東山奈央さんの初のコンセプトミニアルバム『off』発売記念インタビュー|「休みと癒し」をテーマにした全6曲を収録! あなたの休日がゆったりと充実したものになるように願いをこめて!
本格的なR&Bの「Rhythm Loop」は退廃的な脱力ソング。都会のダークな面も!?
――「Rhythm Loop」は、ガラっと変わって、アダルトなR&Bですね。
東山:アニメソングにはなかなかない大人っぽいグルーヴ感のある楽曲だったので、一度聞いただけですごく耳に残って。まるでドラマのED曲のようなおしゃれさもあったので、この曲もひと聞きぼれでした。
テーマは「感傷に浸るoff」ということで、今までの曲はリラックスやリフレッシュする「off」でしたが、この曲はすごく落ち込んで立ち直れない時に寄り添う曲で、ちょっと退廃的な脱力ソングです。
気持ちが沈んでいると、一度とことんみじめになってみたくなるときってあるじゃないですか。そうすれば、あとは這い上がるだけといいますか。また都会の華やかではない面、ちょっとダークな感じも出ているかなと。
誰かに届けるわけでもなく、訴えるわけでもなく、「今の鬱々とした気持ちを吐いてみるね」というテンションで歌ってみました。
――歌詞は「僕の夢から君は飛び出してゆく」や「削除もできなかった 君のプレイリスト」など、終わった恋を引きずっているようで。曲名も好きだった人への気持ちが頭の中でループしている様子が現れていて、ピッタリですね。
東山:仮のタイトルは、歌詞にあった「脳内ドライブ」でしたが「Rhythm Loop」というタイトルのほうが頭の中でグルグルとループしている様子が語感として伝わるので気に入っています。
細かい表現にこだわり。新しい引き出しを作りながらのレコーディング。
――「R」と「L」にも意味があるかなと?
東山:そこは意図していないかも。でも吐息の表現をヘッドフォンの「L」と「R」に分配しているので、ヘッドフォンで聞いていただくとささやきかけられている雰囲気を味わっていただけると思います。
――曲の主人公の年齢感をどのあたりに置くのかが難しそうですね。
東山:自分の等身大でいいかなと思っていて。若くする必要はないし、大人っぽくしてしまうと背伸びした感じになりそうで。歌声を太くしたり、オーバーに表現することもできるかもしれないけど、そういった訴えかけはこの曲にはふさわしくないかなと。
きっとモノローグ的なものだと思うので、意図した表現はしたくないけど、歌としての味わいは残したくて。正解が小さく、まるで小さな的を射るようだったので、すごく集中しました。
「どの温度感が一番この曲にマッチするかな」と何テイクも重ねていく中で、たまたまかすれたり、吐息がちになるミラクルテイクを待つように。初めての音楽ジャンルだったので、今まさに新しい自分の引き出しを作っていってるなと思いながらのレコーディングでした。