「日常」をテーマに様々な気持ちや感情が表現された1枚に――和氣あず未さん4thシングル「Viewtiful Days!/記憶に恋をした」インタビュー│人付き合いのコツや恋愛相談など読者の悩みも解決!? 特別企画「あじゅじゅのお悩み解決! Viewtiful Days!」も!
「Viewtiful Days!」の歌詞はアニメのアズサの生き方と和氣さんの想いにリンク!
――「Viewtiful Days!」を聞いた時の印象をお聞かせください。
和氣:去年の6月くらいにはレコーディングが終わっていて、この曲をいただいたのも3rdシングルの表題曲「イツカノキオク」と同じタイミングでした。
初めて聞いた時から「いっせーのーせっ!!で」のフレーズが頭から抜けなくて。そのキャッチーさはタイアップとしてもピッタリだなと感じていたし、アニメのお話と歌詞がリンクしている部分もあるし、私自身の気持ちと重なる部分もあって。特に2番のAメロ「サプライズはほどほどに 緩めに暮らす 今のSlow Life」は、私自身、特別なことがなくても何事もなく暮らせる日々が一番幸せなことだと思っているので共感できました。のんびり何も考えずに過ごすのが好きで、非日常的なサプライズが苦手なタイプなので(笑)。あとアズサさんの生き方にも通じるものがあるなと思いました。
――ということは、和氣さんはアズサと同じタイプ?
和氣:アズサさんは過労死しちゃうし、転生しても毎日コツコツ敵を倒していたりと働き者なので、そこは似てないかも(笑)。でも緩く暮らそうという想いは一緒です。「いっせーのーせっ!! で飛び込んだ Brand New Me」の歌詞は転生したアズサさんとアーティスト活動に挑戦している私に通じるものがあるかもしれません。
また「すべてはそう シナリオの一部なの」や「まだまだ 物語のページをめくろう」などドラマを感じさせるワードも使われていますが、キラキラしているけど、穏やかな日々の暮らしが繰り返される素晴らしさを表現しているのが素敵だなと思います。
――穏やかな日々を望みながらも「日進月歩!」や「ワクワクがもう止まりそうにない」など、ポジティブシンキングです。
和氣:そうなんですよね。前に一歩踏み出していこうという気持ちはあって。次の日はもっと素敵になると思うことが、何気ない日常を楽しく過ごすコツかもしれませんね。タイトルも「美しい日」と「眺める日」をかけていますが、次の日に向かって、どんどん素敵な日になっていくという希望も込められていると思います。
――さわやかで明るく、元気なサウンド感ですが、リズムが途中で変わるところなど変化球っぽさも。
和氣:ED曲といえば緩やかできれいなメロディやサウンドを想像しますが、サビになったら急にOP曲のような盛り上がりなって。でも、そこから下がったと思ったら、また上がったりと、捉えどころがないんです。だからこそ、聞いてくださる方の耳に止まるので、ED曲らしいのかもしれません。歌う時は聞いてくださる方にはわかりやすく伝わるように、どう抑揚をつけようかなど、考えながらのレコーディングでした。
――他に聞きどころや注目ポイントは?
和氣:MVも含めて、スローライフや緩めの印象がある曲ですが、歌詞は「つまづいてばりで 泣きそうになっても~一歩一歩!日進月歩!」していこうなど背中を押してくれるので元気になれます。そして毎日楽しいことばかりではなく、苦しいことや悲しいこともあるけど、成長しない日なんて1日もないと思わせてくれます。落ち込んでいる時や悩んでいる時にぜひ聞いていただいて、新しい明日への力になればいいなと思っています。
MVは和氣さんの女子力高めのおうち時間を撮影するつもりが……
――MVは和氣さんのおうち時間、リラックスタイムを表現したような映像ですね。
和氣:そうですね。お料理やガーデニング、ヨガなど基本的におうちでできることをやらせていただきました。監督から私が実際にやっていそうなこととして提案していただいたんですけど、どれもやっていなくて(笑)。料理も最初はかわいらしく、てきぱき作る姿を想像されていたそうですが、逆にレシピを最初に伝えるので、あとは自分の想像で作ってくださいとなって。
映像の中でタブレットを見ているシーンがありますが、画面が真っ暗でパニック状態になった様子がそのまま収録されています(笑)。オンライン飲み会のシーンもパソコンの画面には何も見えないけど、向こう側でスタッフさんがお話ししてくれたので素で笑っているところも撮影していただいて。ヨガもまったくできないのに、スタッフさんがわざと難しいものを選んでやることになったり。
――監督は和氣さんが女子力が高いと思っていたけど、違ったのでおもしろ系に移行したんでしょうね。
和氣:思っていたのと違うとなったみたいで(笑)。NGになるかなと思っていた映像も本編で使われているし、私が笑ったり、困ったりしている表情がいいからと言っていただいたので、今までのMVの中でも一番素の私が見られるかもしれません。
「2030」は2つの未来を意味するタイトル&今の状況でも楽しむ女の子のラブソング
――2曲目の「2030」は未来の女の子の恋を描いたようなSFっぽさもあるラブソングです。
和氣:まずタイトルですが、作詞のARAKIさんが考えてくれました。今はコロナ禍で外出しにくい状況ですが、2030年頃にはきっと元の生活に戻れているのではという予測と希望が込められています。あと私が今、20代半ばで、30歳になる節目を迎えることもかかっています。
歌詞も今だからという表現があって、「口元隠して恋をするなんて」はマスク姿を連想させるし、「スケジュールはときめかない」も外出を自粛していて家にいるので気分がときめかないとか。でもこの状況をポジティブにとらえていて、好きな人や友達に直接会えないけど、大きな目標を立てて、「いつか晴れた日にどこへ行こうか 何を着て行こうかな 君の好みは今のうちチェックして」や「君とどこでもいいから手を繋ぎたいな」など女の子を楽しんでいる曲だなと思います。
――サウンド感もガーリーでかわいいですね。
和氣:私はK-POPっぽいなと思って、歌ったんですけど、井上(哲也)ディレクターは「ちょっと古くて懐かしい音になってます」とおっしゃっていました。もしかしたら1周回って、新鮮に感じるのかもしれませんね。
――お気に入りのフレーズは?
