「ジャヒー様」から受け取った“報われないのにポジティブ”な感覚──小倉 唯さん14thシングル「Fightin★Pose」発売記念インタビュー！ 母性を意識したcw曲は“今”が詰まった仕上がりに

日常が絶体絶命!? 小倉流の歌詞作りとは？

──KIKUEさんとの共作は、どういう流れで決まっていったのですか？

小倉：見比べていくと、それぞれで印象的なフレーズがあったので、いいところ取りをしています。私が書いた箇所では、《絶体絶命な　日常を超えて》からのサビの部分、《臥薪嘗胆Death!》など、フックになる面白い言葉を評価していただきました。

──その2箇所はまさに引っかかっていたフレーズでした。日常が絶体絶命って、どういうことなんだろうと思うし、普通は並ばない言葉を組み合わせることでオリジナリティが生まれていて、かつ作品への興味も湧く、とてもいい歌詞だと思います。

小倉：ホントですか！　ありがとございます。実は私、歌詞を書くのがすごく早くて。だいたい1～2時間とか、お風呂に入っている間に書き終わってしまうんです（笑）。コンペは1コーラス分だったりするので。

──いろいろな方にお風呂でアイディアが浮かぶと聞くので、何かあるんでしょうね……。

小倉：お風呂は何故か作業がはかどりますね（笑）。ちょっとのぼせたりもしますけど、書き出したら止まらなくなるタイプなので、集中して書いていました。

──あとは、2番の《頑張ったって 結果 報われないけど》もいいですよね。普通は報われるものなんですけど、報われないのにポジティブなのは、この作品だからこそだなと。

小倉：ここはまさに、作品をイメージして思い浮かんだ言葉でした。報われないけど立ち上がる！　私自身も人前に出る活動をしているので、ジャヒー様の気持ちに共感するところもあるんです。

皆さんにお見せ出来ている部分って、本当にごく一部の面で。その裏にはいろんな段階や努力があり、ひとつの光をお見せすることができているんです。頑張って仕上げていった時間のほうが圧倒的に長いので、そういった部分は共感できるなと思いました。

──ラップ部分は、いかがでしたか？

小倉：ラップ部分の歌詞に関しては、KIKUEさんのアイディアに助けられました。ラップ部分でジャヒー様の二面性を表現されていたところは、私の考えた歌詞とはまた違った表現だったので、勉強になりましたね。

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──小倉さんのアイディア部分もあるのですか？

小倉：《平凡なeverybodyに手を振って♪( ́θ`)ノ》などは私のアイディアですね。歌詞の表記に顔文字を入れたらかわいいかなと思って、ダメ元で聞いてみたら「いいよ！」と言われて（笑）。作詞家さんたちの常識を知らないからこそ、書けたところかなと思います。

──ラップの部分は、コロコロと変わるボーカルも印象的でしたが、歌ってみてどうでしたか？

小倉：ラップのフロウにはこだわって、できる限りキャッチーに、みんなが真似したくなるような歌い方を研究しました。かわいらしく、かつ印象に残る言い方を目指し、練習しては携帯のボイスメモに記録して。そのデータを持ち込んで、レコーディングに臨んだんです。

──かなりのこだわりがあったのですね。ほかにボーカル面で意識したことはありますか？

小倉：スーパーポジティブ感かな（笑）。ただ、困難を乗り越えていくだけでなく、自分のことは自分が一番信じてあげる、といったメッセージ性も伝えたかったので。その感情は特に意識して歌っています。

──一箇所だけ《ジブンの味方は　ジブンだけなの？　ただ戻りたいだけなのに 叶わなくて》という弱気になる歌詞があるのですが、ここはジャヒー的には理解できるフレーズですが、小倉さん自身にとっては、どういう意味を持った言葉になりますか？

小倉：時間て、絶対に戻せないじゃないですか。そういう意味で、振り返ればあの時の瞬間は自分にとってすごく大切な時だったんだな。あの瞬間に戻りたいな。と思うこともあって。歳を重ねていけばいくほど、当時の記憶に返る瞬間ってありませんか？（笑）。

きっと、誰もが一度は思うことですよね。あの時の自分が、他の選択肢を選んでいたらどうなっていたんだろう、とか。

──いつも思っていますね（笑）。そして夏リリースで、小倉さんの誕生日（8月15日）にも近いリリースになります。ジャケットもかなりトロピカルな雰囲気になりました。

小倉：そうなんです！　バースデースペシャルデザインのアナザージャケット（※予約は終了しています）も作っていただいたので、誕生日記念のシングルにもなりました。

──以前、夏があまり好きではないとおっしゃっていた気がしますが、それはあまり変わらずですか？

小倉：う〜ん。大人になるにつれて、四季の感覚が薄れていっているので、どうだろう（笑）。大人になると夏休みもないですし、気づいたら夏が終わっていた、みたいなことが多くなった気がして。そういう意味では少し寂しいですよね（笑）。

──だから季節の曲が多いのかもしれないですね。では、MVの見どころを教えてください。

小倉：今回はポップでカラフルな衣装を着て、遊園地で撮影をしました。ダンスシーンでコロコロと画が切り替わるところや、ラップ部分で蛍光色のキャップやサングラスを掛け、カッコ良くリップシンクを決めるのは挑戦でしたね。見どころだと思います。

──ダンスもすごく多いですよね。

小倉：なんと、ラップにすごく高速のダンスが付いているんですよ！　歌うのでさえ大変なのに、それ以上に振り付けが難しかったので、かつてない最高難易度でしたね（笑）。

──確かにバリバリで踊りながらラップを歌うアーティストって、見たことがないです。

小倉：そうですよね（笑）。新しい境地に足を踏み入れてしまったかもしれない……。

──MVでのハプニングはありましたか？

小倉：梅雨の時期だったので、遊園地でのロケはやめたほうがいいのではないかという声もありました。でも、私がどうしても遊園地で撮りたかったので、「絶対にロケの日は晴れるので大丈夫ですよ！」と根拠のない自信で、大人たちの背中を押しました。当日は、一瞬雨が降ったものの、結果的には晴れたので良かったです。

──それはすごいですね（笑）。

小倉：きっと、私がヒヤヒヤしていたら雨が降ってしまうと思ったので、天気予報は一切確認しなかったです！　いつも、天気には恵まれるので！

──天気を操れる存在……。そのほかにエピソードはありましたか？

小倉：撮影していた遊園地にチュリトスが売っていて、シュガー味とシナモン味があったんです。すごく迷ってシュガー味にしたんですけど、私の予想よりもシュガーが10倍くらい多く付いていて。シナモン味にしておけば良かったなぁ、としばらく後悔していました。

──……その話は、小倉さんが言うから価値が生まれるエピソードですね（笑）。

小倉：そうですか??（笑）