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『【推しの子】』最終回までのネタバレあらすじ紹介・解説・考察

「お仕事もの」「サスペンス」「恋愛もの」……さまざまなジャンルの要素を内包した、今一番押さえておきたい漫画『【推しの子】』のあらすじや魅力を紹介!【ネタバレあり】

2020年4月より週刊ヤングジャンプにて連載中、そして少年ジャンプ+でのWEB連載もされている赤坂アカ先生×横槍メンゴ先生による漫画『【推しの子】』。

芸能界の華やかな部分、シビアな部分双方をリアルに、ドラマチックに、そして膨大な熱量で描いた作品で、斬新な設定と先が読めない展開も相まって、これまでに多くのファンを獲得してきました。

2023年4月からは、動画工房制作でTVアニメがスタート。毎週のように関連ワードがツイッターのトレンドに載るほか、YOASOBIによるOP主題歌「アイドル」のMVが、公開約1ヶ月で再生回数1億回を突破するなど、多方面で話題を呼んでいます。

本稿では、作品の魅力や、単行本最新巻までのあらすじをご紹介します!

※本稿は作品のネタバレを含みますのでご注意ください。

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【推しの子】
「この芸能界(せかい)において嘘は武器だ」地方都市で働く産婦人科医・ゴロー。ある日"推し"のアイドル「B小町」のアイが彼の前に現れた。彼女はある禁断の秘密を抱えており…。そんな二人の"最悪"の出会いから、運命が動き出していく―。作品名【推しの子】放送形態TVアニメスケジュール2023年4月12日(水)〜2023年6月28日(水)TOKYOMXほか話数全11話キャストアイ:高橋李依アクア:大塚剛央ルビー:伊駒ゆりえゴロー:伊東健人さりな:高柳知葉アクア(幼少期):内山夕実有馬かな:潘めぐみ黒川あかね:石見舞菜香MEMちょ:大久保瑠美スタッフ原作:赤坂アカ×横槍メンゴ(集英社「週刊ヤングジャンプ」連載)監督:平牧大輔助監督:猫富ちゃおシリーズ構成・脚本:田中仁キャラクターデザイン:平山寛菜サブキャラクターデザイン:澤井駿総作画監督:平山寛菜 吉川真帆 渥美智也 松元美季メインアニメーター:納武史 沢田犬二 早川麻美 横山穂乃花 水野公彰 室賀彩花美術監督:宇佐美哲也(スタジオイースター)美術設定:水本浩太(スタジオイースター)色彩設計:石黒けい撮影監督:桒野貴文編集:坪根健太郎音楽:伊賀拓郎音響監督:高寺たけし音響効果:川田清貴...

目次

第1巻(第10話)までのあらすじ

鮮やかなタイトル回収

まずは物語序盤のあらすじをご紹介。

地方の産婦人科医師・ゴローはアイドルグループ「B小町」の絶対的センター・星野アイの大ファン。患者の病室でライブDVDを流すほどの筋金入りのオタクで(曰く「美しいものを見ると健康に良い」から)、充実した日々を過ごしていました。

そんなある日の診察で彼に衝撃が走ります。なんと「病気療養中」のはずのアイが双子を身ごもった妊婦として目の前に現れたのです。最初こそショックを受け、葛藤しますが、アイの「母としての幸せ、アイドルとしての幸せ」両方を絶対に掴むという思い、そして「子どもは公表しない=愛を持ってファンに嘘をつき続ける」という覚悟を受け、全力で彼女をサポートすることを誓います。

 

経過は良好、いよいよ出産予定日を迎えますが、ここで事件が。門外不出のトップシークレット「アイの妊娠」を知る“フードの人物”に突如夜道で襲われ、崖から転落。朦朧とした意識の中、ゴローはアイの出産の成功を願いながらまぶたを閉じていきます……。

