『じいさんばあさん若返る』著者・新挑 限さんインタビュー/老夫婦の日常を通して、何でもない日々の幸せを感じてほしい【カドコミ2021】
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そして今回、対象作品である『じいさんばあさん若返る』著者・新挑 限さんのインタビューが行われました。
2019年にTwitterで発表された4ページのマンガが話題を呼び、今やWeb累計1億PV突破! 「ニコニコ漫画年間ランキング2020(ユーザーマンガ部門)」第1位にも輝いた、人気コミック『じいさんばあさん若返る』。
ある日突然、体だけが若返ってしまった老夫婦のちょっとおかしな日常とは? 著者の新挑限さんに、作品に込めた思いを語っていただきました。
主人公はじいさまばあさま! 前代未聞の老夫婦ラブコメ
──まず、この作品が生まれたきっかけを教えてください。
新挑 限さん(以下、新挑):私は青森県生まれで、周りにおじいさんおばあさんが多い環境で育ってきました。地方の過疎化や少子高齢化も身近に感じていましたが、こうした問題を若い人に伝える作品はないなと思って。
そもそも、おじいさんおばあさんが主役のマンガも多くないので、それなら描いてみようかなと思いました。また、前作『幼なじみになじみたい』が男性をターゲットにしたマンガだったので、次は男女どちらも楽しめるマンガにしたいという思いもありました。女性読者にも好かれる、イケメンキャラを登場させてみたかったんですね。こうした歯車が噛み合い、誕生したのがこのマンガです。
──新挑さんご自身も、おじいさんおばあさんと一緒に暮らしていたのでしょうか。
新挑:はい、三世代で住んでいました。近所にも高齢者が多く、市役所の横を通ればゲートボールをしているおじいさんおばあさんがいますし、歩行を助ける四輪車を手で押しながら歩くおじいさんおばあさんもよく見かけます。
──最初にTwitterで公開した第1話から、大反響がありました。大きな手ごたえを感じたのではないでしょうか。
新挑:これまでの経験上、「これは伸びるな」という確信がありました。でも、単行本化は考えていなくて、描き始めたらいつのまにかこうなっていたという感じです(笑)。
──伸びるなと確信したのは、なぜでしょう。
新挑:言語化するのは難しいのですが……。Twitterで発表するマンガは、1ツイート、つまり画像4枚以内で完結することが大事なんです。このマンガも4ページでオチがついていますし、なおかつおじいさんとおばあさんが若返るというシチュエーションが目を惹くのではないかと思いました。
──Twitterは、読者からの反応がダイレクトにわかりますよね。どんな声が届いていますか?
新挑:読者の方々は、通勤・通学の電車で気軽に読んで、ほっこりするようなマンガを求めているんだなと思いました。はじめのうちは孫や息子の奥さんがじいさまの気を引こうとする描写も入れていましたが、それよりもじいさまばあさまの深くてあったかい関係性を見たいんだなとわかり、少し路線を変えました。
──「こういうエピソードを描いてください」というリクエストも来るのでは?
新挑:そういう声には、あえてあまり応えないようにしています。例えば、少し前にじいさまが執事になるエピソードを描いたところ、「メイドになったばあさまを見たい」というリクエストをいただきました。でも、「続きを読みたい」と思っていただくためにも、あえてちょっと焦らしています。