この記事をかいた人
- 石橋悠
- 1989年福岡県生まれ。アニメとゲームと某王国とHip Hopと自炊を愛するアニメイトタイムズの中堅編集者。
ーー今の話を聞いていて疑問に感じたのですが、年齢感を若く見せる時にどのような事を意識するのでしょうか?
森川:声質とかもそうなのですが、一番はメンタル面です。若い時って色々な経験がまだないじゃないですか。経験値が少なくて多角的に物事が見られなかったり、真っ直ぐ過ぎたりして。そういう不器用さみたいなものが、セリフの中で現れれば良いのかなと。
声質は調整できるとはいえ、演じている人間は同じなので、そのキャラクターがどのくらいの年齢でどんな経験を経ているのか、どういったものの見方や考え方をするのか、そういうところを大事に表現しています。
「やっぱり若くならないね」みたいに言われるとキツイところがあるんです……。年齢が上がっていくとおじさん臭くなってしまうと言いますか、分別がつくようになって説教くさくなったり。だからこそメンタル面を作りこみますね。
甲斐田:私も気の持ちようだと思える部分があります。普段別の仕事でも比較的老けがちなお芝居になりがちなので、「若く」と言われると「よし!」と少し気合を入れてやらないとと思ってしまうんです。だから若い頃だと呼吸が浅いかな?とか、お腹からの安定した呼吸になるかな? みたいな簡単な差別化はしています。
ある場面の声を後から出す時については、その時の声を実際に聞けば体の使い方を音から自分の中にコピーできるんです。だから今回も『ディジェネレーション』を見返して調整しました。戻るという意味では、当時の音があるのが一番です。
森川:心情とかを思い出せるんだよね。いくら可愛い声を出してもおっさん臭い考え方だとおっさん子供になっちゃいますし。もちろん、大人でも子供の心を持っていたりはあるんですけれどね。
ーー日頃から若い感情を作るために意識していることなどはあるのでしょうか?
森川:色々なものを見ていますね。若い人を観察したり。
甲斐田:私は自分の過去を思い出すよりも観察したほうが勉強になります。
森川:それが呼び水になるんです。記憶って薄らいでいくじゃないですか。だから色々なヒントになるものを見て、それを自分だったらどうするかと置き換えて行くことで良いものが出てくる。本当だったら、あの時はこういう声だったって完璧に覚えていられれば良いのですが、それはやっぱり難しいので。
甲斐田:私は若い役をやるより、自分より歳上の背伸びした役を演じることが多かったので、例えば池田昌子さんのような喋り方だったり、昔のいいとこのご婦人の喋り方は自分では表現できないと、いつも思っていたんです。
古い映画を見てもそういう方が演じられていたりして、どう表現すれば良いのだろうと悩んだことがあります。すると、電車で隣のご婦人が喋っているトーンがまさにそれだったりして、いまだにこういう話し方ができる人がいるのかと発見がありました。
どこをどうしたら近づけるのか、どうすれば体得できるのかと、いまだに悩んでいます。たまに昔の作品を吹き替え直すことがあるのですが、他の人が喋っているその特徴を捉えたいなと聞き耳を立てていますね。
ーーおふたりは共演作が多いと思います。お互いの演技で好きなところを教えてください。
森川:表現が細かいところですね。戦うと強い女性でも繊細なところを音的に持っていて、多分これは天性のものなのかなと思っています。本人は何も考えないで喋っているのかもしれないけれど、この説得力がすごい。だから最初から巧いなと感じていました。
甲斐田:あ、よかった……。この間、養成所のテレビを見ていたから、怒られたらどうしようかと戦々恐々としていました。
森川:彼女の事は専門学校から知っているし、トントン拍子にデビューまで行ったことも把握しています。その後も即事務所に所属していたので、学生の頃から優秀だったんです。
甲斐田:大分現場で鍛えられましたからね。
森川さんは一緒にやっていて安心感があります。でも時々、面白いお芝居をしてくることがあるのが楽しいです。アニメの時なんかは、その意外な面を見られる機会が多くて、そんな声出すんだ、そんな演技をするんだという驚きがあります。
森川:アニメだと自由にやらせて貰えるんです。若い頃から主役をやらせて貰うことが多かったのですが、心の奥の方には超三枚目でダジャレを言いたくてしょうがない自分がいて。だから昔はよく怒られていました。
甲斐田:その頃の森川さんを見てみたかった……!!
ーーありがとうございました。
原作・製作・監修:株式会社カプコン
監督:羽住英一郎
脚本:武藤将吾、羽住英一郎
エグゼクティブプロデューサー:小林裕幸(カプコン)
製作プロデューサー:篠原宏康(トムス・エンタテインメント)
プロデューサー:古屋厚(ROBOT)
CGプロデューサー:宮本佳(Quebico)
フル3DCGアニメーション制作:Quebico
制作プロデュース:トムス・エンタテインメント
クリエイティブアドバイザー:トニー石塚(Sony Pictures Entertainment)
音楽:菅野祐悟
コピーライト:©CAPCOM CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
日本語吹き替えキャスト:
レオン・S・ケネディ:森川智之
クレア・レッドフィールド:甲斐田裕子
ジェイソン:立木文彦
シェンメイ:潘めぐみ
パトリック:野島健児
グラハム大統領:井上和彦
ウィルソン国防長官:田原アルノ
ライアン大統領補佐官:小形満
話数:全4話
配信日:Netflixにて2021年7月8日(木)より、全世界独占配信
Netflix作品ページ:www.netflix.com/biohazard_anime
1989年(平成元年)生まれ、福岡県出身。アニメとゲームと某王国とHip Hopと自炊を愛するアニメイトタイムズの中堅編集者兼ナイスガイ。アニメイトタイムズで連載中の『BL塾』の書籍版をライターの阿部裕華さんと執筆など、ジャンルを問わずに活躍中。座右の銘は「明日死ぬか、100年後に死ぬか」。好きな言葉は「俺の意見より嫁の機嫌」。