春アニメ『美少年探偵団』原作者・西尾維新さんインタビュー|8話以降は「美観のマユミ」気分で細部まで注目を!
西尾維新先生原作の人気小説シリーズをアニメ化した『美少年探偵団』が現在好評放送中!
『美少年探偵団』は、主人公の瞳島眉美(CV:坂本真綾)が、指輪学園中等部で秘密裏に活動する「美少年探偵団」の5人(双頭院 学[CV:村瀬 歩]、咲口長広[CV:坂 泰斗]、袋井 満[CV:増田俊樹]、足利 飆太[CV:矢野奨吾]、指輪創作[CV:佐藤 元])と共に事件を美しく解決していく青春ミステリー。
現在、8話まで放送されていますが、原作の西尾維新さんへのインタビューを実施! 作品が生まれた経緯や見どころなど語っていただきました!
「忘却探偵」シリーズのライバル予定だった『美少年探偵団』を軸に、団体戦のアプローチで執筆
――『美少年探偵団』はどのように着想、作品化されたのでしょうか?
西尾維新さん(以下、西尾):「講談社タイガ」が新レーベルとして発刊されるタイミングで新シリーズを書こうというとき、それまで「講談社ノベルス」や「講談社BOX」で進めていた<伝説>シリーズや<物語>シリーズとはまた違う方向性を目指したのが「美少年」シリーズでした。
アプローチとしては団体戦ですね。それまでは個人行動やバディ、多くてスリーマンセルが中心になっていたので、それぞれに役割を持つチームを書いてみたかったのです。なので、元々、「忘却探偵」シリーズの掟上今日子さんのライバルとしての腹案だった『美少年探偵団』を主軸にしたシリーズを開始することにしました。
――ストーリーや各キャラクターはどのように構築されたのでしょうか?
西尾:ひとりひとり違う美点を持つ五人組を構想する際には、特にバランスのようなものは考えませんでした。むしろアンバランスになればいいと思って、閃いた順に五つの美点をという感じだったのですが、揃ってみると意外と均整が取れているようで不思議です。
美点を決めてから団員の名前を決めていったのですが、正直、作者もニックネームのほうで覚えてしまっていて、生足くんの本名あたりはかなりうろ覚えですね。キャラクター性が先に決まって、それに合致する姓名を考えるというのは、当時あんまりしていないことだったので、結構面白かったです。
美点と違って、性格についてはバランスを考えました。全員が一斉に喋るようなシーンが多そうなので、こういうことを言うのは誰々だというのがすぐに伝わるほどメリハリがあるのが望ましかったです。
表紙イラストのキナコさんが描いたキャラが動くところが見たかった! シャフト制作で高まる期待感
――アニメ化のお話があった時、どのように思われましたか?
西尾:表紙イラストを描いていただいているキナコさんのキャラクターデザインが素晴らしく、この『美少年探偵団』の面々が動いて喋るところを見たいと思っていましたから、アニメ化のお話は嬉しかったですね。
また、<物語>シリーズや<戯言>シリーズでお世話になったシャフトさんでしたから、期待は高まるばかりでした。当初はアニメ開始のタイミングでのシリーズの完結を目論んでいましたが、うっかり先にシリーズを書き終わってしまったので、このたび放映に合わせて『モルグ街の美少年』という新刊を書き下ろしました。
――アニメ化に際して、西尾先生からアニメの制作サイドに要望されたことやこだわられたことはありますか?
西尾:要望……、眉美さんがあんまり悪く映らないようにしてほしいというお願いは、忘れずにちゃんとしましたかね? ともあれ、美少年シリーズをシャフトさんにアニメ化していただけるという時点で僕の要望は全部通っているようなものなので、それ以上はありませんでした。実際に放映が開始されてみると、シリーズ二期を作ってもらえないものだろうかとか、そんな欲も出てきますが。
――今回のアニメでは先生はどのような形で関わられているのでしょうか?
西尾:原作者と言うよりは執筆当時を知る生き字引としての監修みたいなことをさせてもらっていましたが、ただこの生き字引はかなりいい加減なので、僕もわからないこと、僕では見当もつかないことを訊かれて戸惑うことがしきりです。
生き字引として死んでいるようなものでして、『美少年探偵団』に限らず、たとえばわかりやすいところだと、小説がアニメ化する際にはキャラクターの身長や誕生日を尋ねられることが多いのですが、僕は登場人物の背丈や生年月日をなんとなくでしか把握していないケースが多いから、かなり答に窮します。基本的に本文中に書いていないことは僕も知らないのです。
そんなわけで新刊の巻末には、『美少年探偵団』のメンバーのプロフィールが付属しています。