謎のストップモーション長編アニメ『JUNKHEAD』とは? アニメファンも満足の娯楽作? パペットアニメが今熱い!
『PSYCHO-PASS』、『AKIRA』のような本格SFな世界観!
まず特筆するべきはその世界観にあります。名だたる名作SFアニメ作品や、ハリウッドなどの実写映画にも引けを取らないほど魅力的な設定で、「映像化は不可能ではないか」とまで言われた事が理解できます。
人類の敵であり、希望でもある人工生命体「マリガン」のキャラクターが非常に味があって秀逸です。丸っこくてかわいらし見た目をしているモノもいれば、異形のモンスターも存在しており、彼らにも種族が存在するようです。
独特の食文化や言語を扱っていたり、人間界での”あるある”が彼らにも存在していたりと、地下で得体のしれない人工物が生活を営んでいることをリアルに実感できます。
そして地上では謎のウイルスが原因で、人間による徹底した「管理社会」が構築されており、主人公が講師として働いているダンス教室もすべてVRのようなシステムで行われています。
どことなく『風の谷のナウシカ』を想起させる、地上と地下の構造、『PSYCHO-PASS』のようなディストピア感、『AKIRA』のような秘密裏に行われている人類の禁忌的実験などなど、てんこ盛りの世界観。それを「ストップモーション」で表現する勇敢さも魅力です。
その「ストップモーションアニメ」ならではのパペット達と世界観の相乗効果が凄い。ハードな世界観を何故かコミカルに、そして更に不気味さが増した映像が繰り広げられていきます。のほほんとした映像に狂気がみちみちているあの矛盾した雰囲気も『JUNKHEAD』の大きな魅力です!
『鬼滅』並?少年漫画のようなド派手アクション
続いての魅力は「アクション」です。『モルカー』でもハリウッド映画をオマージュしたアクション満載のエピソードがありましたね! コマ撮り映像であそこまでの動きを撮影できることに衝撃を受けましたが、『JUNKHEAD』のアクションもまた凄まじい。
映画冒頭の、重火器を使ったマリガンの殲滅シーンの爆発、暴れるマリガンの不気味な動きであったり謎の惑星探査機が宇宙ではなく奈落のそこに直滑降していくスピード感など、劇場で鑑賞しているさなか「一体どのように撮影したのか?」と気になってしまうほどでした。
実際に劇場で味わってほしいので、ネタバレを避けますが、一番の山場である”あの”アクションシーンがまたすごい。『NARUTO』や『グレンラガン』のような、少年漫画のお約束とも言える熱い展開から、ド派手なアクションシーンが繰り広げられていきます。
「走る」、「飛ぶ」、「殴る」、「蹴る」。一つ一つの動きが丁寧に、かつスムーズに表現されていて、ここでもパペットならではの表現方法が光ります。物体を少しづつ動かして取る「コマ撮り」では、今トレンドであるスピード感のある激しい映像表現をすることが困難ですが、その成約を逆手に取って「スローモーション」などを随所で活用し、スピード感を演出。決して見劣りする事はありません。
そして、そんなアクションシーンを見ている内に、最初は「ストップモーションアニメにしては動く!」「ストップモーションアニメなのに派手だ!」という印象から、「この作品凄い!」「この作品動く!」という印象に変わっていきました。
つまり、私はストップモーションアニメをいつの間にかいつも見ているアニメよりも下の存在として認識してしまっていたのです。その恥ずかしさを感じさせ、なおかつ私の意識を凌駕してくれるほど、この作品が他のアニメや実写映画でも通用する作品だと言うことを証明してくれたのです。
自分が心のなかで『JUNKHEAD』を見くびっていたのを痛感し情けなくなりました。本当に熱く、ドキドキ・ワクワクするようなアクションシーンの数々。みなさんも『JUNKHEAD』の虜になること間違いなしです。