OPテーマは意外とオシャレ曲……と思いきや!? 秋アニメ『見える子ちゃん』四谷みこ役・雨宮天さん インタビュー(後編)│EDテーマは“みこと化け物”のデュエットに?
AT-X、TOKYO MX、KBS京都、サンテレビ、BS日テレ、dアニメストアほかにて好評放送中のTVアニメ『見える子ちゃん』(原作:泉朝樹/WebComicアパンダ連載・KADOKAWA刊)より、四谷みこ役・雨宮天さんのインタビューをお届けします。
『見える子ちゃん』は、化け物が“見える”主人公・四谷みこが、なんとかして見えていない、気づいていないふりをする前代未聞のホラーコメディ作品。内心でめちゃくちゃ怖がる様と、気づかれないように平静を装うギャップも面白く、それを雨宮さんが見事に演じています。
さらに、オープニングテーマ「見えないからね!?」、エンディングテーマ「ミタナ? ミタヨネ?? ミテルヨネ???」はどちらもみこ(CV.雨宮天)が歌唱しているのも注目です。
アニメイトタイムズでは、そんな話題のTVアニメ『見える子ちゃん』で主人公を演じ、主題歌も担当している雨宮さんにインタビュー。後編となる今回は、本作らしさ全開でインパクト抜群の主題歌について、最初に聴いた印象からレコーディングのことまで、いろいろとお話をうかがいました。
オープニングテーマはテンポ感とキャラ感を両立させるのに苦労しました
――オープニングテーマ「見えないからね!?」は、イントロのインパクトはありつつメロディ自体はとても明るく軽快な曲ですね。
四谷みこ役・雨宮天さん(以下、雨宮):そうなんです。サビも盛り上がりますし、明るくオシャレな曲だなって。もっと怪しげな雰囲気の曲が来ると思っていたので意外でした。ただ、歌詞はずっと不安げな、みこの心情が描かれているんですよ。
――歌詞を読んでみると、確かにそうですね。
雨宮:曲中にはセリフも入っていますので、(聴きながら)みこの恐怖感や本編中の表情を感じていただけたら嬉しいです。
――レコーディングで大変だったところや、印象的なディレクションなどを教えて下さい。
雨宮:みこの心情にかなり寄り添っている曲なので、“クールなみこ”というよりは歌ではありつつ“セリフの時の感情感”を乗せたいなと思いました。でも、テンポが速く、「リズムを合わせてください」とか「音程をもう少し合わせてください」とディレクションをいただくことがあって……そこはすごく難しかったです。
やっぱり、リズムや音程をちょっとずらした方が、セリフ感、心情感は出しやすいんですよ。ただ、曲を大事にしようと思ったら、リズムは合わせたいですし……キャラソンって難しいなと改めて感じましたね。キャラ感を大事にしながら、楽曲のテンポ感や盛り上がりも大事にする。その両立にすごく苦労しました。
――ニュアンスの取り方とかも全体的に大変だったとは思いますが、よりこの部分が、といった場所を挙げるならどこでしょうか?
雨宮:サビが一番大変でしたね。AメロやBメロは音が低めだから自然に歌っても割とみこ感が出るんですけど、サビは結構高くて。みこが普通に喋る時には使わない、恐怖している時ぐらいしか使わない高さで歌っているんです。
そこでどうやってみこ感を出せばいいんだろうと。テンポが速くて歌うだけで精一杯なのに、さらに〈ゾッとしちゃうわ〉とか〈精神 安心 出来ない〉といった不安感、恐怖感を乗せて歌うのが難しかったです。
――ニュアンスのことでいえば、イントロのようなセリフ調になっている部分の方がやりやすそうです。
雨宮:はい。メロディがついていない場所の方がセリフとしては言いやすいので、テンポの縛りはあれどやりやすかったです。
――それにしても、レコーディングの時はパートごとに録れますが、つるっと全部歌うのは本当に大変そうな曲ですよね。
雨宮:そうなんです。ぜひ皆さんにも歌ってみて欲しいです。息継ぎする場所も難しいですし、歌うだけで精一杯なのが伝わると思いますから(笑)。
声の震えや語尾の伸ばし方など、試行錯誤しながらのレコーディング
――さらに具体的な部分についてもお聞きします。曲中の印象的なフレーズとしてなんといっても気になったのが〈わぱぱ〉と〈らぱぱ〉。これって何ですか?
雨宮:私もわからないです(笑)。パニック感をイメージして曲の世界観に合わせた結果、〈わぱぱ〉とか〈らぱぱ〉になったんじゃないかなって個人的には思います。あわあわしている感じといいますか。
――オリジナルの擬音語といった感じでしょうか。
雨宮:そうですね。とてもリズム感のいい曲なので、リズムに乗せると〈わぱぱ〉になったんだろうなって想像して歌っていました。
――最初に話したように、メロディライン自体はとても明るくて軽快な曲ですからね。それと歌詞の内容とのギャップが面白いというか。
雨宮:(明るいメロディなので)当然ですが、曲自体は笑顔で楽しくやった方が歌いやすいんですよ。でも、そうすると歌詞と合わなくなるので、声の震え感を乗せてみたりとか、いろいろ入れ込みました。
例えば、サビの〈精神 安心 出来ない〉の最後のところも、ただ普通に伸ばすのではなく、「安心できないよ〜……」と、語尾をちょっと伸ばすところに(不安感を)乗せてみたり。本当に試行錯誤しながらやりましたね。
――Aメロの〈無理〉が3回続くところも、それぞれの「無理」で震えの入れ方が違っていますし。
雨宮:そうですね。ただ、めちゃめちゃ震えさせて歌ったとすると、それはそれで曲として聴きづらくなっちゃうから、その加減が難しいんです。家で練習している時は、もっと震えてもっと恐怖しているようなバージョンで練習もしていたんですけど、さすにそこまですると曲の方が壊れてしまって。みこ(の雰囲気)は立ったとしても曲が壊れてしまうので、箇所箇所で入れるようにしました。
――テンションを高く歌ってくださいと言われれば、歌えるわけですからね。
雨宮:そうなんですよ。もし、ハナみたいな性格だったら、もっとテンション感を出しても成立したと思いますが、みこは普段そこまでハイテンションな子ではないので、絶妙なテンション感をいろいろ研究して歌いました。
――Bメロはハナと喋っている感じで、ほかとテンションが違うのが印象的です。
雨宮:怯えていることが多い中で、Bメロの1行目はハナといる時のみこの雰囲気、ニコッと笑うわけではないけど常に優しい笑みをたたえているような、そんな感じで歌いました。そして、そこから化け物が現れたシーンに変わるので、また恐怖になるんですよ。