『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』名言・あらすじまとめ|心に響く名台詞とともに、ひとりの少女の愛の物語を振り返り!【『外伝』『劇場版』のネタバレあり】
TVアニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』名言・名台詞まとめ一覧(後編)
「これが一番『美しい』でした。言葉が分からなかったので言ったことはありませんが、少佐の瞳は出会ったときから『美しい』です」(第8話 ヴァイオレット)
もう少佐はどこにもいない、会えない、ということが信じられず、ブーゲンビリア家、そして最後の戦争跡地に赴くヴァイオレット。彼の墓を目の当たりにし、膝をつく中で、遠き日の記憶が蘇ってきます。
戦争中、立ち寄った街の露店で見つけた“少佐の瞳”。それは、彼の瞳の色と同じ、美しいエメラルドグリーンの宝石がはめられたブローチでした。店主と会話する中で、初めてこの感情が『美しい』という言葉なのだと知ります。
自分の瞳を『美しい』と褒め、慕ってくれている少女を見て、胸を締めつけられるギルベルト。親も身寄りも、生き抜く知識もない少女を守るためとはいえ、戦争に同行させ、傷つけさせてしまっている自分が情けなく、大きな罪悪感を感じるのでした。
そんな思いを持っていたからこそ、彼は最後に「生きて自由になりなさい」と「愛してる」という言葉を彼女に贈ります。けれども、その真意は戦争しか知らない少女にはあまりにも難しすぎるものだったのです。
「してきた事は消せない。でも……でも君が自動手記人形としてやってきたことも消えないんだよ。ヴァイオレット・エヴァーガーデン」(第9話 ホッジンズ)
ホッジンズがC.H郵便社に連れ帰ってからも、ヴァイオレットは生きる希望を見いだせず、茫然と部屋にこもり続けます。
そんな彼女を動かしたのは“手紙”でした。ヴァイオレットを心配した同僚のアイリスとエリカから、人生で生まれて初めて手紙をもらったのです。ふたりからの言葉を受け、少しずつ目の光を取り戻していくヴァイオレット。手紙を受け取ったこと、そして郵便配達の仕事をすることで、改めて想いを誰かに伝えること、受け取ることの大切さを強く実感します。
翌朝、ホッジンズの前には毅然としたヴァイオレットの姿が。大切な人がくれた名前に恥じないように『生きる』ことを選んだ彼女を見て、涙ぐみながらホッジンズはこの言葉を贈ります。
かつては恐るべき「戦闘人形」で、「少佐の武器」だったかもしれない。それでも、今の君は、いろんな人の想いを届けてきた「自動手記人形・ヴァイオレット・エヴァーガーデン」なのだと、優しく彼女を後押しするのでした。
「届かなくていい手紙なんてないのですよ。お嬢様」(第10話 ヴァイオレット)
復帰したヴァイオレットが赴いたお屋敷で待っていたのは、依頼人・クラーラ・マグノリアとその娘・アン・マグノリア。
ママが大好きなアンは、突如やってきた“お人形”にママを独占されて、不満が隠せません。病気を患った母の余命があまりないことを、幼いながらもなんとなく察しているアン。最初はヴァイオレットも遺産目当てに近づく大人だと思い警戒しますが、次第に打ち解けていき、仲良くなっていきます。
来る日も来る日も手紙を書き続け、いよいよ終わりが近づいてきたある日。泣き崩れる母を見て、ずっと我慢していたアンの想いが決壊してしまいます。“誰かも分からない人に宛てた手紙”のせいで、母との残り少ない時間が奪われていること、ワガママを言って母を困らせてしまっている自分、その両方が悲しくて大粒の涙を流すアン。
「母ともっと一緒にいたい、手紙なんて届かなくていい」と泣きじゃくるアンを、ヴァイオレットは抱きしめながら優しくこの言葉を贈ります。
手紙には誰かが誰かに宛てた想いが詰まっていて、それを受け取ることはとても嬉しいことなのだと、自分自身が実感したからこそアンに贈ることができた言葉。ヴァイオレットの成長が色濃く表れた、本作屈指の名シーンと呼べるでしょう。
クラーラが書き続けてきた50通の手紙。それは毎年、娘の誕生日に届く50年分の手紙でした。母がくれた大きな愛を受け取り、アンはこれから先も真っ直ぐに成長していくのです。
「『愛してる』も……少しは分かるのです」(第13話 ヴァイオレット)
飛行機で空からたくさんの手紙が配られる、年に一度のお祭り「航空祭」。多くの代筆の依頼に奔走される中、ヴァイオレットは、周りから手紙を書くことを勧められます。
思いつく宛先はたったひとり。これまで、幾度も書こうとしては書けなかった、けれどもずっと思い続けてきた少佐へ、改めて自分の気持ちを伝えよう、手紙を書こうとタイプライターを打ち始めます。
自分を育ててくれたことへの感謝、ドールという新しい人生で学んだこと、さまざまな想いを綴り、最後にこう締めくくるのです。「また会えたらこう伝えたいのです。『愛してる』も……少しは分かるのです」と。
一歩一歩真っ直ぐに、朴訥に歩んできた彼女の旅路すべてを表したような言葉。「すべて」ではなく「少し」。けれどその「少し」が分かるようになるまで、彼女がどれほど頑張ってきたかをここまで観守ってきた視聴者の心には響いたのではないでしょうか。
要望があればどこでも駆けつける、金髪碧眼の自動手記人形が新たな仕事へと向かうさまを映し、物語は幕を閉じます。