『セスタス』技来静也先生×『ベルセルク』三浦建太郎先生 同級生対談|ロングラン作品を描く二人、両作品の気になるラストのイメージとは
技来静也先生原作の人気マンガ『拳闘暗黒伝/拳奴死闘伝セスタス』(白泉社)がアニメ化! 『セスタス -The Roman Fighter-』として4月14日よりフジテレビ「+Ultra」ほかで放送開始!
『拳闘暗黒伝/拳奴死闘伝セスタス』は古代ローマを舞台に、主人公の少年奴隷、セスタスが拳1つで自由を勝ち取るために奮闘・成長していく大河ストーリーマンガで、1997年の連載開始から今もなお続く人気作品。技来先生いわく、「映像不可能と思っていた」ほどの大作で、バトルシーンには元プロボクサーの亀海喜寛さんを監修に迎えるなど、リアルさと濃密な人間ドラマは見どころです。
『拳闘暗黒伝/拳奴死闘伝セスタス』のアニメ化を祝して、原作の技来先生と同級生で、『ベルセルク』などで知られる三浦建太郎先生の夢の対談が実現! 『セスタス』誕生秘話やお二人の『セスタス』愛を存分に語っていただきました!
高校・大学と一緒で三浦先生のデビュー時に技来先生がアシスタントに。そして同じ白泉社からデビュー!
――お2人は高校時代の同級生とのことですが、当時からどんな関係で、お互いにどう思われていましたか?
三浦建太郎さん(以下、三浦):高校時代はクラスメイトではあったけど、それほど交流があったわけではなくて。より密接な付き合いになったのは大学に入って、僕が賞をもらってマンガ家になってからですね。高校時代の彼は優等生で、先生方もそういう認識だったと思います。本人は自覚してないかもしれないけど(笑)。
技来静也さん(以下、技来):当時から美術全般でセンスがある人だなと感じていました。ご両親がお二人共、美術大学出身でしたし、マンガを描いても優秀だなと思っていました。
三浦:仲良くなったきっかけは大学の学園祭で一緒にお化け屋敷で参加した頃かな。そしてマンガのお手伝いをお願いした時から関係が深くなりましたね。
――大学時代は好きなマンガの話などされたのでしょうか?
技来:マンガの話をするようになったのはアシスタントをするようになってからですね。
三浦:僕自身はビジュアル科だったので、絵を描く機会はたくさんあったけど、彼は工業デザイン科だったので、マンガから遠いことをしていたよね?
技来:そうだね。
三浦:ずっとデザインの勉強をしてきて、最後の最後でなぜかマンガにシフトチェンジしたという(笑)。
技来:マンガ家になろうと思って身近にいた彼に色々教わろうとしたタイミングで、アシスタントを頼まれたんです。
三浦:僕のほうが「アシスタントお願い!」と泣きついた感じで。まったくつてがない状態で連載が始まることになって、2人3脚でやることに。かなり地獄を見ましたけど(笑)。
――同じ高校、大学で、デビューした作品の出版社まで同じというのは珍しいですよね。
技来:そう思います(笑)。
三浦:不思議なもので、僕らだけではなく、近くにも有名マンガ家になられた方がたくさんいて。自分たちは参加していなかったけど、漫研からマンガ家になられた方もいたし、OBには青山剛昌さんという有名な方もいらっしゃって。マンガ家密度が高い環境でした。
お互いが感じるマンガ家としての印象とは?
――お互い、どんなマンガ家だと思われたのか、また作品性について感じたこと、ご自身にはない点などお聞かせください。まずは三浦先生から見た技来先生とは?
三浦:マンガって、その人の人格や人間性がにじみ出ると思うんですけど、とにかくマジメですよね。マンガ家は自分の好きなものや気にしていること、コンプレックスの裏返しからお話の中心になるキャラクターを作っていくものだと思いますが、彼は違って、きちんと作ろうとしていて。
新人でいきなり最初の連載が『セスタス』という大河ドラマで。セスタスを中心に描いていたけど、周りのドラマもしっかり作るし、絵もしっかり描いて。一般的な作品では主人公と同じ年齢くらいのキャラクターを揃えて、上下のキャラクターはあまり出てこないものですが、師弟関係や親子関係、恋人、家族の悩みなど、何でも入っている上にバランスよく描くことを最初の連載からやれているのはすごいですよね。まじめに完成度が高いものをきちんと描くところは彼らしいなと思います。
技来:その言葉をそっくりお返しします(笑)。『ベルセルク』を見た時、「これを本当に連載でやるのか?」と思いました。個人の力でどれだけのことができるのかを先に見せてくれたので、自分もやれるだけのことはやってみようと思ってやっているだけで。
――一番身近にいるマンガ家がすごいスケール感と描写力に優れた三浦先生というのは、かなりハードルが高く感じられたのでは?
技来:「ここまでやらなければダメなのか!」というのは確かにあったかもしれません。
三浦:最初に触れたマンガの現場の常識が決め手になると思うけど、僕自身はどこかのスタジオにがっつり入ったわけではなくて、僕らは連載に放り出されて2人でアワアワ言いながらやっていた感じで。