声優
ほし×こえ<オンライン公演>KENN・柿原徹也、阿部敦×代永翼インタビュー

声優星空プラネタリウム朗読会「ほし×こえ」が初のオンライン公演として復活 公演にかける出演者たちの意気込み、そして藤原啓治さんへの思いとはーー KENN×柿原徹也、阿部敦×代永翼、各キャストへのWインタビュー

「もしかしなくてもね」──その一言に込められた、それぞれの思い

——今回演じた役柄についての印象をお伺いしたいのですが。

柿原:自分の演じるキャラクターがどういう人かっていうのは、設定とかに書かれているわけじゃないんですよ。だからなにもない状態から台本を読んで紐解いていくというか。

「ああ、なるほど。古澤っていうのはこういう人間なんだ」っていうのが、青羽の言う台詞の中に織り交ぜられてるんですよね。だからKENNちゃんの台詞を聞かないと、古澤がどういうキャラクターかわからないところがあるんです。古澤自身が「俺はこういう役だ! こういう人間だ!」っていう台詞ってほとんどないですから。

だから自宅で読んだ感覚と、今日のリハーサルはちょっと違って。やっぱり二人で掛け合わせて、初めて古澤が見えてきたなぁっていうのはありますね。その中で、「意外に古澤って難しいぞ」って(笑)。

演じるにあたって、情報量がめっちゃ多いんですよ。十代の時からクールで、だけどみんなが聞き惚れるようないい声だから、先生もつい朗読を頼んでしまうけど、社交的ではない。

でも実はめちゃくちゃ素直で、親友の言葉を自分の人生に反映させていたり、星が好きだった親友よりも星が好きになってしまっているっていう面もあって。

だから「コイツは難しいぞ~!」っていうのが、今日リハーサルをしてみた古澤の印象ですね。

KENN:全然そうは感じませんでしたけどね!

柿原:いや~、難しい! それに古澤の「いい声」っていうのは、現実味のある「いい声」じゃないとダメなんだよね。

リアルにプラネタリウムで説明している人の声って、どれくらいの心地よさなんだろうってすごく考えたし、KENNちゃんとの声にぶつからないところってどこだろうっていうのも考えた。

やっぱりKENNちゃんがいて初めて、古澤っていうキャラが出来上がっていったと思いますね。

——では本番でもっと理解が深まって、演技が進化していく可能性もありますか?

柿原:ありますね!

——KENNさんは今回青羽一羽を演じるのが二回目、かつ古澤奏を演じる相手が変わるわけですが、役の印象というのも変わるものでしょうか?

KENN:(古澤役が変わるのが)どっちがいいとか悪いとかいうことではなく、「西山君と一緒にやった青羽」っていうのがいて、今回は「柿原さんと一緒にやる青羽」がいる。それはパラレルワールドみたいで、僕はすごく楽しんでやらせていただいてます。

さっき柿原さんが言ってたみたいに、古澤の情報っていうのは物語の中にもちょっと出てきたりするんです。例えば「クールだった」とか「朗読がうまくて声を奏でてるみたいだった」とか。

でもそれは、17歳の青羽による印象なんじゃないかなって思ったんですよね。本当の古澤は青羽が思うほどクールじゃないんだけど、周りにはそう見えていて、その主観と客観のズレが、ミステリアスに見せていたんじゃないかと。

僕の中では古澤のほうが達観していて、アウトプットはわりと引き算だと思うんですよ。青羽は足し算していく感じで、感情とかが結構顔に出ちゃうタイプなのかなと解釈して。

だからその対比を出せるように、青羽はテンポよく突っ込み気味に行ってみたりとか、感情を豊かにしてみたりとか。でも十年経った27歳の時には少し引き算もして、外に出す感情などを少しきつくしてみたりとか。

そういうのでバランスを保ちつつも、柿原さんがリアルなアプローチをところどころでしてくれてるのがわかったので。

そこも楽しみながら、自分もモノローグの部分や会話の部分なんかで、楽しみながら表現させてもらいました。

——今も役作りについてお話がありましたが、他に役作りで他に意識されたところはありますか?

KENN:僕は啓治さんが演じる親父の息子なので、どこかしらに親父らしさが出るといいなって思いますね。台詞としては「もしかしなくてもね」っていう親父譲りの口癖があるんですけどね。そこ以外でも「らしさ」が出せたらいいなーって思って、そういうエッセンスをちょっと混ぜてます。

柿原:もともとあまり家でいろいろ考えたり、芝居を作っていくタイプじゃなく、現場でその時々に考えていくので、今日のリハーサルでKENNちゃんの演技を聞きながら「ああ、なるほど。そうよねー」と。「だとすると、なんでこの二人は仲良くなったのかな」って考えたりしますね。

全然違う二人なのに意気投合したって書いてあるわけだから、その磁力ってどこにあるんだろう? とか、考えていくことのほうが僕は重要になってきます。

——役を作る意識より、キャラクター同士の関係性のほうに重きを置いていると。

柿原:そうですね。このキャラクターはこうでなければいけない! という感覚ではなく、このキャラクターと寄り添うって考えていくと、今日は今日しかできない古澤がいる。

物語の中で「星空は毎晩、私たちの上に輝いています。でも、その輝きはその夜だけのものです」っていう台詞があるんですけど、それと同じで、今日演じたものは多分二度と帰ってこない。本番の時にはまた全然違う古澤だったり青羽だったりが、その日、その夜に生まれるんだろうなーって思って。

——KENNさんは青羽のお芝居の中に、藤原さんのエッセンスを交えていきたいとおっしゃっていましたが。

柿原:めちゃくちゃわかるなーって。今日、啓治さんの台詞を本当に久しぶりに聞いたんですよ。まさかリハで聞けると思わなかったんで、「ああ、そっかー」って。啓治さんの演じる親父が、この古本屋に座ってたんだなーって思ったりするわけですよね。

古澤の台詞でも、「もしかしなくてもね」っていう啓治さんが演じる親父さんの口癖を言わせてもらってるんですよ。そうすると「あ、啓治さんこれ、どういうふうに言ったんだろうな」って気になってくる。

でも結局啓治さんの「もしかしなくてもね」っていう言い方の癖は、その口癖がうつっちゃった青羽の、KENNちゃんの中で出来上がってるわけですから。この台詞は青羽のものだから、古澤で真似するもんじゃないなと思って。

だから「もしかしなくてもね」につながる一連の台詞は、さらっと言おうと決めてましたね。親子の間の絆をぶち壊したくないなって。

KENN:リスペクトしてくれてるってことだよね。

柿原:そうだね。そこは。

——こうしてお話を聞いてみると、役は作っていくというより、知っていくという感じなんですね。

柿原:本当にそう。(演じるキャラクターのことを)知らないと無理だよなって。

「もしかしなくてもね」っていう台詞もね、台本を読んでるとやたら出てくるけど、絶対最後に紐解かれるんだろうなって思ってたし、この作品のキーワードでもあるよね。

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