“自分なりの銭形”を少しずつ感じた10年間――秋アニメ『ルパン三世 PART6』山寺宏一さん インタビュー│常に謙虚で研究熱心でなければいけない役者論を聞く
オムニバスでは、銭形であって銭形ではない話も!?
――今回の『PART6』は〈ミステリー〉と〈原点回帰〉をキーワードとして、結構シリアスな内容になっているそうですが、銭形警部はどのような活躍が見られそうですか?
山寺:今回はシャーロック・ホームズが出てくるメインストーリーと、いろいろな作家さんが書いてくださった1話完結のオムニバスがあり、話によってテイストや演出が変わってきます。全体としてはシリアスですが、銭形は極端にシリアスには振ってはいないですね。
最初、ミステリーを意識してシリアスになりすぎてしまい、音響監督たちから「山寺さん、もうちょっとあっけらかんと。そこまで重くなくていいです」と言われた回もあって……。どうしてもルパンたちがシリアスな感じだから、よし!と思ってやりすぎました(笑)。
――全体の雰囲気に合わせればいいわけでもないのですね。
山寺:いろいろなシーンがあるから、雰囲気も多面的な方が面白い。でも、そこが『ルパン三世』の難しいところなんです。例えば、「逮捕だ、ルパン」も、あっけらかんに「逮捕だ〜」って言うのと、真剣に「逮捕だ!」って言うのがありますよね。それをどっちに振るか、どの程度でいくのかが非常に難しいんです。
作り手の皆さんがどういう雰囲気にしようと思っているのかちゃんと理解して、演じながら軌道修正をすることもよくあります。特に、今はなかなか一緒に収録できないので、スタジオに入れるのは多くても3人なんです。しかも(それぞれの間に)仕切りをして、ですから、以前のようにばーっと掛け合いできないのも難しいところですね。
――オムニバスではまた違った雰囲気が見られそうですけど、そこでは銭形の見せ場も?
山寺:もちろん、すごくいいセリフをたくさんいただきました。とにかく作家陣がすごくて、最初、間違いではないのかなと思ったぐらいです(笑)。「『ルパン三世』なら参加したい」と言ってくださった方もいたでしょうし、『ルパン三世』ってすごい作品だなと思いました。
――具体的な内容は言えないと思いますが、例えばどんな姿が見られるのでしょうか?
山寺:言い方は難しいですけど、銭形であって銭形ではない、みたいな話もあって。どう演じればいいのかスタッフと相談しながら、ニュアンスを今回はこうしてみよう、と試行錯誤しながらやっていくのは面白かったですし、やりがいがありました。
――新しい一面が見られそうですね。
山寺:そうですね。それと、『PART6』ではいつルパンと手を組んで共闘するのか。ルパンを捕まえることを宿命としている男が、そのルパンと手を組むのはシリーズに1回はあることですけど、今回はそれがあるのか。あるならどういう形で来るのか。そこもぜひ期待していただきたいです。