【忖度なし】沖縄完全再現だって!? 夏アニメ『白い砂のアクアトープ』を沖縄出身のオタクライターが現地民として素直な気持ちで観てみた感想
05「母の来訪」
□夏アニメ『白い砂のアクアトープ』第5話あらすじ&先行カット公開
母、襲来
前回の『白い砂のアクアトープ』第4話では、がまがま水族館の従業員もフルラインナップとなり、くくる館長の新たな策略である「タッチプール大作戦」も順調な滑り出しを見せました!
風花も仕事に慣れてきて、くくるのやる気も絶好調! 風花の身バレの危機もありましたが周囲も今の彼女を応援してくれてがまがま水族館の勢いは止まらない……。
かと思われたのですが、なんと朝一番の熱心な並び客は風花の母親でした!
風花ががまがま水族館とくくる宅にお世話になっていることを知った母親が彼女を連れ戻しにやってきたのです。そこから母親と風花、おじいの地獄の三者面談を予想していたのですが、ママもきちんとした大人。
娘を出勤させてから、水族館の大人たちと冷静に話すことに。その間くくるたちは通常の業務へ。社会人なのでただでさえ人員の少ない水族館に迷惑をかけないナイスプレーです。
一方当の本人は、イシガキカエルウオを見て不安そうにしています。心なしかカエルウオさんも元気がなさそうです。まだ帰りたくない風花に、カイとくくるはまさかの逃亡計画を提案!
くくるはともかく、大人っぽいカイくんもハリウッド映画のような逃亡劇に目がくらみ言えでの手助けをすることに(笑)。くくる館長は作戦がある様子、風花の高跳び作戦開始です。
熱帯魚、逃がせ!
逃亡ルートにはいり1人水族館を後にする風花。くくるが時間を稼いでいる間に出発です。目的地はできるだけ遠い場所へ!
風花ママはお世話になった、くくるのおばあに挨拶に行くことになり、さらなる時間稼ぎのためにくくるも同行します。
めんそーれ~と優しく出迎えるおばあ。どうやら風花ママは挨拶だけ済ませて娘を引き取るつもりだったらしいのですが、それは不可能です。
沖縄のアットホームな家庭にお邪魔すると長時間滞在or宿泊
の強制2択になることがほとんどです。アニメを見た方はご存知でしょう。おばあの極上手料理による誘惑と、くくるが梅酒まで持ってきて完全にドツボにはまる風花ママ。くくるの家は風通しも良さそうなので、ほろよいで雑魚寝なんかしたらもう動けないですよ。
このおばあ特有の”何が何でも食い物を食わせる”行動を揶揄する言葉も沖縄に存在するくらい、よく見られる光景です。(後述)ちなみにてびち(豚足)の煮付けが出てましたね。コラーゲンもたっぷりな沖縄食材です。
時間稼ぎは大成功、諸葛亮くくる、恐るべし。
逃げる風花、それでいいの?
とりあえず行く宛のない風花は、うどんちゃんの食堂へ向かいます。事情を話すとこれまたノリノリ協力してくれるといううどんちゃん。
この沖縄の若者たちってば、ノリが良すぎる気もしますが、現実でもみんななんくるなると思って生きてる節がありますよね(笑)ちょっと自覚してる部分もしばしば。もちろん全員じゃありませんが。
ここのうどんちゃんの料理シーン良かったですよね。アニメーションにおいて、意外と注目されがちな調理やご飯の描写、もちろん手抜きなしの調理シーンでした。
しかも今回は沖縄の食材を使っていたのでその調理法もしっかり再現されていましたね。ちゃんとゴーヤを真っ二つに切って、中綿をとり、細切りにして炒めていました。あの綿が苦いらしいですよ。
うどんちゃんは、店番を任されてうだうだ言うこともありますが、やはり料理の手際は良いし、本人もこの仕事を気に入っている。
その姿勢を見た風花の脳裏には、好きなものであり「仕事」であったアイドルから逃げたこと、そして現在もどこかへ行こうとしていることがふと浮かんだのではないかな、と思います。
風花を内省させるためのエピソードとなっていますが、個人的にはうどんちゃん本当にそれで良いのかなと思いました。もしかしたら彼女にももっと夢中になれる物があるかもしれない。沖縄や田舎に限らず、家庭や周囲の環境で自身の未知の可能性に気づかず、日々を過ごしていくなんてことは多々あることですからね。
しかし与えられた環境の中で道を選んでいくのは、本人次第。くくるも風花も、誰だってそういう可能性と戦っているのかもしれません。
出来上がった料理は「うどんチャンプルー」。美味しそうだし、ネーミングセンスがかわいいうどんちゃんでした。
運命の再開!? そして……
視聴者のみなさんは気づいていたと思いますが、風花と最初に出会った占い師はうどんちゃんの母親だったんですね。こういうたくましいお母さんがいる同級生いましたよね。
運命を感じた、うどんちゃんママは親戚のつてで風花を匿う場所を確保し、車で送ってくれます。那覇のおばさんの社員寮へ向かうらしく、1時間くらいかかるそう。那覇まで1時間……高校生時代はバスで1時間かけて那覇までいってましたよ……懐かしい。
すっかり気持ちよくなった、風花の母親はあまりの心地よさに風花がここに居たい理由がわかったといいますが、おばあはあくまでも風花がこだわったのは「がまがま水族館」だといいます。そしてそれはくくるの夢ということでもありますね。
風花は那覇へ行く道すがら海に立ち寄り子どもたちと会話します。タッチプールで紹介したことを覚えてくれている子どもたち、風花の心が揺れていくのがわかります。あまり人の気配のないビーチでしたね。あの辺りはそういったビーチがそこら中にあるため、もう一度配信を見返して場所を予想したいところです。
風花が子どもたちに忠告していた、海洋危険生物であるオニダルマオコゼもヒョウモンダコもマジで危険なので、海水浴する際は気をつけましょう。
海を後にし、くくるに連絡を入れる風花ですが……。
正面突破!
