この記事をかいた人
- 石橋悠
- 1989年福岡県生まれ。アニメとゲームと某王国とHip Hopと自炊を愛するアニメイトタイムズの中堅編集者。
そんな壮大な背景を感じさせる『The Duel』ですが、ここまで語ってきたウンチク云々は置いておいても視覚的かつ直感的に楽しめる作品になっています(もちろん知っているとより楽しめる要素はありますが)。作品の大半が壮絶なアクションシーンで構成されており、銃撃戦あり、ライトセーバーでの剣戟あり、フォースを使ったアクションありのてんこ盛りです。
『スター・ウォーズ』の見せ場であるアクションシーンを日本風にやったら……そんなの楽しいに決まってるじゃあないか!
着物を風になびかせながら余裕の表情で歩いていく浪人の先には、怪しく赤色に光る番傘型ライトセーバーを装備した野盗の頭目であるシスの姿が。目と目が合い、一陣の風が吹く。静寂に包まれたその次の瞬間に始まる目にも留まらぬ刀さばきならぬライトセーバーさばきは、瞬きも許さないほどの猛烈なスピートで繰り広げられていきます。
この浪人がまたかっこいい男で、口数が少ないのに腕は立つというまさに往年の浪人スタイル。渋すぎるったらありゃしない。
流れ弾で故障してしまった相棒のドロイドの修理を村人に頼むシーンでは、ヤカンを火にくべてこう言うのです。
「店主、そいつを直せるか? この湯が沸くまでに相棒を使えるようにしてくれ」
お前、その短い間でシスを仕留めるつもりか……!? カッコ良すぎる……!
浪人はある目的のためにシスに立ち向かいますが、その存在自体も謎で多くを語りません。シスに立ち向かうということはジェダイ? かと思いきや腰に携えた得物をみると……。一体どんな目的が……?
といった具合に、多くが語られないからこそ見ているこちらの想像力が掻き立てられる面白い作りになっています。何度も見直すと新たな発見があることでしょう。
小学生男子だったころから『スター・ウォーズ』が好きだった僕は、今回もやはり武器などに目を奪われていましました。『スター・ウォーズ』は現実ではありえないような数々の武器が登場します。やはりそこは男心がくすぐられるというか……(もちろん男女問わず好きな方も多いことでしょう!)。ここは『スター・ウォーズ』を見たことがないアニメファンのみなさんにも楽しんでもらいたいポイントです。
シスが使う番傘型のライトセーバーなんてはじめて見ましたし、村人が雇った用心棒たちの武器も個性的で拡大&一時停止して見たくなること必至。
中でもやはり最も注目すべきは浪人のライトセーバーです。本体部分には、鍔や柄のようなものが見受けられ、しかもこれまでの『スター・ウォーズ』では存在しなかった鞘に刺さっているのです!
これがカッコ良いのなんのって! 通常のライトセーバーのボタンを押したらビューンと刀身が出てくるのとは違い、鞘から引き抜くと刀身が現れる日本刀スタイルなのです。僕たちが子供のころに考えた“ジェダイと侍が融合したら”を体現しているようでとても嬉しくなりました。
ジョージ・ルーカスが日本から受けた結果生まれた『スター・ウォーズ』は、映画公開とともに様々な文化とともに日本にも伝来し、多くの新たなクリエイターを生み出しました。『スター・ウォーズ:ビジョンズ』に参加した監督をはじめとしたスタッフたちが、その影響を受けたクリエイターたちです。
日本人が作る『スター・ウォーズ』という数奇な運命をリアルタイムで体験できるという現実に鳥肌が立っています。
あなたもこのありえないような現実をぜひ体感してみてください!『スター・ウォーズ:ビジョンズ』があなたを待っている!
[文/石橋悠]
ディズニープラスにて独占配信
ジョージ・ルーカスが黒澤明作品や日本文化から多大な影響を受け制作した「スター・ウォーズ」の創造のルーツとも言える日本へルーカスフィルムが強いリスペクトを込めた「スター・ウォーズ」史上初の一大アニメプロジェクト。「スター・ウォーズ」の創造のルーツとなった“日本”、そしてその日本から新たに誕生する、「スター・ウォーズ」への期待が、世界的に高まっていく中で、エグゼクティブ・プロデューサーであるジェームズ・ウォーは「これは私たちが愛する“アニメ”という文化を生んだ日本へ贈るルーカスフィルムからのラブレターです。」と日本アニメに対する熱い想いを語る。参加したクリエイターたちが、<スター・ウォーズ>そして<日本のアニメ>への熱い情熱を持って創り上げる、独自のビジョンで描いた9つの「スター・ウォーズ」は9月22日(水)16時よりディズニープラスにて全9話一斉に日米同時配信される。
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1989年(平成元年)生まれ、福岡県出身。アニメとゲームと某王国とHip Hopと自炊を愛するアニメイトタイムズの中堅編集者兼ナイスガイ。アニメイトタイムズで連載中の『BL塾』の書籍版をライターの阿部裕華さんと執筆など、ジャンルを問わずに活躍中。座右の銘は「明日死ぬか、100年後に死ぬか」。好きな言葉は「俺の意見より嫁の機嫌」。