今夢を追いかけている人、もしくは夢を諦めかけている人たちに向けた応援歌のような映画――『映画大好きポンポさん』平尾隆之監督×松尾亮一郎プロデューサーインタビュー【前編】
アフレコでは、ポンポさんをどう捉えるかが難題でした
――音という面では、キャスト陣の演技も注目です。平尾監督は音響監督も務められていますが、収録で皆さんの演技を聞いていかがでしたか?
平尾:良かったですね。清水尋也さん(ジーン役)も大谷凜香さん(ナタリー役)も最初はもちろん初々しい部分がありましたけど、どんどんアフレコ現場に慣れて進化していく姿はジーンたちに被る部分もありました。
もともと演技自体はできる方たちなので、コツをつかめば良くなるだろうなと思っていて、最後の方には(本職の)声優と変わらないぐらいになってくれたので、ありがたかったです。
周りを固めるキャスト陣も、木島隆一さん(アラン役)や加隈亜衣さん(ミスティア役)は以前一緒に仕事をした方たちですし、大塚明夫さん(マーティン役)の安定感もあって。すごく良いバランスで進んだので、あまり悩むところもなくスムーズにいったと思います。
松尾:清水さんと大谷さんはアフレコ経験がほとんどなかったので、1日練習のための時間を確保しまして。同席していただいたポンポさん役の小原好美さんが相当サポートしてくださってありがたかったです。
平尾:唯一、アフレコでリクエストしたのは、ポンポさんというキャラクターをどう捉えるかです。そこは難題としてありました。ポンポさんは幼い女の子の姿をしているけど、40代のプロデューサーじゃないと出てこないような言動もするじゃないですか。
芝居や声をどうすればいいのかと考えた時に、あまり女の子って感じよりも中性的な感じの声がいいなと思って、(ポンポさん役は)小原さんになったんですね。
芝居づけ自体も(幼い女の子の)定形にしないというか、ナチュラルに大人っぽい部分もあっていいんじゃないかと、最初にそのようにリクエストしたんですよ。でも、声は出せるのにポンポさんも抑えてしまったがゆえに、ジーンくん、ナタリー、ポンポさんの3人とも落ち着いた演技になってしまったんです。
そこで、アフレコのマネージメントをしていただいた納谷僚介さんに小原さんと相談してもらって、もう少しキャラクター感や元気さを出すことになりました。方向転換したらすごくスムーズに動き始めましたね。
――ポンポさんはアクション的な体の動きもキャラクター感がありますからね。
平尾:そうなんですよ。当初予定していた中性的な感じを出しすぎると、絵や動きともズレていってしまい、小原さんはそこも悩まれていたみたいです。いったん捉え直していただいてからは、バランスがすごく良くなりました。
――では最後に、原作の「その映画を一番見てもらいたい誰かのために作ればいいんだ」との言葉にちなんで、みんなに見てもらいたいのはもちろんですが、特にどのような人に見てもらいたいかお聞かせください。
松尾:これから映画を作りたい、モノづくりに取り組んでいきたい人には特に観てもらいたいです。あと、映画好きな人たちにも観てもらいたいですね。映画好きな人がニヤリとする描写がいろいろ仕掛けられていますので。若い方も年配の方も楽しめるものが盛り込まれた作品になったと思います。
平尾:僕自身としては、今夢を追いかけている人、もしくは夢を諦めかけている人たちに向けた応援歌のような映画になって欲しいと思っているんです。そういったものを抱えている人たちが見て、少しでも元気になってくれたら嬉しいなと思います。
[取材・文/千葉研一]
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▼監督&プロデューサーインタビュー【前編】はこちらhttps://t.co/kQlE0BUoUY #ポンポさん #ATCP0601
劇場アニメ『映画大好きポンポさん』作品情報
2021年6月4日(金)EJアニメシアター新宿より全国ロードショー!!
ストーリー
敏腕映画プロデューサー・ポンポさんのもとで製作アシスタントをしているジーン。映画に心を奪われた彼は、観た映画をすべて記憶している映画通だ。映画を撮ることにも憧れていたが、自分には無理だと卑屈になる毎日。だが、ポンポさんに15秒CMの制作を任され、映画づくりに没頭する楽しさを知るのだった。
ある日、ジーンはポンポさんから次に制作する映画『MEISTER』の脚本を渡される。伝説の俳優の復帰作にして、頭がしびれるほど興奮する内容。大ヒットを確信するが……なんと、監督に指名されたのはCMが評価されたジーンだった! ポンポさんの目利きにかなった新人女優をヒロインに迎え、波瀾万丈の撮影が始まろうとしていた。
スタッフ
監督と脚本を務めるのは『劇場版「空の境界」第五章 矛盾螺旋』、『GOD EATER』などを手がけてきた平尾隆之。キャラクターデザインは『ソードアート・オンライン』シリーズ、『WORKING!!』の足立慎吾。アニメーションは『この世界の片隅に』チームが立ち上げた新進気鋭の制作会社CLAPが担当する。
原作:杉谷庄吾【人間プラモ】(プロダクション・グッドブック)『映画大好きポンポさん』(MFC ジーンピクシブシリーズ/KADOKAWA刊)
監督・脚本:平尾隆之
キャラクターデザイン:足立慎吾
演出:居村健治
助手:三宅寛治
作画監督:加藤やすひさ 友岡新平 大杉尚広
美術監督:二嶋隆文 宮本実生
色彩設計:千葉絵美
撮影監督:星名工 魚山真志
CG監督:髙橋将人
編集:今井剛
音楽:松隈ケンタ
制作プロデューサー:松尾亮一郎
制作:CLAP
配給:角川ANIMATION
主題歌:「窓を開けて」CIEL(KAMITSUBAKI RECORD)
挿入歌:「例えば」花譜(KAMITSUBAKI RECORD)/「反逆者の僕ら」EMA(KAMITSUBAKI RECORD)
映画大好きポンポさん製作委員会
キャスト
ジーン/ジーン・フィニ:清水尋也
ポンポさん/ジョエル・ダヴィドヴィッチ・ポンポネット:小原好美
ナタリー/ナタリー・ウッドワード:大谷凜香
ミスティア:加隈亜衣
マーティン/マーティン・ブラドック:大塚明夫
アラン/アラン・ガードナー:木島隆一