『セスタス』技来静也先生×『ベルセルク』三浦建太郎先生 同級生対談|ロングラン作品を描く二人、両作品の気になるラストのイメージとは
技来先生が感じる『ベルセルク』の魅力とは? そして『セスタス』誕生は三浦先生が背中を押して!?
――では技来先生から見た『ベルセルク』のおもしろさや魅力をお聞かせください。
技来:スケールですね。1人で『ロード・オブ・ザ・リング』をやっているようなものですから(笑)。すごいところが多過ぎて何から語ればいいのか。キャラクターもドラマも素晴らしいし、絵の密度もすごいんですよね。
三浦:その言葉をそっくりお返ししよう。
――どのように着想、誕生したのでしょうか?
三浦:『セスタス』を描く前に、技来君が「ローマ拳闘士もので、近代ボクシングを入れてみたらどうかな?」と言っていた記憶があるけど。
技来:あの時は最初の連載が打ち切りになって迷走してたんだよ(笑)。元々、格闘ものをやりたいという気持ちはあったけど、SFネタに振ってみたり、いろいろ読み切りを描いてみたけど、煮詰まってしまって。
そんな時、君が「歴史ものを描いてみたら?」と助言をくれたんだよね。その選択肢もなかったわけではないけど、やるとなると歴史を勉強し直さないといけないし、大変なことは目に見えて、腰が引けていたけど、助言をもらって、尻込みしている場合じゃないと思って、腹をくくって始めました。彼には背中を押してもらいました。
三浦:新しいマンガを描く時って、だいたいそんな感じだよね。本人の中にあるものを聞いて、「いいじゃない」って言うと始めて。本人の中でも確信があったんじゃない? 無意識のうちでも。
映像化はないと思っていた『セスタス』のアニメ化はビックリ!
――技来先生の元に今回のアニメ化のお話が届いた時の感想をお聞かせください。
技来:もちろんビックリしました。映像化はないなと思っていたので。
三浦:僕もその話を聞いた時、「わ~お」と驚きました。アニメ化が発表された時、ネットで熱心なファンが喜んでたよ。
技来:そうなの?
三浦:「『セスタス』をみんなに知ってほしい」という熱い想いが伝わってきて。
――アニメの絵や脚本等をご覧になった感想はいかがでしたか?
技来:(川瀬敏文)総監督ご自身が脚本を書かれているそうですが、10巻近い内容を1クールでまとめるわけですから大変な作業だっただろうなと。
動くセスタスの姿に感激。三浦先生もキャラクターの造形や再現性を評価
――アニメのPVの映像をご覧になった感想をお聞かせください。
技来:自分のキャラクターが動いているのを見ただけで感激しました。そこに声も入るわけで。あと拳闘シーンで気になったところはいくつか修正をお願いしました。
三浦:僕も拝見しましたが、キャラクターの造形がよくできていました。「あっ、技来君の絵だ!」と思ったし、うまく立体的に再現できていて。まだ制作途中とのことだったので、技来君のこだわりにどこまで追いついていくのか。
結局、アニメーターさんやアクション演出さんの頭の中で、例えばセスタスの拳のスピードなど、どれだけ技来君の持つイメージに近づけられるかにかかっていると思うんです。モーションキャプチャーで動かす時もカット割りなど絵を作る人が決めることだし。
――セスタスを演じる峯田大夢さんはアニメ初主演とのことですが、声やお芝居を聞いた印象は?
技来:リモートで、セスタスをはじめ、メインキャストさんたちの音声を聞かせていただきましたが、これなら心配ないなと思いました。
三浦:一生に何度もあることではないから、もしコロナ禍じゃなかったら収録現場に顔を出したかったよね。
技来:うん。本当にもってないなと(笑)。
三浦:俺だって、今年1月に開催される予定だった連載30周年記念の『大ベルセルク展』が延期になっちゃったし。
技来:よりによって、このタイミングでバッティングするなんてね。