くくるに連絡を入れつつ、水族館の業務連絡をする風花。短い間ですが、汗水流して働いた時間を思い出します。そして今朝様子がおかしかったイシガキカエルウオのことも。妙に自分と重なる気がしたあの魚、居ても立っても居られなくなった風花は、水族館に戻ることを決意します。
車をかっ飛ばして戻るも、イシガキカエルウオは瀕死の状態でした。思い入れのある彼をしっかりと見届けるため、懸命に働く風花。くくるもそれに答えます。そして風花の母親は娘が真剣に働く姿を見守ります。
お別れがすんだ後、いよいよ逃げていた母親と向き合う風花。くくるも寄り添います。
劇中では初めての面と向かった親子の会話。なぜ水族館なのか問われた風花は、自分でもまだ言葉にできません。でも、忙しくしていると余計なことを考えなくてすむと告げる。東京で何があったのかなんとなく察知するお母さんの演技が良かったですね。
そして風花は真っ向から
「今はくくるの夢を手伝いたい」と一言。
これまでは風花の気持ちが定まらず(ストレートな描写もなく)、自分の夢は終わったと発言していましたよね。目の前を忙しくしていたいという言葉からもどうしても逃げてしまう風花の危うさが伝わっていました。
が、しかし! 今回は違います。きちんと「今は」って言ってくれました。この夏の間、がまがま水族館で一生懸命くくるの夢を手伝ったら、こんどは自分の夢だってできるかもしれない。少なくとも、逃げ腰な自分を変えることができるかもしれない。
とようやく気づいた、というか覚悟してくれました。風花、それだ……!(泣)
母親も新学期には帰ってきてね。と認めてくました。早く家を出た娘にしてやれることは、干渉せずにそっと背中を押してあげることでした。一人で頑張った娘をねぎらう母、赤いハイヒールはもちろんですが、赤い長靴も似合う素敵な娘ですよほんとに。
2人の夏が変わる予感! 私もソフトビニールの人形を手にしているだけではいられなくなってきましたね!
本日の沖縄方言まとめ
・めんそ~れ~
ようこそ~の意。街の看板やのぼりなどによく描かれている。
・かめーかめー攻撃
かめー(食べてー、食べれーの意)と言いながらたくさんご飯を進めてくれる行動のことをそう表現するようになった。沖縄県出身の芸能人やご当地特撮ヒーローで広まった言葉。県民のほとんどの人が経験する攻撃で思春期の頃はイラッとしたが、今では嬉しいし微笑ましい。
・チャンプルー
混ぜたもの、ミックスするの意。今回出てきた料理のように「〇〇炒め」的な解釈でもOK。ゴーヤチャンプルーやソーメンチャンプルー、サムライチャンプルーなどで全国的にも有名。劇中の「うどんチャンプルー」は炒めものの中に、うどんが入っていることと、自身のあだ名であるうどんちゃん、そしてチャンプルーがかかった高度なネーミングだった。
実家で出された際は普通に「焼きうどん」と言われることもある。
・ゆたしく!&だーはい~ましょうね。
うどんちゃんの母親が電話口と風花に語りかけていた言葉。ゆたしくとは「よろしく」という意味。よろしくお願いしますは「ゆたしくうにげーさびら」。私の友人はそこそこ使う。
「だー」は「どれどれ」というニュアンス。「だー、貸してごらん(どれ、貸してみなさい)」、「だー、言ってごらん(いってみなさい)」などと使う。これが略されて、「だー」だけで使うこともありその場合は「もってこい」、「言え」と解釈してもOK。汎用性十分でいろんな使い方がある。個人的には尋問っぽい。
~しましょうね。は一緒に~しようね、という意味ではなく、「私が承ります」の意。
今回はうどんちゃんの母親は「だーはい、送っていきましょうね」と言っていたはずなので、「私が車で送り届けます」という意味。勘違いされるが、幼稚園児扱いしているのではなく、逆に敬語という認識まで持っている。