夏アニメ『ピーチボーイリバーサイド』をTV放送版とは違った視点で楽しめる「時系列版」はミコトにより注目!? シャッフル版と時系列版の違いを紹介
『小林さんちのメイドラゴン』『小森さんは断れない』『平穏世代の韋駄天達』(作画)など多数の連載作品を抱えるクール教信者先生による漫画『ピーチボーイリバーサイド』がアニメ化! 2021年7月よりTOKYO MX、BS日テレほかにて放送中です。
もし、誰もが知る童話「桃太郎伝説」に続きがあったら……? 鬼を無事退治し、海を渡った桃太郎に待っていたものは? そして、ただ一つ駄目だったこととは? 人と鬼の間に隠された大きな秘密が、鬼を狩るふたりの男女の旅を通してダークなテイストで解き明かされます。
そんな今作では、話数をシャッフルすることで作品の印象がガラッと変わる仕掛けが用意されていることも話題を呼んでいます。アニメオリジナル構成となっている「シャッフル版」、原作の流れに忠実な「時系列版」。今回は、それぞれ別視点で物語を楽しめるこの仕掛けを紹介します。
シャッフル版(TV放送)
そもそも本作はなぜシャッフル版と時系列版が用意されたのでしょうか。まずは、まだ時系列版をご覧になっていない方に向けて、シャッフル版と時系列版の違いを説明します。
シャッフル版ではこれまで、サリーが旅立った直後の「元姫と卯人」(時系列版・第2話)から物語がスタート。そこからサリーの覚醒や仲間たちとの出会い、そしてミコトが登場する「鬼と人間」(時系列版・第3話)。鬼側の勢力や思惑、サリーに迫られる重大な決断が描かれる「サリーと岐路」(時系列版・第9話)といったように話が進んできましたが、実はこの展開は原作のお話の流れとは時系列がバラバラに進んでいるのです。
原作と時系列版ではサリーの過去が描かれた「姫と桃」(シャッフル版・第4話)から物語がスタートし、そこから「元姫と卯人」(シャッフル版・第1話)、「鬼と人間」(シャッフル版・第2話)といったように、サリーの成長、仲間との出会いが順々と進みます。
しかし、シャッフル版ではあえて時系列をバラバラにするという手法を採用。その理由はアニメイトタイムズやdアニメストア内の特設ページにて公開中の上田繁監督へのインタビューで明かされています。
インタビューでは、この大胆な構成の理由として、原作(コミック版)がまだ未完な点が挙げられているとともに、「コミック版をそのままアニメ化すると、中途半端な形で終わりを迎えてしまいます」と語られています。
たしかに原作がまだ続いている作品のアニメ化は、どんな結末を迎えるのかという点が原作ファンから注目されます。お話の区切りの良いところを最終回にしたり、作品によってはオリジナル展開を差し込む場合も。しかし、上田監督は原作の尺に余裕があること、アニメで独自の結論を出すのは避けたい、という思いからこの手法を採用したのだとか。それと同時に、展開をバラバラにすることで最終回にふさわしいお話を選ぶことができるんじゃないか、という制作にかける並々ならないこだわりが明かされています。
数々のキャラクターたちの思惑が交差する点が特徴的な本作。シャッフル版と時系列版をチェックした筆者としては、シャッフル版では物語のキーとなるキャラクターたちが序盤からどんどん登場しており、各勢力の思惑やキャラクター同士の関係性を早いうちから把握することができると感じました。現に、鬼側の主要キャラクターが登場するシャッフル版の第3話「サリーと岐路」は、時系列では第9話にあたるお話になっていますが、本来後半のお話を前半に持ってくることで、鬼側の勢力がよりわかりやすくなっているように思います。
また、シャッフル版についてインタビュー内では「シャッフルの理屈にも、最後まで見て頂ければ気づいていただけると思いますので、原作ファンの方にも、ぜひこういった楽しみ方を提案させて頂きたいです」と綴られています。作品のファンを自負する上田監督が送り出すシャッフル版は、時系列通り物語を楽しんでいる原作ファンも楽しめる構成となっているのではないでしょうか。
・dアニメストア特集ページ
・アニメイトタイムズ:上田繁監督インタビュー
話数一覧(シャッフル版)
第1話:元姫と卯人
第2話:鬼と人間
第3話:サリーと岐路
第4話:姫と桃
第5話:フラウと吸血鬼
第6話:キャロットとミリア
第7話:種族と居場所
第8話:仲間と仲間
第9話:ミコトとミコト