10周年を迎えたfhánaが贈る愛のうた──『小林さんちのメイドラゴンS』の幕開けをにぎやかに彩る「愛のシュプリーム!」について4人に訊く
5月に結成10周年を迎えた4人組バンド・fhána。京都アニメーションが贈る、独り身お疲れOL小林さんとドラゴンたちの異種族間交流コメディ『小林さんちのメイドラゴンS』で、2017年に放映された第一期に引き続きオープニングを飾っている。
fhánaが初めて京都アニメーションとタッグを組んだ『小林さんちのメイドラゴン』シリーズ。今回のOP主題歌「愛のシュプリーム!」は、towanaさんとkevinさんのラップを大々的にフィーチャーした、愛に溢れたポップソング。7月14日(水)にはシングルとしてリリースされる。
この10年の歩み、最新作について、佐藤純一さん(keyboard,chorus) 、towanaさん(Vocal) 、kevin mitsunagaさん(PC,sampler) 、yuxuki wagaさん(Guitar)に教えてもらった。
10年という時間を「fhána」として歩んでこれた理由
──5月5日に結成10周年を迎えられて、今はどのようなお気持ちでしょうか。
佐藤純一さん(以下、佐藤):全然意識してなかったんです。Googleカレンダーに「結成日」と書いてあることに気付いて、「ああ、もうすぐ結成日か。〇周年を迎えましたってツイートとかしようかな」と去年のツイートを見返したら、「9周年を迎えました」って書いてあったんですよね。「あ、じゃあ10周年だ!」って、2日前に気付くという(笑)。だから感慨深さのようなものはなかったです。
──じゃあ、あまり振りかえられるようなこともなく?
佐藤:気づいたときは全然しなかったですけど、ファンクラブイベントですごく話しましたね。
yuxuki waga さん(以下、yuxuki):結成記念日にファンクラブのイベント「The history of fhána」を開催して、メンバーの出会いから今に至るまでを話したんですよね。佐藤さんが年表にしてくれて、4時間くらい話して(笑)。でも、僕も同じような感じで、気付いたらって感じでした。言われるまで気付かなかったくらいで。
──towanaさんは10年という時間をどう感じられていますか?
towanaさん(以下、towana):何かひとつの物事を10年間続けるってすごいことだと思うんです。今この地点から振り返るとあっという間ではあるんですけど、10年ってすごく長い時間で。バンドは続けることがいちばん大変なことだと思うので、このメンバーで10年間続いているのは、単純にすごいことだなぁって。
──バンドはメンバー入れ替わったり、休止したりってことも決して珍しくないですもんね。野暮な質問かもしれませんが、この4人で続けてこられている理由ってなんだと思いますか? 秘訣というか。
佐藤:なんですかね? 最初のメンバー選びが良かったのかなという感じはしています。人の組み合わせが良かったんだろうなと。
──最初からそれは感じられていたんです?
佐藤:最初に男3人で何かやろうと集まった時から、一緒にいて楽だなぁと感じていて。お互いの音楽性に共感するところもあったので、面白いものができそうだなという予感はありました。
そこにゲストボーカルだったtowanaが正式メンバーとして入って、その前後の期間に4人並んでアー写のようなものを撮ったんです。その写真を見たときにピンときたんですよね。面白い音楽を作り出しそうなオーラを感じたと言いますか。
バンドって佇まいや醸し出す雰囲気が大事だと思っているので、これはイケるぞって。カッコいいとか、美女とか、そういうわけではなくて──いや、みんなカッコいいし、可愛いんですけど(笑)、全体的な雰囲気が良かったんですよね。
kevin mitsunagaさん(以下、kevin):懐かしい。あの時から比べるとだいぶ熟成されてる感じがします。100時間煮込んだカレーというか(笑)。音楽的にはまだまだエッジィなことにチャレンジしたいんですけど、人間的にはまろやかになって、深みが増した感じになってる気がします。ちょっと良いワインのような感じになってきたんじゃないんですかね。
佐藤:……カレーじゃなかったの……?
kevin:(笑)。とにかく熟成された感じがあります!メンバー同士の関係性も柔らかくなってきたというか。丸くなったわけではなくて、話していてしっくりくることが多いです。
佐藤:ああ、“しっくりくる”って分かる。そうだよね。
──もう少しfhánaヒストリーについておうかがいさせてください。『小林さんちのメイドラゴン』(以下『メイドラゴン』)の主題歌「青空のラプソディ」は現在に至るまでロングヒットを記録しています。リリースは2017年でしたが、当時のことって覚えてらっしゃいますか?
佐藤:4年前か……。fhánaのなかのムードってことですよね?
──そうです。あの名曲はどんな空気感で作られたのかなと個人的に気になっておりまして……。
佐藤:僕は京都アニメーションさんの作品では『涼宮ハルヒの憂鬱』の大ファンでしたし「ハレ晴レユカイ」みたいにダンスするしかないのかな、とは思っていました(笑)。その後、kevinは世界各国で踊り、DJをする、世界的ダンサー兼DJになりましたからね(笑)。
kevin:(笑)。そこからバンド内のムードが変わった感じがありましたね。ダンスって表現のなかでも結構アッパーなことじゃないですか。今思い返せば、そういった変化があったなと。
──fhánaにとっての初めてのダンス曲でしたもんね。サウンド的にも斬新でした。
佐藤:曲調的には攻めた曲で。「青空のラプソディ」のようなディスコソウルっぽい曲は当時のアニソンにあまりなかったから、それを世に問うじゃないですけど、一石を投じたい気持ちはありました。
あ……いま話しながら思ったんですが、さきほど「10年続く秘訣はなんですか?」って質問があったじゃないですか。その答えになるかは分からないんですが、僕がずっと変わらないことってクリエイティブファーストであることなんです。
関係性や場の空気、プロセスよりも、良いと思うクリエイティブができるかどうかが全てで。逆にそれ以外考えてないから、あまり記憶がない(笑)。でもこのメンバーはなんだかんだ付きあってくれるし、気を抜いてる時間も含めて居心地良いんでしょうね。水が合ってる感じがします。