五ェ門の得意ではない分野がきちゃったな――秋アニメ『ルパン三世 PART6』浪川大輔さんインタビュー│本当に不思議なチームになったルパンファミリー?
オムニバスは、最初に理解できなかったぐらい作家の世界観が出た話も
――今回の『PART6』は、推理小説家である大倉崇裕さんがシリーズ構成を務めます。前作『ルパン三世 PART5』(以下、『PART5』)が近代的なテーマを扱ったのに対して、今回は〈ミステリー〉がキーワードとのことですが、五ェ門はどのように描かれるのでしょうか?
浪川:『PART5』は、スマホに全然慣れないとか女性や子供と居なきゃいけないとか、(五ェ門は)どうするんだ? みたいなところがありましたけど、今回のミステリーはまたちょっと新しくて。誰が考えても五ェ門の得意ではない分野がきちゃったなと思いました。
登場人物も、ここ数年のシリーズでアルベールが出てきたりと幅も広がっていて、さらに今回はシャーロック・ホームズが出てきます。そういうキャラクターたちのアクの強さも相まって、五ェ門がどういう存在感でいられるのかは見どころのひとつかなと思っています。五ェ門はあまり世界のこととか気にしないタイプですが、ミステリーという世界で五ェ門がどんな立ち居振る舞いを見せるのか、楽しみにして欲しいです。
――豪華な方々が参加したオムニバスにも注目です。
浪川:オムニバスはぶっ飛んでいます(笑)。10年やってきても、う〜ん……どうしようかなと考えてしまう話もあって。こことここを組ませて今までとは違う形での関係値が見えてくるなど、まだまだいろんな設定があるんだなと感じました。
その中には、最初意味がわからないと思った話もありました(笑)。でも、それが『ルパン三世』の世界と相まってくると、なんとも言えない味になるんですよ。押井守さんしかり、本当に皆さん世界観が強い方なので、それが存分に発揮されていると思います。皆さんご存知の通り、五ェ門は普段あまり喋らないですけど、今回のオムニバスで五ェ門を立たせてもらったところもあります。
――それぞれの世界観を強く出していても馴染む『ルパン三世』って、考えてみるとすごいですよね。
浪川:すごいですよ。モンキー・パンチ先生の懐の広さだと思います。だからこそ、どの作品とコラボしてもいけるんじゃないかなと。絶対に相手を汚すこともなければ自分たちが汚されることもない。その強さがすごいなって、改めて今回のシリーズで感じました。
――キャラクターのブレなさもありますし。
浪川:そうですね。それもあって、今はバラバラに収録しているのですが、栗田(貫一)さんか山寺(宏一)さんのどちらかが五ェ門のセリフを言っているらしいんです。2人ともモノマネがとても上手でクオリティも高いので、役を取られるんじゃないかと気が抜けないです(笑)。
大塚明夫さんが次元役と聞いて、五ェ門役として不思議な気持ちでした
――今回、次元大介役が小林清志さんから大塚明夫さんに引き継がれました(※)。大塚さんの次元の声を聞いた時はいかがでしたか?
浪川:スッと入ってきた、というのが第一印象でした。皆さんもそうだと思うのですが、明夫さんは声を聴いたら「大塚明夫さんだ!」ってインパクトのある方ですよね。その明夫さんが次元に寄り添っていて、清志さんのことをすごく考えている印象を受けたんです。
僕たちもそうでした。前任者を尊敬して、モノマネが苦手な僕もモノマネを頑張るところから入りましたから。明夫さんがモノマネをしているのも聞いたことないですよね。だから共鳴できるというか(笑)。僕も最初は大変だったし、今も苦しんでいる部分があるので、明夫さんを見て僕自身もさらに役に寄り添っていければなと思います。
※初回放送「EPISODE 0 ―時代―」は小林さんが最後に次元を演じ、それ以降は大塚さんが次元を演じます。
――交代する際に挨拶があったり、その後、小林さんと話をされたりはしたのでしょうか?
浪川:今はコロナ禍ですし、みんなで集まったりはなかったですけど、ご挨拶はできました。『ルパン三世』以外のお仕事でお会いした時も「お〜、元気か」と声をかけてくださって。「最近よくテレビ出てるな」「ありがとうございます」みたいな会話をして、あ、テレビ見ているんだと(笑)。
もちろん、清志さんは次元をずっとやられてきて、僕たちが入ってから10年間もいろいろお話させてもらいました。考え方も聞いていましたので、僕は今回の交代はすごくスムーズといいますか、最善の策をとったんだなと感じました。
――先ほど名前が出ましたけど、大塚明夫さんの父親である大塚周夫さんが初代の石川五ェ門を演じていたじゃないですか。それもなんか不思議な縁ですよね。
浪川:本当に不思議ですね。僕は周夫さんの五ェ門を聞いて、井上真樹夫さんの五ェ門を聞いて、その間を取ろうとしていたので、明夫さんが次元!? と思ったんです。これがもし五ェ門だったら、周夫さんの息子さんだし……と思ったかもしれないけど。
ほかの作品で周夫さんの役を明夫さんがやった時には、イメージは違うけどなんとなく似ている、やっぱり親子だなってこともあったらしいんです。そういう意味では、本当に不思議なチームになりました。
――まだ全員集合することは少ないと思いますけど、銭形警部も含めた新たなルパンファミリーを、これからどんなチームにしていきたいですか?
浪川:「見てくれる人たちに楽しんでもらいたい」という気持ちはみんな一緒ですから、僕たちが入った時に栗田さんや清志さんにやってもらったように、明夫さんともやっていけたらと思っています。なかなか一緒には録れないですけど、昔から知っている(人たちによる)チームですし、プラスに考えています。
――周りを固める役者さんたちも素晴らしい人たちが揃っていますからね。
浪川:本当にすごいです。アルベール(CV.津田健次郎)もそうだし、八咫烏五郎(CV.島﨑信長)もそうだし、キャラクターが増えてきてさらにパワーアップしているなと感じますね。