劇場版『Fate/Grand Order -神聖円卓領域キャメロット- 後編Paladin; Agateram』島﨑信長さんインタビュー|1部第六章から劇場版[HF]、『月姫』まで、TYPE-MOONの魅力を語り尽くす
TYPE-MOON作品との出会いと、第六章の思い出
ーーTYPE-MOON作品との出会いについて教えてください。
島﨑:『MELTY BLOOD』(メルブラ)ですね。高校生の頃にゲームセンターで『メルブラ』が流行っていて、そこで見かけた七夜志貴が抜群にカッコよくて、自分の琴線にものすごく刺さったんです。それでPC版の『MELTY BLOOD ReACT』を買って、そのストーリーのボリュームに衝撃を受けて。それまでは格闘ゲームのストーリーって、決して長いものではないという認識だったんですが、『メルブラ』のストーリーってもうとんでもない量なんですよ!
僕は『月姫』はプレイしていなかったので、文章の節々から感じ取れるキャラクター同士の関係性を想像したり、“直死の魔眼”といった用語にもときめきまくりました。それでいてストーリー自体もめちゃくちゃ面白くて、メカヒスイとか隠しルートのおふざけ要素もツボにハマって。いろいろな面からTYPE-MOONワールドに引き込まれたきっかけになった作品ですね。
ーー元々格闘ゲームがお好きで、興味を持たれたのでしょうか?
島﨑:格闘ゲームというよりは、元々ゲーム全般が大好きだったので、ゲームセンターでいろいろなゲームを遊んでいたんです。当時まだ稼働したばかりだったアーケード版の『THE IDOLM@STER』とか、『機動戦士ガンダム vs.シリーズ』とか、当時アーケードで流行っていたゲームは一通り遊んでいて、『メルブラ』に興味をもったのもその流れでした。
ーー『メルブラ』といえば、いよいよ新作も発表になりました。
島﨑:もう、楽しみという感情しかないですね! 『月姫』だけではなく『メルブラ』まで新しく楽しめるなんて、本当にTYPE-MOONファンとして幸せなことだと思います。
ーー今年は6周年を迎える『FGO』について、ゲームプレイのいろいろな思い出があると思うのですが、中でもとくに印象深いイベントはありましたか?
島﨑:今までのイベントをすべてひっくるめてですよね。めちゃくちゃ悩ましいところなんですけど……強いてひとつだけ選ぶとするなら、『Fate/EXTRA CCC』とのコラボイベント(「深海電脳楽土 SE.RA.PH」)でしょうか。
あのイベントは本当に『FGO』ならでの夢が詰まっているというか。『FGO』って、TYPE-MOONの別作品で報われなかったり、志半ばで退場してしまったキャラクターの別ストーリーが描かれるのが、すごく素敵だなと思っていて。『CCC』でいうと、メルトリリスとパッションリップが幸せな時間を過ごせたのはすごく良かったなと思いましたし、ストーリーも面白かったですよね。あれだけスケールの大きい物語の締めくくりが、恋する乙女は最強だってことなのが、「これぞ奈須きのこ!」という感覚もあって(笑)、奈須先生の乙女チック成分が爆発しているなと感じました。
イベントのギミックも凝っていて、BBちゃんがいきなりフルボイスで喋りだしたのも面白かったですし、ファンのツボをついてくる小ネタ的なものも多くて。例えばイベントの限定ショップで、「人魚姫の原文」というアイテムを交換するとキアラが弱体化するという仕掛けがあって、あの時点ではイベント内でアンデルセンはそれほど目立っていなかったのですが、二人の関係性を知っていると……もうたまらないですよね(笑)。
そういう細かい遊び心も面白かったし、メルトリリスにまつわるエピソードもすごく完成度が高くて、メルトが最初に恋をしたマスターは別人だったというのも、またニクいんですよ。
ーー今回の劇場版と関係したところでいうと、トリスタンの活躍なども印象深かったです。
島﨑:トリスタンも良かったですね! トリスタンって、初登場した第六章だとギフトの影響で反転していて、役どころも悪役だったので、嫌なイメージがあった人も多いと思うんですけど、あのあたりから段々面白ポロロンの人になっていった印象があります(笑)。
そのあたりも『FGO』の良いところだと思っていて、物語の都合上、出番が少なかったり割を食ってしまったキャラクターには、他のイベントでしっかりと活躍の場を用意する、フォロー体制みたいなのが出来上がっているんですよね。エミヤ[オルタ]とかも、1.5部1章の新宿の時はまだどんなキャラクターか掴みきれていなかったんですが、『CCC』コラボではめっちゃカッコよくて、やっぱり本質はエミヤなんだなと思えましたし。そういったいろんな思い出があるので、『CCC』コラボは本当好きですね。
ーー第六章をゲームでプレイされた時の思い出はありますか?
島﨑:やっぱり、難易度が一気に上がったことですね。粛正騎士とか、敵が皆一気に強くなりましたから。ただ、個人的に難しさでいうならサービスが始まった当初の第一章の頃の方が上だったかなぁ。あの頃は皆育成もほとんど進んでなくて、ワイバーン相手にも苦戦するような状態で、ジャンヌの硬さや小次郎のドラゴンスレイヤーっぷりに盛り上がっていた記憶があります(笑)。
話を第六章に戻すと、円卓の面々がもっていたギフトも印象深くて、攻略の仕方を考えるのも面白かったんです。実際に戦ってみて、「こいつのギフトにはこういう特徴があるんだな」と一度効果を把握してから編成を考え直したり、ゲームとしての攻略要素みたいなのが強くなってきたタイミングも第六章だったのかなと。
ーーガウェインの強さは、今でも語り継がれていますよね。
島﨑:逆に言うと、ガウェインを突破できさえすれば、ギフトを相手にした時の戦い方が分かってくるんだけど……誰もがあそこで「嘘だろ?」ってなるんですよね(笑)。
ーー自分も、あそこは最初負けイベントなのかと思いました(笑)。
島﨑:そうそう。それでガウェインに対して誰が有効かという話でエウリュアレの優秀さが知れ渡ったり、低レアサーヴァントを使った攻略をプレイヤー同士が共有しあうのも面白かったですよね。あれは、まさにプレイヤー同士でリアルタイムにゲームを攻略している感覚がありました。
あの第六章からの第七章、終章にかけてのプレイヤーの盛り上がりは本当に半端なくて、実際に現実でも年末というタイミングだったのもあって、すごくに印象に残ってます。
ーーちなみに、島﨑さんは難しいクエストで一度全滅してしまった際、そのままコンティニューされるか、一度撤退して再挑戦するかどちらのタイプなのでしょうか。
島﨑:僕は一度撤退して再挑戦するタイプで、コンティニューは極力避けようとする傾向がありますね。というのも、サーヴァントや礼装の手持ち的に、クリアできないわけがないですから(笑)。ギミックを把握したあとは、基本的にキャラと礼装の暴力でどうにかすることが多いです。第2部第4章のアルジュナ[オルタ]戦とかも、いきなりの無敵貫通に面食らったり、結構苦戦した記憶があります。