和氣:最後の「明日天気になれ」は、マスクをはずせるようになったら、外に一歩踏み出そうという気持ちを描いている気がして。皆さんも早くこの状況が収まって、マスクをはずして、みんなで騒ぎ合ったり、ライブやイベントに行きたいなと望んでいると思うので、共感していただけると思います。特に女の子は、この曲の主人公の気持ちは刺さるんじゃないかなと。
私自身はマスク生活にすっかり慣れてしまって、今では「マスクを取りたくないな」と思っちゃうくらい、既に体の一部になっていて(笑)。昔はマスクをおしゃれに使うなんて考えもしなかったと思うけど、今はおしゃれなマスクや女子ウケするようなマスクもあるし、感染予防の道具+ファッションの一部になっているのはおもしろいなと。コロナはもちろん嫌だし、怖いけど、明るく、生きられる前向きな、おしゃれ精神は尊敬できます。この曲から、皆さんが生活していく上で、発想の転換や前向きに過ごせるきっかけになればいいなと願っています。
「記憶に恋をした」は、夏に別れた恋人を思い出すせつない曲
――「記憶に恋をした」は終わった恋を歌っていますが、好きだった人はもうこの世にはいないように聞こえます。
和氣:(作詞・作曲・編曲の)鶴﨑(輝一)さんは、1stアルバム『超革命的恋する日常』の「恋煩い」や「恋じゃないならなんなんだ」を作っていただきましたが、恋愛の曲を作るのがめちゃめちゃ上手いなと思っていて。この曲を初めて聞いた時、「失恋しちゃって、好きだった人にもう会えないのかな?」と思ったけど、じっくり歌詞を読んでみると、「今日にも明日にもきっと君には会えないんだよね そんな当たり前を」とあって、「好きだった人は今どこにいるんだろう?」と考えさせられてしまって。聞く人によってイメージすることはきっと違うと思うけど、私は悲しくならないように、「きっとどこかにいるはず」と思っていながら歌いました。
――曲頭に「いつかの夏の曲のメロディーを口づさんだら また溢れて 胸の奥きゅっとしてく」とあるのも、この時期にピッタリですね。
和氣:主人公もたぶんずっと好きだった人のことを想い続けているのではなく、夏になってふとした瞬間に彼のことを思い出すけど、心の片隅には彼はずっといて。一緒に過ごした青春を懐かしんで、待ち合わせした駅に行ったら「今はもうないけれど」と。それがまたせつなくて。
――過去の恋や好きだった人を思い出すのは、今が別の人と幸せになれているから懐かしく思うのか、それともまだ引きずっているからなのか?
和氣:終わった恋をふと思い出すことは誰にもあると思うけど、「胸の奥きゅっとしてく」や「切なさ込み上げてきたり」するのは、引きずっている部分があると思うんですよね。
また青春っぽい描写は「夢を恥ずかしそうに語る君も」くらいで、きっと河川敷で夕日を浴びながら夢を語る君の恥ずかしそうな横顔を見つめる彼女を想像するときっと幸せな時間を送っていたんだろうなと。でもお互いに成長していくことで離れなくてはいけない状況だったんだろうなとかいろいろ考えてしまいます。
――あのメロディが更にせつなくさせている気がします。
和氣:メロディ自体はきれいなんですけど、歌詞はドラマのようにつながり、1行1行も長いんですけど、悲しい言葉が多いから、余計にせつない気持ちになってしまうのだと思います。こういうキュンキュンする、せつない恋の歌は私の大好物です(笑)。歌う時、AメロとBメロは「きれいにかわいく歌ってください」と言われましたが、サビは「エモエモで、涙目くらいで歌ってください」と。それを想像するだけで泣きそうになってしまって、「せつな~い!」と思いながらレコーディングしました。