――次に暗闇から目を覚ました瞬間。目の前に広がるのは病室の風景。全身に感じるのは自分を抱きかかえた母の温もり。

ゴローはアイの子どもとして産声を上げていたのでした

 
 

タイトル「推しの子」とは、単に「自分が推している子(アイドル)の物語」という意味だけではありません。「“推しの子に転生した”物語」という意味でもあるのです。

もうひとりの転生者

かくしてアイの息子・星野愛久愛海(ほしのアクアマリン 通称:アクア)として生きることとなったゴロー。転生の事実に混乱しながらも、徐々に推しの成長を間近で見られる&愛を注いでもらえる生活になじみ始め、息子という新たな形で彼女の人生を支えていくことを決意します。

同じく推しの赤ちゃんライフを満喫する者がもうひとり。アクアの双子の妹・星野瑠美衣(ほしのルビー)です。彼女も転生者であり、その正体はゴローが勤務していた病院の入院患者だった少女「さりな」でした。

難病を患っていたさりなは学校に行くことも満足に運動することもできず、寝たきりに近い生活を送っていました。その心の拠りどころとなっていたのがアイであり、その熱狂ぶりこそがゴローをアイの“沼”に導いたのです。アイトークに花を咲かせ、仲良しだったふたりでしたが、ゴローより先にさりなはわずか12歳で息を引き取っていました。

前の人生で面識のあるふたりですが、過去を詮索しないようにしたため、お互い同じ転生者だということは分かっても正体に気づきません。あくまで「熱烈なアイファン」として、ふたりでアイを支えよう、応援しようと活動(赤ん坊なのでできることは限られる中)していきます。

そんなことはつゆ知らず、アイは子持ちを隠しながら芸能活動を再開。子どもたちに存分に愛を注ぎ、また逆に愛されたことで表現に一段と磨きがかかり、いよいよトップアイドルと呼ぶにふさわしい、めざましい躍進を遂げていきます。

終わりと始まり

子どもたちはすくすくと育ち、B小町のドーム公演も決定。すべてが順風満帆と思っていた矢先、悲劇が訪れます。子持ちであることを知り逆上したストーカーにアイは刺され、20歳の若さで死んでしまうのです。

悲嘆にくれるファンの声や、世間から同情の声が上がる一方、悪意を持った言葉も目の当たりにし絶望するふたり。それでも、母の見せた煌めきと、残してくれた愛情を胸に、ルビーは自身も母のようなアイドルになることを決意します。

一方、アクアは「情報提供者がいる」という考え、そしてそれが「自身(ゴロー)を殺した人物と同一人物なのでは?」という考えが頭をよぎります。

アイを殺したストーカーはただの学生。そんな人間に芸能人の住所も、ひた隠しにされてきた秘密も掴むことはできないはず。複雑な家庭に生まれ、幼少期から施設暮らしだったことで親族や学校との交流もなかったアイのすべてを知ることができるのは芸能界の人間、その中でもただひとり「(アクアたちの)父親」のみです。アクアは、遺伝子検査で自身の父親を特定し復讐することを胸に誓います。

こうして、伝説的アイドル「アイ」の隠し子である双子の高校生は、妹はアイドルとして、兄は役者として、それぞれの思いを胸に、あまたの感情渦巻く【芸能界】へと飛び込んでいくことになるのです。

 

ここまでの内容がコミックス第1巻分(10話まで)。1巻丸々使った壮大なプロローグを経て、いよいよふたりの物語が始まります。本作は、芸能界の表と裏両方をリアルに描く「お仕事もの」であると同時に、主人公だけが知る秘密を武器に謎を探る「サスペンス」でもあります。

さらにそこに、ネット上の言葉のリアリティや消費者側の気持ちにもフォーカスを当てることで見えてくる風刺的で考えさせられる一面、ルビーや後述するヒロインたちとアクアの関係性を描いた「恋愛もの」的な一面もあったりと、さまざまなジャンルの魅力を内包した稀有な作品となっているのです。

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