五ェ門の得意ではない分野がきちゃったな――秋アニメ『ルパン三世 PART6』浪川大輔さんインタビュー│本当に不思議なチームになったルパンファミリー?
2021年10月9日(土)より日本テレビ系にて、TVアニメ最新作『ルパン三世 PART6』(以下、『PART6』)が放送スタートします。
アニメ化50周年を迎えた節目の年に登場する『PART6』のキーワードは、〈ミステリー〉と〈原点回帰〉。推理小説家でありアニメ・特撮の脚本も手がける大倉崇裕さんがシリーズ構成を務めているほか、各話脚本にはゲストとして辻真先さん、芦辺拓さん、樋口明雄さん、湊かなえさん、押井守さんが参加。どのような『ルパン三世』が描かれるのか注目です。
アニメ放送を直前に控え、アニメイトタイムズではメインキャストの皆さんにインタビュー。今回は、石川五ェ門役の浪川大輔さんにお話をうかがいました。
“形をつくってから気持ちを入れる”から“気持ちをそのまま声に出す”に
――2011年に浪川さんが石川五ェ門を引き継いでから10年経ちましたが、当初と比べて五ェ門を演じる上での心境に変化はありますか?
石川五ェ門役・浪川大輔(以下、浪川):やっぱり10年経っても、前任者(井上真樹夫さん)を追っている自分がまだいるな、というのはあります。オーディションの時もそうですが、入りがそうでしたから。でも、新しい『ルパン三世』を毎回やらせてもらい、ちょっとずつ「今までの五ェ門プラス、自分だったらこうやろう、こういう顔もあるな」と出せるようになってきたかな、ぐらいの感覚です。10年という月日がすごいなと思うのは、そういうところですね。
――特にそれを強く感じるようになった時期、作品はありますか?
浪川:『LUPIN THE ⅢRD 血煙の石川五ェ門』(以下、『血煙の石川五ェ門』)をやらせてもらった時です。この作品は今の五ェ門になる前のお話なので、僕にとってデータがないというか。(初代の五ェ門を演じた)大塚周夫さんの五ェ門のデータも、井上真樹夫さんの五ェ門のデータもない状態で臨まなければいけないのが、苦しいところではありました。
でも、ないなら自分自身から出さなければいけない。苦しかったけど、この作品をやったことで手に入れたものがあったなと思います。
――確かに、『血煙の石川五ェ門』の頃のインタビューでは「最初はモノマネから入り、そこから徐々に距離感が近づいてきた」といった趣旨の発言をされていました。そこから約4年、今は五ェ門との距離をどう感じていますか?
浪川:距離という表現が合っているかはわからないですけど、この4年でだいぶリラックスして(役に)入れるようになりました。以前は、このシーンでの気持ちはこうだけど、五ェ門の喋り方はこうなのでまずは喋り方をマスターしてから――“形をつくってから気持ちを入れている”感じだったんですけど、今は“気持ちをそのまま声に出す”ことができる。距離が近くなったというか、わかりあえるようになった気がします。繋がった感じというか。
――より“浪川さんの石川五ェ門”になった感覚ですかね。
浪川:そこまで言えるかはわからないですが……。ただ、実際にそれがOKをもらえるかNGかは別としても、すぐに表現することができるようにはなりました。
――演じる頻度が上がるTVシリーズをやるようになったのも大きかったのでは。
浪川:もちろんそれはあります。脚本家が毎回変わったり、試されているのかと思うぐらい昔のテイストを突っ込んできたりしつつも、基本的には新しい『ルパン三世』が毎回あって。その中で「こんな五ェ門もいるんだ」とたくさんデータが集まっていくので、TVシリーズはやはり大きいです。
今回のルパンは何色のジャケットなんだろう? と気にするように、キャラクターデザインも監督も変わりますからね。ある意味、そこが『ルパン三世』のすごさでもあると思います。『ルパン三世 カリオストロの城』だったら宮崎駿さん、CGルパン(ルパン三世 THE FIRST)だったら山崎貴さんと、それぞれ全然テイストが違うので。