイティシックスのみんなにとっては反感を感じる点でもあるので、真っすぐに演じることで、お互いの対照的な差が出せるかなと思っています。