ツンデレヒロイン大流行の立役者! 可愛いキャラクターだけでなく少年ボイスもおすすめな釘宮理恵さんの魅力【推し声優語らせてください・連載第4回】
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール(『ゼロの使い魔』)
釘宮さんが演じた数々のツンデレヒロインの中でも、個人的にやはり絶対に外せないのが『ゼロの使い魔』のルイズ。あらゆるアニメ・ゲームの中で、代表的なツンデレキャラクターを1人選ぶとなれば、ルイズを挙げる人はかなり多いのではないでしょうか。
『ゼロの使い魔』は、『グリーングリーン』など名作アドベンチャーゲームのシナリオライターとしても知られるヤマグチノボル先生によるライトノベルを原作としたシリーズで、4度にも渡るTVアニメ化がされている人気作品です。
釘宮さんが演じるルイズは、その作品の押しも押されぬメインヒロインポジションのキャラクター。ルイズは地球とは異なる異世界「ハルキゲニア」にあるトリステイン魔法学校に通う魔法使い見習いなのですが、ほとんどまともに魔法を使うことができず、周囲の生徒からは「ゼロのルイズ」として軽んじられていました。そんなルイズが、使い魔を召喚する儀式にて、ごく普通の地球の高校生だった平賀才人を召喚することで、物語は幕を開けることになります。
そんなルイズというキャラクターで印象的なのが、「ツンに隠されたデレ」。ルイズといえば、主人公である才人を犬扱いし、乗馬用の鞭でぶったりと、ツン要素が激しいキャラクターであるため、いわゆる理不尽暴力系のキャラクターとして勘違いされがちなのですが、実はルイズが激しい怒りを見せるシーンはほぼ才人側の行動に原因があり、ルイズ自身は本当は優しいキャラクターであることが物語の当初から一切ブレていないのです。
ルイズにとっての才人は、強力な使い魔を呼び出したはずが、戦闘能力のなさそうな人間が召喚されてしまい、周囲からはますます馬鹿にされることになる原因なのですから、第一印象は最悪そのもののはず。にも関わらず、ギーシュを怒らせた才人が決闘を申し込まれた際には、その身を案じて本気で止めようとしており、決闘後に才人が倒れた際には、非常に高価な秘薬を取り寄せて付きっきりの看病を行っています。この時の二人の関係は、出会って間もなく、親密とは程遠い状態ではないにも関わらずです。
またルイズの人気には、釘宮さんの熱演が大きく影響しているのも言うまでもありません。大本は才人に原因があるとはいえ、怒った時のルイズの行動はなかなか壮絶なので、一歩間違えれば視聴者をドン引きさせかねないのですが、釘宮さんが表現するルイズは、怒った姿にも愛らしさがあります。ツンデレの魅力を語る際、「ツンツンしている時からデレデレになった時のギャップ」があげられるのですが、ルイズに関していえば、すでにツンツンしている状態でかわいく、そこからデレることでさらにかわいくなる、いわば「かわいさ×2」のキャラクターと言えます。その結果、ルイズのかわいさとルイズが現実にいないことへの葛藤を描いた「ルイズコピペ」と呼ばれる伝説の名文(?)も生まれたほどでした。
才人を演じた日野聡さんと共にパーソナリティを務めたWEBラジオ『ゼロの使い魔 on the radio 〜トリステイン魔法学院へようこそ〜』も高い人気を博し、TVシリーズ全4期のすべてで釘宮さんがエンディングテーマを担当するなど(ルイズの心境を歌った、甘々なエンディング曲の数々は必聴)、『ゼロの使い魔』における釘宮さんの貢献度は凄まじく、ファンなら絶対に押さえておくべき作品と言えるでしょう。
また最初にも触れた通り、多数のツンデレヒロインを演じる釘宮さんは、「ツンデレの女王」と呼ばれることもあるほど。ラジオやライブから伺い知ることのできる釘宮さん自身のイメージは、ちょっと天然でおっとりとした、温厚で優しげな雰囲気の漂う女性で、そんな優しさに溢れた釘宮さんだからこそ、「ツン」の中に隠された「デレ」をナチュラルに表現し、「ツンデレ」というジャンルの魅力をさらに引き出してくれたのではないかと考えています。
神楽(『銀魂』)
第4期に渡るTVアニメ化、3度の劇場アニメ化が行なわれた超人気シリーズ『銀魂』に登場する神楽(かぐら)も、釘宮さんを代表する役の一つなのは間違いないでしょう。
『銀魂』は、週刊少年ジャンプで連載されていた空知英秋先生の漫画を原作としたアニメシリーズで、天人(あまんと)と呼ばれる宇宙人の侵略を受けた、我々がよく知るものとは大きく異なる江戸を舞台とした作品。神楽は銀魂の世界において、宇宙最強とされながらも絶滅寸前となっている戦闘種族・夜兎族(やとぞく)の生き残りの少女です。チャイナドレス風の衣装に身を包んでおり、語尾に「アル」をつける一昔前の中国キャラクターのような口調で喋るのが特徴でもあります。
神楽は銀魂の主人公である、坂田銀時が立ち上げた何でも屋「万事屋銀ちゃん」の一員であり、いわゆるメインヒロイン的なポジションに近い位置づけのキャラクターではあるのですが、とにかく口が悪く、辛辣で遠慮のない物言いをする上、鼻クソをほじる、食い意地が激しいなど到底ヒロインとは思えない行動を取ることもしばしばで、少年ジャンプのヒロインとして初めて嘔吐をしたことから「ゲロイン」と呼ばれることもあるほど。作中でも何度もネタにされており、釘宮さんの真に迫った嘔吐演技をこれでもかと堪能できるのは、間違いなく『銀魂』くらいと言えるでしょう。
ただ、そんな神楽だからこそ、ふとした瞬間に見せる可愛らしさの破壊力は抜群。個人的にお気に入りなのが、アニメ189話のラジオ体操にまつわるエピソードで、病弱な少年・本郷尚と友達になり、「ラジオ体操に最後まで参加する」というささやかな目標のために頑張り続ける神楽が描かれます。尚は雨の日も無理に参加しようとしたことで体調を崩してしまい、体操に参加できなくなってしまうのですが、神楽はいつか戻ってくることを信じて一年中ラジオ体操を続け、その様子を見守る銀時が監督役としてハンコを押し続けるという、万屋メンバーの絆の深さも感じさせる、銀魂屈指の心温まる話として印象深いです。
他にも、同じ年頃の女の子たちと同じように、かわいい柄の傘を欲しがったり、バレンタインで銀時たちにチョコレートを渡すのを恥ずかしがったりと、神楽が14歳という年相応の子供らしさ、可愛らしさを見せる回は、どれも完成度が高いエピソードになっています。
万屋のメンバー以外との関係性も見どころで、とくに犬猿の仲でライバル的な存在である真選組の沖田総悟や、兄である神威(かむい)とのエピソードや対決は印象的。神威役は、『ゼロの使い魔』の才人、『灼眼のシャナ』で坂井悠二として共演した日野聡さんが担当しており、キャストが発表された時にも大きな話題を呼んでいました。
また劇場版第2作『劇場版 銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ』では5年後の神楽が登場しているのですが、この時の神楽は抜群のスタイルに加えて、クールな性格になっており、従来の色気が皆無の“ゲロイン”なイメージからは完全に一変した姿に。いわゆるツンデレな性格にもなっており、「声優さん使いこなしてる!」という、銀時が釘宮さんを意識したツッコミを入れるという場面も存在していました。